司法書士 廣澤真太郎
当事務所では原則「公正証書による離婚協議書」の作成をお勧めしておりますが、公正証書の作成はお二人で公証役場に出席しなければならないので抵抗がある方や、手数料をできる限り抑えたいというご事情もあるかと思います。
私文書での離婚協議書の作成も行わないといった場合には、作成は義務ではありませんが、お子様の将来のためも、最低限「子供の養育に関する合意書」を作成しておく事をお勧めします。

子供の養育に関する合意書とは
百聞は一見に如かずですので、こちら御覧ください。また、こちらをダウンロードしてそのままご利用ください。
引用 法務省:子供の養育に関する合意書
このように、お子様の養育費と、面会交流(一方の親がいつどこで何時間お子様と会う事ができるか)について取り決めするための合意書です。
養育費とは
子供を教育したり、育てていくために必要な費用の事を言います。大原則は成人するまでですが、一般的に大学卒業までの医療費、教育費、生活費などがこれにあたります。
子の親には子供に自分と同程度の生活をさせる義務(生活保持義務)があり、またその義務の程度は、たとえ親に余力がなくても負うべきとされています。
「最後に残された米一粒までも分かち合う義務」というように表現され、自分が食うに困っていても、子供を支えていかなければならないという厳しい義務があるわけです。
面会交流とは
子供と離れて暮らしている一方の父や母と会って話をしたり遊んだりと、交流することを言います。
子供は両親の離婚という出来事により「自分が悪かったのではないか。自分が嫌いになってしまったのか」といった気持ちになることがあり、「私たちはあなたの事が嫌いで離婚したんじゃないよ。」という気持ちを行動で伝えることのできる方法の一つになります。
そのため、お子様のより健やかな成長のためには大切な取り決めです。面会交流を通して、子供は両親に愛されているという実感を得ることで、心の底に自信をもって人生を歩むことができます。
Q&A
必ず離婚に伴い合意書を用意をする必要はあるのか?
ありませんが、お子様のための両親の取り決めですからできる限り書面に約束事を残し、2通作成して双方で保管して後々のトラブルを防ぎましょう。
お子様にとっては、両親が悪口を言い合ったり争っていること自体が最も精神衛生上よくないはずだからです。
当事務所では、継続的な支払いを要する養育費の取り決めがある場合、原則として「公正証書による離婚協議書」の作成を推奨しております。
合意書のみ残しておいた時に一方が養育費の支払いを怠った場合には、給与の差押えなどの前提として訴訟や支払督促などの裁判手続きを経る必要があります。
差押えは高度に専門的で複雑な手続きですし、弁護士への報酬も発生してしまい、費用面から断念する事にもなりかねません。
しかし、強制執行受諾文言が記載された公正証書を残しておけば、そのような手続きを経ることなくいきなり強制執行・財産開示手続を行うことができるので、お子様の安心とその固い両親の約束を将来にわたって担保することができるからです。
合意がすでにできている、または相手も協力的で話合いが容易なのであれば、公正証書による離婚協議書の作成をご検討ください。
養育費はどのような基準で決めればよいか?
裁判所の養育費・婚姻費用の算定基準表を参考にすると良いかと思います。
裁判所:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
計算例を挙げておきます。まずはPDFをご覧ください。
① 引用 裁判所 養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
② 引用 裁判所:算定表の使い方
子供が両名とも14歳未満で、父母ともに会社員で、母が子供2名を引き取るケースで考えてみましょう。この場合、父が義務者で母が権利者となります。
【前提】
父の年収 400万円 (源泉徴収票の「支払金額」)
母の年収 200万円
【養育費の目安】
月額4~6万円
この金額を目安とし、協議離婚であれば現実的で可能な範囲で養育費を定めるのが妥当という事になります。
参考:法務省パンフレット
知識ページ一覧
知識ページをご覧になりたい方はこちらから
医療法人と株式会社の違い
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、医療法人の登記について、株式会社との違いを主に、備忘録としてまとめたものです。 ご自由にご覧ください。 目次1 医療法人とは?その類型1.1 医療法人社団と医療法人財団1.2 医療法人社団の類型1.3 株式会社との明確な違い1.4 その他、運営上の違い2 登記申請のご相談2.1 知識ページ一覧 医療法人とは?その類型 医療法を根拠として、病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護保険老人施設の運営を ...
ReadMore
会社設立後の法人口座開設について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、会社設立時にご質問をいただくことの多い法人口座開設について、記載しています。 目次1 法人口座とは?開設は必須?1.1 法人口座開設のタイミング?1.2 法人口座開設の審査は厳しい?1.3 法人口座をスムーズに開設するために、対策しておくべきこと1.4 もし、開設できなかったら?2 登記申請のご相談2.1 知識ページ一覧 法人口座とは?開設は必須? 名前の通り、法人名義の預金口座のことです。 法人 ...
