会社設立後の許認可ごとの必要な事業目的

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

会社設立の際に、許認可を控えている場合は、事業目的に許認可に耐えうる文言を入れておく必要がありますが、 毎回確認するのは大変ですから、ある程度まとめて記事にしてみました。

(R5.7.15編集)

 

許認可が必要な事業例

業務内容 目的の記載例
運送業 一般貨物自動車運送事業 ※(許可)トラックなどの運送
特定貨物自動車運送事業 ※(許可)荷主が1社に特定されているトラックなどの運送
貨物軽自動車運送事業 ※(届出)軽トラック、125CC以上のバイク便など
貨物自動車利用運送事業 ※貨物自動車運送事業者が、事業計画変更(経営)許認可を受けた場合。
貨物運送取次事業 ※H15~許認可不要に
貨物利用運送事業 (旧:貨物利用取扱事業法 現:貨物利用運送事業法)
第一種貨物利用運送事業 ※(登録)第二種以外すべて。一部区間のみ移送手配する場合
第二種貨物利用運送事業 ※(許可)出荷から納品までの鉄道、航空、海運、自動車をすべて手配する場合
一般乗用旅客自動車運送事業 ※タクシー等
一般貸切旅客自動車運送事業 ※観光バス等
一般乗合旅客自動車運送事業 ※路線バス等
特定旅客自動車運送事業   ※ホテル送迎バス、スクールバス等
神奈川運輸局:陸上の交通
関東運輸局:貨物利用運送を始めるには
国土交通省:一般貨物自動車運送事業を始めるには
貨物利用運送法・貨物自動車運送事業法
介護事業 介護保険法に基づく通所介護事業
介護保険法に基づく居宅サービス事業
介護保険法に基づく居宅介護支援事業
介護保険法に基づく施設サービス事業
介護保険法に基づく訪問介護事業
介護保険法に基づく地域密着型サービス事業
介護保険法に基づく介護予防サービス事業
介護保険法に基づく介護予防支援事業
介護保険法に基づく第1号事業
横浜市:定款への事業名の記載について
建設業 神奈川県の場合は【建設工事業 又は 建設工事請負業】、東京都の場合は【建築・土木工事の施工及び請負業】で29種を網羅できます。以下は、建設業29業種のうち、個別に目的を追加したい場合の事業目的です。
土木一式工事・建築一式工事・大工工事・左官工事・とび・土工・コンクリート工事・石工事・屋根工事・電気工事・管工事・タイル・れんが・ブロック工事・鋼構造物工事・鉄筋工事・舗装工事・しゅんせつ工事・板金工事・ガラス工事・塗装工事・防水工事・内装仕上工事・機械器具設置工事・熱絶縁工事・電気通信工事・造園工事・さく井工事・建具工事・水道施設工事・消防施設工事・清掃施設工事・解体工事
※監督官庁から指定がある場合あり。〇〇に関する管工事業・〇〇の設備工事業
神奈川県:建設業許可申請の手引き及び申請書等のダウンロード
職業紹介事業 有料職業紹介事業
労働者派遣事業 ※特定と一般の区別は廃止
厚生労働省:労働者派遣事業を適正に実施するために
中古品の販売等 古物営業法に基づく古物商
産業廃棄物処理 産業廃棄物処理業 (処分と収集運搬を兼ねる)
産業廃棄物収集運搬業
産業廃棄物処分業
特別管理産業廃棄物収集運搬業
特別管理産業廃棄物処分業
一般廃棄物処理業 ※取得困難な許認可
横浜市:産業廃棄物処理業の許可申請について
酒類販売 酒類の販売業
飲食店 飲食店の経営
宅地建物取引業 不動産の売買、賃貸、管理及びそれらの仲介
理美容業 美容業
理容業
理容室の経営
美容室の経営

※上記は一例であり、地域ごとに取り扱いが異なることがあります。

※許認可を取得する場合は、事業目的以外にも要件があります。

Wikipedia:日本の許認可一覧

 

事業目的を追加・変更する登記

事業目的変更登記費用は、司法書士報酬+実費+登録免許税3万円(区分ツ)です。総額で5~6万円ほどですね。

 

会社設立時に許認可のことを考慮しておらず、会社設立後に目的変更登記が必要になった場合は、余分な登録免許税の支払いがありもったいないので、会社設立の際には、許認可の申請先に必要な事業目的について、事前に確認しておきましょう。

 

以上、参考になれば幸いです。

 

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