司法書士 廣澤真太郎
この記事は、株式会社や合同会社の設立を検討されている方向けの記事です。

[toc]
会社の設立、事業開始までの流れ
大枠では、次のような流れとなります。
(1)会社設立登記手続き 依頼可能な専門家:司法書士
①会社の基礎情報を決定する
②定款認証手続き
③資本金の払い込み
④会社設立登記申請
(2)会社設立後、事業開始までの手続き
①各官庁へ届出を行う
②法人用の銀行口座開設
③必要に応じて、各士業と顧問契約の締結
(3)会社設立後に、会社の基礎情報に変更がある場合
①各官庁へ異動届出を行う
②法務局に登記申請を行う 依頼可能な専門家:司法書士
(4)その他、特殊なケース
①各官庁にたいする許認可取得申請
会社設立登記手続きについて
会社は登記をすることによって設立されます。よって、依頼先の専門家は司法書士となります。
司法書士にご依頼をいただいた場合は、すべてその場で案内を行いますので事前準備は不要ですが、具体的には次の事項をお考えいただきます。
① 商号
② 本店所在地
③ 資本金の額
④ 事業目的
⑤ 役員の任期
⑥ 事業年度
会社設立にかかる費用の目安
株式会社
|
費用 |
司法書士報酬(当事務所の場合) |
8万8000円~ |
登録免許税(法務局に支払う税金) |
15万円~(資本金の額×7/1000or15万円の高い方) |
定款認証等手数料(公証役場に支払う手数料) |
3~5.5万円 |
その他実費(送料、謄本代等) |
数千円 |
総額 |
約30万円~ |
合同会社
|
費用 |
司法書士報酬(当事務所の場合) |
6万8000円~ |
登録免許税(法務局に支払う税金) |
6万円~(資本金の額×7/1000or6万円の高い方) |
その他実費(送料、謄本代等) |
数千円 |
総額 |
約15万円~ |
注意ポイント
昨今、一般事業者が合同会社設立を安易に提案しておりますが、設立費用が安いからという理由で合同会社を選択することは推奨いたしかねます。
運営上特殊な取り扱いもあるため事業に支障をきたす恐れもありますし、とくに会社を拡大される可能性がある場合や対外的な信用力を得る目的が含まれる場合には、株式会社を選択されることを推奨します。
会社設立時の必要物
司法書士にご依頼をいただいた場合は、すべて面談時に案内を行いますので事前準備は不要ですが、具体的には次のものをご準備いただきます。
1.通帳の写し (①裏表紙②1ページ目③資本金入金ページ)
2.個人印鑑証明書 2部
3.会社実印
4.写真付身分証明書の写し(両面)
※会社設立時の発起人となる方のもの
会社設立登記完了後、事業開始

各官庁に届出が必要です。詳しくは会社設立後にお渡しする届出先リストをご覧ください。
届出先
1.税務署
2.都道府県事務所
3.市区町村役場
4.年金事務所
従業員を雇用した際の届出先
1.労働基準監督署
2.ハローワーク
法人口座開設
事業用口座を開設しましょう。
法人口座を作成することで、法人名義のクレジットカードが利用できるなどしますから、経理がスムーズになります。
会社の基礎情報に変更がある場合
各官庁への届出や申請は、会社設立時以外にも、会社の基礎情報に変更がある度に、その都度必要になります。
具体的には、事業年度等の変更、納税地等の異動、資本金額等の異動、商号又は名称の変更、代表者の変更(住所変更含む)、事業目的の変更、会社の合併、会社の分割による事業の譲渡若しくは譲受け、法人区分の変更等、都度各官庁へ異動届を提出及び登記申請を行う必要があることにご注意ください。
登記申請義務を怠った場合には過料(100万円以下)による制裁もございますので、詳しくは会社設立時に司法書士にお尋ねください。
登記申請義務とその過料について:オアシス司法書士・行政書士事務所
会社設立のメリットデメリット
一般的には、純利益が一定の金額を超えたあたりから、会社設立にメリットがあると言われています。
ここでは、個人事業主と比較した際のメリットとデメリットを羅列します。
デメリット
・赤字でも法人税が発生する
・社会保険加入が必要
・消費税課税事業者になる
・事務負担が増加し、運営に様々な費用や手間がかかる
メリット
・信用を得られやすい
・節税になる場合がある
・融資を受けやすい
・事業年度を自由に決められる
・役員個人の責任が軽減される
・事業承継がしやすい
会社設立登記手続きのご相談
-
-
商業(会社・法人)登記のご依頼
全国対応!郵送・メール・電話のみでスピーディに手続き可能です ※会社設立などの一部業務を除く 司法書士に手続きをご依頼になった場合 ...
