相続税が発生する場合に準備するもの

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。

この記事では、相続税の申告が必要な場合にはどんな手続きが必要になり、どのような書類を集めておくと二度手間にならないのかといった点を詳しく解説してみたいと思います。

 

 

 

 

相続税申告までの流れ

1.相続財産の概要を調査し、相続税申告の要否を判断します。

2.相続財産(プラス・マイナス)含むすべての詳細を調査します。

3.申告書を作成し、税務署に申告します。

 

1~2までをご自身である程度行うのはそこまで難しくはないと思いますが、3が想像以上に大変な作業になります。

そのため、ほとんどの方は相続税申告を税理士にお願いしているというのが現状のようです(財務省の資料によると8割強が税理士に依頼)。

お金を国に支払う側なのに、その計算にかかる手間賃まで自分で負担しろという事ですね。

 

どんなふうに大変かは、次のページをご覧いただくとお分かりになると思います。

計算も、提出書類も複雑で、なおかつ各種特例や控除をうっかり利用し忘れると大損してしまうことになるというのが、ほとんどの方が税理士を頼る理由でしょうね。

国税庁:相続税の申告のしかた

国税庁:相続税申告書等の様式一覧

国税庁:相続税申告書の記載例

国税庁:相続税申告書作成時の誤りやすい事例集

 

 

 

相続税の申告は必要?

基礎控除額を超える遺産がある場合には、相続税の申告が必要です。

 

ご自分で基礎控除額を超えるかどうかの判断を行いたい場合は、こちらの国税庁:簡易チェックシート(平成27年度版)をご利用ください。

あくまで簡易チェックシートは生命保険や退職金の非課税枠(法定相続人×500万円)等が考慮されていない簡易版のようですので、さらに正確に判断したい方はこちら国税庁:相続税申告要否判定コーナーや、国税庁:相続税申告要否検討表をご利用ください。

 

相続税や基礎控除額について知りたい方はこちら

相続税についてわかりやすく解説します

目次1 相続税とは2 いつ誰が払う?3 税額の計算3.0.1 ※1 各人の課税価格?3.0.2 ※2 基礎控除の額?3.0.3 ※3 法定相続分3.0.4 速算表3.0.5 各種控除4 10か月以内に ...

続きを見る

 

 

 

相続税の申告のために準備するもの?

相続財産が基礎控除額を超えることが明らかな場合は、相続開始翌日から10か月以内に相続税の申告を行う必要があります。

よって、先ほどお話したとおり、上記のような面倒な申告に期限まで設けられているという取り扱いのため、税理士にご相談になることをお考えなのではないかと思います。

 

税理士にご相談になる場合でも、揃える書類は結局同じですから、必要になることが初めからわかっている書類はなるべく事前の相続手続きの段階でそろえておきましょう。

ある程度書類をそろえておくことで、あとが楽になります。具体的には次のような書類です。

集めておくと申告がスムーズな書類
相続関係書類 ・戸籍謄本、住民票、印鑑証明書、遺産分割協議書、本人確認書類など
※相続開始から10日経過後に取得したもの
当事務所に登記手続や戸籍収集等をご依頼になられている場合はお渡しした【相続関係書類一式】
不動産関係書類 ・評価証明書
・登記事項証明書(謄本)
・各種契約書…賃貸借契約書など
預金関係 ・残高証明書
・既経過利息計算書
・過去5年分の通帳(記載が足りない場合は履歴取得)
有価証券 (上場) ・残高証明書、登録証明書、預かり証明書など
・取引報告書、配当金の支払通知書など
・過去3年分の取引明細
有価証券 (非上場)(例)自分の中小会社の株を持っていた場合等 ・過去3期分の決算書や税金の申告書一式
・法人が所有している財産の各種証明書、明細書
・株主名簿、リスト
生命保険、返戻金、退職金など ・保険金支払通知書
・保険証書
・返戻金がわかる書類
・退職金の支払通知書
借金、立替金、葬儀費用など ・金銭消費貸借契約書
・借入残高証明書
・葬儀の領収書
・相続開始時に支払った費用の領収書(未払いの税金、光熱費、医療費など)
その他(課税価格とされるものや控除に使えそうな書類一式) 税金の申告書、贈与契約書など過去数年分の大きな財産の動きがわかるもの

 

こちらにさらに詳しく記載があります。国税庁:相続税申告のためのチェックシート

 

 

税理士に頼んだ場合の費用感

遺産総額×0.5~1% + 実費

 

調査したところ遺産総額×0.5~1%というのが相場のようです。

遺産が1億円なら税抜50万円~100万円という事ですね。

 

ちなみに、平成13年に旧報酬基準は撤廃され、現在は報酬基準が自由化されているとのこと。税理士の旧報酬基準は次とおりです。

【基準報酬】

 税抜10万円 + ※ n 円  

【加算報酬】

①「遺産の総額」に係る報酬額については、共同相続人(受遺者を含む。)1人増すごとに10%相当額を加算する。
②財産の評価等の事務が著しく複雑なときは、基本報酬額を除き、100%相当額を限度として加算することができる。

 

※nにあてはめる金額基準表

 

