司法書士 廣澤真太郎
住宅ローンを完済し終えると、銀行から書類が届きますが、その中に登記書類が同封されていたことにお気付きでしょうか?
実務では、古い抵当権が残ったままになっているケースに遭遇することが非常に多いので、記事にまとめてみました。

自分で家の抵当権が残っているか確認する方法
最寄りの法務局で、対象不動産の「共同担保目録付きの全部事項証明書」を取得しましょう。
全部事項証明書は誰でも手数料を支払えば取得することが可能です。
土地の場合は所在・地番、建物の場合は所在・家屋番号を控えておくとスムーズです。
所在と地番は固定資産税納税通知書にも載っていますし、法務局で地番照会を行うことでも確認できます。
抵当権が残っている場合の記載
全部事項証明書の中の(乙区)に、下記画像の表示があります。
赤枠内が残っている抵当権の表示で、青枠内が共同担保目録です。


抵当権が残っていない場合の記載
抵当権をすでに抹消している場合は、赤枠と青枠に下線が引かれ、青枠の一番下に「全部抹消」という記載があります。
また、乙区に「〇番抵当権抹消」という記載も見つかるはずです。
抵当権を設定したことがないか、登記簿がコンピューター化される前に抹消した場合は、そもそも赤枠と青枠の記載がありません。
この場合はとくに気にしなくて構いません。
抵当権は消さなければならないのか?
住宅ローン完済後、抵当権を消す必要があるのか?という疑問に対しては、「いずれ消すものだから、気づいたときに消すべき」というのが回答になります。
抵当権を消さない場合はどうなるのか?
・抵当権が残ったまだと、事実上不動産を処分(売却、贈与、担保の設定等)できない
・残したままだと、結果的に子や孫が費用を負担することとなり、迷惑をかけることになる
・時間がたつと書類の紛失リスクが高まる。また、抵当権者が行方不明になるなど、抹消が困難になることもある。
抵当権抹消の費用負担は誰がする?
残念ながら、不動産の所有者負担です。
抵当権を消したい場合は、次のような費用がかかります。
・税金
不動産の数×1000円
・法務局への交通費
何度か行く場合は数千円
・司法書士に依頼した場合は報酬
数万円
法律との違い?
法律では、登記の税金や登記費用は申請する当事者双方が負担するものとされています。
しかし、実際には売買の場合は買主が、抵当権設定の場合は借主が負担することになります。相手側は登記費用を負担してくれないなら売らない、貸さないといえるからですね。