ReadMore
普通株式と種類株式についての基本知識
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、会社法における株式のうち、種類株式についての基礎知識をまとめたものです。 目次1 株式とは?2 種類株式とは?2.1 種類株式の種類3 登記申請のご相談3.1 知識ページ一覧 株式とは? 株式とは、株式会社における社員の地位を指しており、次のような権能があります。 ・株主総会に参加し議決を行使する権利、株主総会決議の取り消しの訴えを提起する権利 ・配当、残余財産の分配を受け取る権利 ・定款、株主名 ...
ReadMore
財産管理制度(所有者不明土地管理制度)についての民法改正
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。 この記事は、所有者不明土地の管理に関する民法の改正について記載しています。 目次1 財産管理制度の見直し1.1 1.所有者不明土地(建物)管理制度1.2 2.管理不全土地(建物)管理制度 2 まとめ2.1 相続のご質問・見積もりはこちら 財産管理制度の見直し 旧法下では、不在者財産管理制度などの財産管理制度は、不在者の財産すべてを管理する制度であるため、土地建物の管理等ピンポイントで利用するものではなく、費用負担や事務作業で過剰な負担を強い ...
ReadMore
共有制度(所有者不明土地等関係)に関する民法の改正について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、令和5年4月1日以降の共有制度に関する民法の改正について、深堀りしていきます。 目次1 共有制度の改正1.1 1.共有物の変更・管理に関するルール 1.2 2.共有関係の解消に関するルール 1.3 相続のご質問・見積もりはこちら 共有制度の改正 令和5年4月1日から、共有に関する制度のうち、おおまかに次の2つが大きく変わります。 1.共有物の変更・管理に関するルール 2.共有関係の解消に関するルール ...
ReadMore
不動産登記と印鑑証明書の関係?
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、登記申請の際の印鑑証明書について、整理したものです。 目次1 不動産登記における印鑑証明書の添付根拠2 省略に関する規定2.1 省略について深堀り3 ご質問・見積もりはこちら 不動産登記における印鑑証明書の添付根拠 根拠は、不動産登記令16条です。 (申請情報を記載した書面への記名押印等) 第十六条 申請人又はその代表者若しくは代理人は、法務省令で定める場合を除き、申請情報を記載した書面に記名押印 ...
ReadMore
社団法人、公益社団法人、NPO法人の違いとは?
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。 社団法人について、聞かれることがあるので、備忘録としてまとめたものを、記事にしてみました。ご自由にご覧ください。 目次1 一般社団法人とは?1.1 法人とは?1.2 非営利とは?2 株式会社と一般社団法人の違いは?2.1 細かい違い3 公益社団法人と一般社団法人の違いは?3.1 細かい違い4 社団法人とNPO法人の違いは?4.1 細かい違い5 法人格による税制上の優遇措置対象一覧表6 会社設立・法人設立登記のご相談6.1 知識 ...
ReadMore
貸金庫とその相続について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 貸金庫の相続手続きが大変であるというのは周知のとおりですが、 この、問題となりがちな貸金庫について、記事にしておきたいと思います。 目次1 貸金庫に財産関係資料をまとめて保管するのは避けましょう!1.1 貸金庫があると、どうなる?1.2 貸金庫の開扉自体が困難な場合がある1.3 相続トラブルの可能性が高まる1.4 余計な時間がかかり、余計な実費が発生する2 まとめ2.1 相続のご質問・見積もりはこちら 貸金庫に財産関係資料 ...
ReadMore
資産課税の見直し
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 専門ではないですが、勉強はしておかなければなりませんから、令和6年1月1日以降の贈与に関する税制改正について、 備忘録としてまとめておきます。ご自由にご覧下さい。 目次1 資産課税の見直し1.1 相続時精算課税制度について1.2 暦年課税について1.3 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について1.4 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について2 現行制度との比較表3 背景4 まとめ4.1 知識ペー ...
ReadMore
債権法の改正関連まとめ その2
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、民法改正のうち、債権法に関する部分で忘れやすいところを、備忘録としてまとめています。ご自由にご覧下さい。 目次1 意思能力制度の明文化2 錯誤についての改正3 代理人の行為能力4 解除の効力5 瑕疵担保責任6 債権者代位・詐害行為取消権6.1 債権者代位権について明文化されたもの6.2 詐害行為取消権について明文化されたもの7 連帯債務8 弁済について9 危険負担10 消費貸借11 賃貸借11. ...
ReadMore
HOME