[遺産の総額]
 5,000万円未満    200,000円
 7,000万円 〃    350,000円
     1億円 〃    600,000円
     3億円 〃    850,000円
     5億円 〃  1,100,000円
     7億円 〃  1,350,000円
    10億円 〃  1,700,000円
 10億円以上  1,800,000円
 1億円増すごとに  10万円を加算

 

このようにみると今と昔の相場は大きく変わってはいないという事がわかりますね。

 

 

 

税理士の選び方

「どの税理士に頼めばよいのかわからない」というお悩みがある方も多いのではないでしょうか。

 

ご存じない方も多いのですが、税理士のうち税理士試験5科目全てに合格した方というのは4割しかいません。6割は試験の受験科目を一部免除された人達と他資格者というのが現状のようです。

さらに、税理士試験を合格した猛者だとしても、その試験科目のうち「相続税」については必須科目ではなく、選択科目とされています。

何をお伝えしたいのかといいますと、「相続税申告についてはまったくわからない」という税理士が世の中にはたくさんいるという事です。

 

このような状況の中で、信頼できる税理士を探したい場合、何に気をつければよいのでしょうか。

 

1.報酬基準を見る、事前見積を依頼する

先ほどの相場から大きく外れていないか、納得感のない報酬基準を設定していないかなどを確認しましょう。

相続税の申告を頼むだけなのに、節税になった分の成功報酬などを請求している事務所は、後で計算してみると高額になりがちなのでやめておいた方が無難です。

税理士なのに専門分野以外の相続手続(不動産登記、自動車登録、年金手続)の見積りが含まれる場合などにも、提案内容は慎重に精査しましょう。

 

 

2.知人に紹介してもらう

相続税申告で過去に知人がお世話になった先生がいるなどの事情がある場合は、そのお知り合いの紹介によるのが最も無難ですね。

申告実績があるのであれば、まずもって全くの素人という線はなくなりますし、どんな人柄かもある程度は事前に知ることができます。

出会い系サイトで人と会うよりも、知人の紹介で友達を紹介してもらったほうが安全なイメージがあると思いますが、そのまま士業選択でもあてはまりますね。

反対に業者からの紹介は見積もりが高額になりがちなので、充分に気を付けましょう。

 

 

3.専門の税理士に依頼する

相続税の申告については、通帳記帳や決算書作成などの業務とは違い、近くにある税理士事務所に気軽に依頼するというよりは、その業務を専門に扱っていて実績のある事務所を探して依頼するのが無難だと思います。

たとえば、行政書士でいうところの難易度の高い許認可、司法書士でいうところの債務整理のようなものでしょうか。

細かい実務上の論点を知っているか知っていないかで対応が大きく変わるはずだからです。

 

 

4.個人か法人か

税理士に目星をつけて面談依頼する場合に、個人に依頼するか、法人に依頼するかでも迷ったとき、法人のほうが安心感があるとお思いになる方も多いのではないでしょうか。

しかし、士業事務所の法人化は資格者一人でも可能ですし、税理士に限らず士業はどこの事務所も相変わらずブラックな労働環境だとささやかれており、企業経営についてはまだまだ発展途上の業界とも言えます。

現段階では、人数がいるからといってガバナンスが効いていると安心する事はできないという事です。

そのため事務所選択の際には、組織形態で選択するよりも実際に事前見積りを依頼して面談も行い、資格者が表に出てくるのか、親身になってくれるのか、ミスしそうではないかなど担当者の人柄をしっかりと確認して判断されるのが良いと思います。

 

 

豆知識

「税理士試験に合格していないのに税理士なの?」とショッキングに思われるかもしれませんが、法律に次のように定められています。

税理士法第三条
次の各号の一に該当する者は、税理士となる資格を有する。ただし、第一号又は第二号に該当する者については、租税に関する事務又は会計に関する事務で政令で定めるものに従事した期間が通算して二年以上あることを必要とする。
一 税理士試験に合格した者
二  第六条に定める試験科目の全部について、第七条又は第八条の規定により税理士試験を免除された者
三 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
四 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

近年の調査によると第一号と第二号が約4割ずつ、第三号と第四号が2割の割合とのことです。

こちらのページに誰が何を免除されているのか?というわかりやすい表がありますね。

言い方は悪いですが、お金に余裕がある人達や、公務員を長くやっていた人は、税理士になりやすい仕組みになっています。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では相続税の申告と必要物について記載しましたので、司法書士と税理士のすみ分けがわかりづらくなってしまっていたら申し訳ございません。

基本的に相続手続きは司法書士が行い、必要な時は相続税申告を税理士に依頼し、トラブルが発生した場合は弁護士が調整するというイメージとなります。

 

相続税申告の要否判定というのは、相続人調査や相続財産調査などがある程度終わってからの話ですから、基本的に相続の最初の相談窓口は司法書士がベストです。

相続財産の調査や聞き取りを行う中で、相続税申告については司法書士から必ず説明があるはずです。司法書士は相続のプロですので、相続税のことも司法書士であれば誰でも気を付けているからですね。

 

また、司法書士と弁護士は業者紹介によるキックバックを貰うことが倫理規定で禁止されていますので、税理士への相談をご提案した場合にも、他事業者のように報酬が上乗せされるようなことがありません。

ですから、安心してまずはお近くの司法書士にご相談ください。

 

以上、相続税の申告についてお悩みの方の参考になれば幸いです。

 

 

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