司法書士 廣澤真太郎
この記事を読むと、当事務所に会社の解散・清算結了登記をご依頼いただいた場合の手続の全体像をつかむことができます。
もちろん、会社の解散について知りたいという方にも有益です。

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会社の解散・清算・清算結了
前提して会社の解散について簡単に説明します。
次の図をご覧ください。

このように、会社は解散するだけでは消滅しません。
会社の解散後、清算会社となり、清算手続きを経てから法人格が消滅します。
法人にはたくさんの利害関係者がいますから、「今日でうちの会社を解散することにします!」と言って、明日には法人格がなくなっている…という事にはもちろんならないわけです。
しかるべき清算手続き手順があり、その大枠は会社法で定められています。
清算会社が行う清算手続きの大枠の流れ
1.会社の財産調査
2.現務の結了
3.財産を換価
4.債権取り立て
5.債務弁済
6.残余財産を株主に分配
実務では①解散及び②清算結了の登記は司法書士に、清算手続きは税理士に、債務超過(いわゆる倒産)の場合の債務整理は弁護士にそれぞれご依頼になるかと思いますので、
とくにこの手順を覚えていただく必要はありせん。
会社の解散から清算結了までの流れ

当事務所にご依頼をいただいた場合の流れを記載しておきます。
通常、会社の解散は株主総会の特別決議で行います。会社の解散から清算結了まで、最短で2か月半の期間は必要になるので、その点に注意てください。
step
1株主総会の特別決議 (当事務所で作成)
当事務所で登記必要書類一式を作成してご案内します。
清算人の選任と解散の決議を行います。
step
2解散登記申請 (当事務所)
登記申請を行います。2週間ほどで登記完了します。
step
3債権者保護手続
具体的には債権者に対する官報公告を行います。最低2か月という期間、公告を行う必要があります。
また、判明している債権者には個別に催告書を送付していただきます。(会社法499条)
「連絡をくれればお支払いをしますよ」と、把握していない債権者も含めて全員にできる限りコンタクトをとりましょうという事ですね。

法定公告について:官報PDF
step
4各種機関に解散の届出 (清算人となる方)
清算人は通常、会社の役員だった方々がそのまま就任する事が多いです。
登記完了後、税務署、県税事務所、市町村役場、年金事務所、健康保険組合、ハローワーク等に異動届等の提出が必要になります。
解散の旨記載の登記事項証明書を持参してください。
step
5清算手続・確定申告を行ってください (税理士・弁護士)
解散日現在の財産目録、貸借対照表を作成し、株主総会の承認を経て会社に保管しておきましょう。
また、会社の解散時や残余財産確定時にそれぞれ確定申告が必要ですので、税理士等にご依頼ください。
債務超過の場合は弁護士に破産、特別清算手続についてご相談ください。
step
6決算報告書を株主総会で承認 (当事務所で作成)
決算報告書を株主総会で承認していただきます。当事務所で書類は作成致します。
step
7清算結了の登記申請 (当事務所)
清算手続きが終了し、2か月の公告期間を経たタイミングで清算結了の登記申請を行い、2週間ほどで登記完了します。
会社の解散・清算手続きはここで終了になります。
解散日の決定
解散日は、申告のタイミングに影響するので、税理士に確認することをおすすめします。
申告のタイミング
事業年度開始月から解散日をみなし事業年度として、一度、申告が必要です。
また、残余財産が確定するまでに1年以上の期間を要する場合は、解散日の翌日から1年毎に申告が必要になります。
さらに、残余財産確定後、残余財産の確定日までの期間が最終事業年度となり、最後の申告が必要になります。
合計で、最低2回の申告が必要になるということです。
登記費用の目安
当事務所報酬(税抜) 8万円~
登録免許税・実費の目安 約10万円
内訳
官報公告 約3万2000円
登録免許税 4万2000円(その他の登記申請が必要な場合除く)
諸費用 約5000円
消費税 10%
まとめ

いかがでしたでしょうか。
簡単にまとめると解散・清算手続きは、
まず業務を終了して会社を解散後、財産を全て現金化して債権者には返済を行い、財産が残れば出資者に分配して残金を0円にしたら、最終的に法人格を消滅させることができる流れになりますね。
解散及び清算結了の登記は司法書士に、清算手続きは税理士に、債務超過(いわゆる倒産)の場合の債務整理は弁護士にそれぞれご依頼いただくのが通常です。
以上、会社の解散についてお悩みの方の参考になれば幸いです。
もっと詳しく知りたい方は条文をご参照ください
会社の解散について 会社法 641条~643条
会社の清算について 会社法 644条~675条
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