離婚とその後のひとり親世帯について

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。 

子どもの権利に関する研修を受けた際に、個人的に有益だと思った情報を令和3年度の情報を、国の調査結果から引用して記事にしてみました。

引用 厚生労働省:全国ひとり親世帯等調査結果報告

 

ひとり親世帯の現状

日本では、子どもの相対的貧困率は7人に1人であるところ、ひとり親世帯となると、ひとり親の2人に1人が貧困(その子も貧困)だそうで、詳しく知っておこうと思い、テーマとして取り上げてみました。

 

相対的貧困という概念はあいまいですが、その国において大多数の人々と比較した場合に、著しく所得が低い状態、つまり、格差がある状態を指す言葉と理解しておけば問題ないでしょう。

 

内閣府:子供の貧困対策

 

 

世帯数

母子世帯数 119.5万世帯 (減少傾向)

父子世帯数  14.9万世帯 (減少傾向)

 

ひとり親になった理由

離婚 約80% 

死別 約8%

その他 未婚、非婚等

 

離婚件数

婚姻件数及び離婚件数は、ともに減少傾向にあります。

婚姻件数

平成22年 約70万件

令和 3年 約50万件

離婚件数 

平成22年 約25万件

令和 3年 約18万件

 

いずれにせよ、3組に1組は離婚するということになりますから、ひとり親となった場合に、どのように生活していくかについては、あらかじめ対策しておくことが重要になります。

以下に記載しますが、養育費は期待できないことも多いため、婚姻中に資格、スキル、人脈を作っておくことなどが望まれます。

 

 

平均年間就労収入(母又は父自身)

母子家庭 236万円(手当等含め272万円)

父子家庭 496万円(手当等含め518万円)

母子家庭の8割が就業していますが、正社員・パートアルバイトの割合は半々です。

 

子どものいる世帯全体の平均収入 

母子家庭 373万円

父子家庭 606万円

 

子の大学等進学率

平成28年 記録なし

令和 3年 約66.5%

 

全体の進学率は56%ほどだったと記憶していますから、進学率はかなり高いことになります。

相対的貧困率には資産の額や、過去の収入は含まれませんので、親の援助や奨学金によりやりくりしているということも考えられます。

となるとやはり、ひとり親世帯の貧困の話は、そんなに深刻な問題なのかどうかについては、判然としませんね。

 

面会交流について

離婚時に面会交流の取り決めをした割合

母子世帯 30.3% (増加傾向)

父子世帯 31.4% (増加傾向)

 

面会交流の実施状況

現在も面会交流を行っている (母子家庭)30.2%  (父子家庭)48.0%
面会交流を行ったことがある (母子家庭)20.9%  (父子家庭)15.7%
面会交流を行ったことがない (母子家庭)45.3%  (父子家庭)31.6%

 

 

 

養育費について

離婚時に養育費の取り決めをした割合

母子世帯・父から母への支払い 46.7% (増加傾向)

父子世帯・母から父への支払い 28.3% (増加傾向)

 

養育費の取り決めをしていない理由

自分の収入等で経済的に問題がない (母子家庭)7.3% (父子家庭)32.9%
取り決めの交渉がわずらわしい (母子家庭)19.4%(父子家庭)19.9%
相手に支払う意思がないと思った (母子家庭)40.5%(父子家庭)32.0%
相手に支払う能力がないと思った (母子家庭)33.8% (父子家庭)38.5%
相手に養育費を請求できることを知らなかった (母子家庭)0.8% (父子家庭)1.9%
子どもを引きとった方が、養育費を負担するものと思っていた (母子家庭)1.8% (父子家庭)11.8%

 

養育費の受給状況

現在も養育費を受けている (母子家庭)28.1%  (父子家庭)8.7%
養育費を受けたことがある (母子家庭)14.2%  (父子家庭)4.8%
養育費を受けたことがない (母子家庭)56.9%  (父子家庭)85.9%

 

依然として、養育費の受給率は低いですが、民事執行法改正により、強制執行が行いやすくなったため、こちらの受給率は増加するものと思われます。

強制執行の手間を少なくするため、離婚時には離婚給付等契約の公正証書を作成することを推奨します。

 

ひとり親家庭等の自立支援等

就労支援、相談事業、児童手当、生活支援、子育て支援などが行われています。

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