抵当権抹消に必要な書類とは?
一般的には、次の資料が必要です。
・登記原因証明情報 又は 解除証書等
・登記識別情報通知書 又は 登記済証
・銀行の委任状
・銀行の履歴事項全部証明書や、閉鎖謄本
必要な書類を紛失した場合はどうすればいい?
上記書類を紛失した場合、銀行の担当支店で再発行を依頼する必要があります。
再発行をお願いする際には、次の資料が必要になることが多いようです。※銀行ごとに取り扱いは違います
・共同担保目録付きの全部事項証明書
・登記名義人が亡くなっている場合は、登記名義人の死亡がわかる戸籍謄本等
・登記名義人が亡くなっている場合は、登記名義人との関係性がわかる戸籍謄本等
・窓口に来た人の本人確認書類
銀行によりけりですが、依頼から2~3週間、発行までに期間を要します。
再発行されない書類?
紛失した書類のうち、登記識別情報通知、登記済証は再発行されませんので、銀行側に事前通知という方法に対応してもらうことになります。
知識ページ一覧
知識ページをご覧になりたい方はこちらから
医療法人と株式会社の違い
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、医療法人の登記について、株式会社との違いを主に、備忘録としてまとめたものです。 ご自由にご覧ください。 目次1 医療法人とは?その類型1.1 医療法人社団と医療法人財団1.2 医療法人社団の類型1.3 株式会社との明確な違い1.4 その他、運営上の違い2 登記申請のご相談2.1 知識ページ一覧 医療法人とは?その類型 医療法を根拠として、病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護保険老人施設の運営を ...
ReadMore
会社設立後の法人口座開設について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、会社設立時にご質問をいただくことの多い法人口座開設について、記載しています。 目次1 法人口座とは?開設は必須?1.1 法人口座開設のタイミング?1.2 法人口座開設の審査は厳しい?1.3 法人口座をスムーズに開設するために、対策しておくべきこと1.4 もし、開設できなかったら?2 登記申請のご相談2.1 知識ページ一覧 法人口座とは?開設は必須? 名前の通り、法人名義の預金口座のことです。 法人 ...
ReadMore
普通株式と種類株式についての基本知識
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、会社法における株式のうち、種類株式についての基礎知識をまとめたものです。 目次1 株式とは?2 種類株式とは?2.1 種類株式の種類3 登記申請のご相談3.1 知識ページ一覧 株式とは? 株式とは、株式会社における社員の地位を指しており、次のような権能があります。 ・株主総会に参加し議決を行使する権利、株主総会決議の取り消しの訴えを提起する権利 ・配当、残余財産の分配を受け取る権利 ・定款、株主名 ...
ReadMore
財産管理制度(所有者不明土地管理制度)についての民法改正
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。 この記事は、所有者不明土地の管理に関する民法の改正について記載しています。 目次1 財産管理制度の見直し1.1 1.所有者不明土地(建物)管理制度1.2 2.管理不全土地(建物)管理制度 2 まとめ2.1 相続のご質問・見積もりはこちら 財産管理制度の見直し 旧法下では、不在者財産管理制度などの財産管理制度は、不在者の財産すべてを管理する制度であるため、土地建物の管理等ピンポイントで利用するものではなく、費用負担や事務作業で過剰な負担を強い ...
ReadMore
共有制度(所有者不明土地等関係)に関する民法の改正について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、令和5年4月1日以降の共有制度に関する民法の改正について、深堀りしていきます。 目次1 共有制度の改正1.1 1.共有物の変更・管理に関するルール 1.2 2.共有関係の解消に関するルール 1.3 相続のご質問・見積もりはこちら 共有制度の改正 令和5年4月1日から、共有に関する制度のうち、おおまかに次の2つが大きく変わります。 1.共有物の変更・管理に関するルール 2.共有関係の解消に関するルール ...
ReadMore
不動産登記と印鑑証明書の関係?
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、登記申請の際の印鑑証明書について、整理したものです。 目次1 不動産登記における印鑑証明書の添付根拠2 省略に関する規定2.1 省略について深堀り3 ご質問・見積もりはこちら 不動産登記における印鑑証明書の添付根拠 根拠は、不動産登記令16条です。 (申請情報を記載した書面への記名押印等) 第十六条 申請人又はその代表者若しくは代理人は、法務省令で定める場合を除き、申請情報を記載した書面に記名押印 ...
ReadMore
社団法人、公益社団法人、NPO法人の違いとは?
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。 社団法人について、聞かれることがあるので、備忘録としてまとめたものを、記事にしてみました。ご自由にご覧ください。 目次1 一般社団法人とは?1.1 法人とは?1.2 非営利とは?2 株式会社と一般社団法人の違いは?2.1 細かい違い3 公益社団法人と一般社団法人の違いは?3.1 細かい違い4 社団法人とNPO法人の違いは?4.1 細かい違い5 法人格による税制上の優遇措置対象一覧表6 会社設立・法人設立登記のご相談6.1 知識 ...
ReadMore
貸金庫とその相続について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 貸金庫の相続手続きが大変であるというのは周知のとおりですが、 この、問題となりがちな貸金庫について、記事にしておきたいと思います。 目次1 貸金庫に財産関係資料をまとめて保管するのは避けましょう!1.1 貸金庫があると、どうなる?1.2 貸金庫の開扉自体が困難な場合がある1.3 相続トラブルの可能性が高まる1.4 余計な時間がかかり、余計な実費が発生する2 まとめ2.1 相続のご質問・見積もりはこちら 貸金庫に財産関係資料 ...
ReadMore
資産課税の見直し
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 専門ではないですが、勉強はしておかなければなりませんから、令和6年1月1日以降の贈与に関する税制改正について、 備忘録としてまとめておきます。ご自由にご覧下さい。 目次1 資産課税の見直し1.1 相続時精算課税制度について1.2 暦年課税について1.3 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について1.4 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について2 現行制度との比較表3 背景4 まとめ4.1 知識ペー ...
ReadMore
債権法の改正関連まとめ その2
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、民法改正のうち、債権法に関する部分で忘れやすいところを、備忘録としてまとめています。ご自由にご覧下さい。 目次1 意思能力制度の明文化2 錯誤についての改正3 代理人の行為能力4 解除の効力5 瑕疵担保責任6 債権者代位・詐害行為取消権6.1 債権者代位権について明文化されたもの6.2 詐害行為取消権について明文化されたもの7 連帯債務8 弁済について9 危険負担10 消費貸借11 賃貸借11. ...
ReadMore
ご依頼はこちらから
-
-
抵当権抹消のご依頼
全国対応!書類の郵送のみでスムーズにご自宅の担保を抹消します ※昭和初期の古い抵当権等の一定の場合を除きます メールで見積り LINEでらくらく相談 【個人】自動見積フォー ...
続きを見る
HOME
住宅ローン等を完済した:法務局