続きを見る
知識ページ一覧
知識ページをご覧になりたい方はこちらから
債権の差押えによる債権回収について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 例えば、お金を貸していて、相手が支払いを怠っている場合に、相手の預貯金を差押えたいというケース等の、債権執行について記事にしてみました。 債権執行について 債権執行の根拠法は、民事執行法です。 (債権執行の開始) 第百四十三条 金銭の支払又は船舶若しくは動産の引渡しを目的とする債権(動産執行の目的となる有価証券が発行されている債権を除く。以下この節において「債権」という。)に対する強制執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下 ...
ReadMore
解体工事業の登録
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 業務で調べる機会がありましたので、解体工事業の登録について、記事にしてみました。 解体工事業の登録 一定金額に満たない家屋等の建築物その他の工作物の全部又は一部の解体工事又は解体工事を含む建設工事を請け負おうとする方で土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る建設業許可をもたない方は、 あらかじめ、工事を施工する区域を管轄する都道府県知事の登録を受ける必要があります。 神奈川県:建設業課横浜駐在事務所建設業審査担当 登録を ...
ReadMore
不動産購入時の調査について②
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、不動産売買の仲介を不動産会社に依頼しない場合に、買主が最低限、確認すべき事項をまとめたものです。 不動産について調査すべき事項 前回の記事の続きです。 13.接道義務(再建築不可) 接道義務(土地上に建物を建てる場合には、幅員4m以上の建築基準法上の道路に、敷地が2m以上接していなければならない)を満たしていない場合は、原則として、土地上に建物を再建築することができません。 前面道路 ...
ReadMore
不動産購入時の調査について①
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、不動産売買の仲介を不動産会社に依頼しない場合に、買主が最低限、確認すべき事項をまとめたものです。 仲介業者なしで売買は可能か? 不動産会社に仲介を依頼しなくても、取引自体は可能です。 すでに取引相手が決まっていて、融資も受けないといった場合、仲介手数料である売買価格の3%+6万円がもったいないため、不動産会社に依頼をしたくないといったケースもあるかと思います。 しかし、取引に不動産会社を挟まない場合、重要事項の説明を受ける ...
ReadMore
寄付について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 「遺言で寄付を」という趣旨のチラシをよく見かけますので、寄付について調べてみました。 寄付(寄附)とは? 公のことや事業のため、金銭や品物を贈ること。 辞書から引用 寄付という言葉は、物品等を含みますが、区別する意味で、物品等を寄付する場合は、寄贈と表現することもあるようです。 寄付市場は拡大中 2010年の個人寄付総額は約4800億円ですが、2020年の個人寄付総額は、1兆2,162億円です。 ...
ReadMore
介護保険制度について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 介護保険について調べる機会があったので、記事で情報をまとめてみました。 介護保険とは 介護保険制度は、高齢者の介護を、社会全体で支え合う仕組みです。 介護保険法 第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保 ...
ReadMore
会社設立後の許認可ごとの必要な事業目的
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 会社設立の際に、許認可を控えている場合は、事業目的に許認可に耐えうる文言を入れておく必要がありますが、 毎回確認するのは大変ですから、ある程度まとめて記事にしてみました。 (R5.7.15編集) 許認可が必要な事業例 業務内容 目的の記載例 運送業 一般貨物自動車運送事業 ※(許可)トラックなどの運送 特定貨物自動車運送事業 ※(許可)荷主が1社に特定されているトラックなどの運送 貨物軽自動車運送事業 ※(届出)軽トラック、125CC以 ...
ReadMore
残高証明書・取引履歴の取得
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 聞かれることの多い、相続手続時における残高証明書と預金口座の取引履歴の取得について、記事にしてみたいと思います。 残高証明書・預金口座の取引履歴の取得 相続時に必要な場面 これらの資料は、相続税申告が必要なケースで、準備することになります。 残高証明書 特定の日付時点における、預金、有価証券、投資信託などの残高、保有口数などを、金融機関が証明してくれる書類です。 預金口座の取引履歴とは? 預貯金口座の過去の入出金の履歴が ...
ReadMore
死亡届と死亡記載事項証明書
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、死亡届の取り扱いについてまとめています。 死亡届とは? 届出義務者は、死亡事実を知ってから7日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から三箇月以内)に、役所に届出をしなければなりません。 遺体を安置している葬儀社が、代わりに提出してくれることもあります。 第八十六条 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これを ...
ReadMore
相続人が誰もいない場合
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、相続人が誰もいない場合の手続きについて記載したものです。 ご自由にご覧ください。 相続人が誰もいない場合に、財産はどうなる? わかりづらいですが、まず、相続財産は法人になります。財産それ自体が法人格を持つということです。 そして、その相続財産を管理及び清算するためには、利害関係人又は検察官からの請求により、家庭裁判所で相続財産の清算人を選任してもらう必要があります。 第六章 相続人の不存在 (相続財産法人の成立) 第九百五十一条 相続人の ...
ReadMore
HOME
会社法