
この記事では、合同会社の社員について、解説しています。
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合同会社の社員とは?
合同会社の社員とは?
会社法で定める会社のうち、持分会社(合名・合資・合同会社)の出資者のことを指します。
社員は民法第12節の組合員に多少似ている地位で、会社法で社員の責任や権限などが定められています。
厳密には、運営について組合との細かい違いがたくさんありますが、持分会社のうち合同会社社員と組合員の最も大きな違いは、合同会社社員が間接有限責任であるという点でしょう。
間接有限責任社員とは?
株主の地位と同様で、出資した金額に応じた責任は負うものの、出資した金額を超える分についてまで責任を負わなくてもよいという地位です。
間接というのは、会社と連帯して債権者に対する債務を負うのではなく、社員になる際に出資した金額についてのみ責任を負うという意味です。
例えば、証券取引所で株式を買ったとして、出資した金額の変動リスクは負ったとしても、会社の債権者から債務の請求がきたり、倒産時に債務をすべて負担しなければならないような取り扱いはありませんよね。有限責任だからそれ以上の責任を追及されないということです。
ただし、もちろん業務を執行する社員や株式会社の役員等は、その運営に悪意や重過失があり、かつ、第三者に損害を与えた場合には、会社と連帯して損害を賠償する責任があります。
ポイント
個人事業主、士業法人、民法組合は無限責任であるため、株式会社や合同会社よりも責任が非常に重い組織形態といえます。
民法
(組合契約) 第六百六十七条 組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
~省略~
会社法
(社員の責任)第五百八十条 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
2 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
(業務を執行する有限責任社員の第三者に対する損害賠償責任)
第五百九十七条 業務を執行する有限責任社員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該有限責任社員は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
~省略~
社員の種類?
業務執行社員とそうでない社員とに分かれます。
原則、社員(出資者)全員が業務執行社員となりますが、定款で定めることで業務を執行しない社員を定めることができます。
誤解を恐れずに株式会社で例えると、原則として出資者は役員兼株主で、定款で定めた場合は業務執行社員が役員兼株主で、業務を執行しないこととした社員は株主に近い地位になります。
(業務の執行) 第五百九十条 社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。
2 社員が二人以上ある場合には、持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。
3 前項の規定にかかわらず、持分会社の常務は、各社員が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の社員が異議を述べた場合は、この限りでない。
業務責任社員の責任とは?
株式会社の役員等と同様で、会社との関係での責任が定められています。箇条書きすると次の通りです。
- 善管注意義務
- 競業禁止
- 利益相反取引の制限
- 持分会社に対する損害賠償責任
- 第三者に対する損害賠償責任
(会社法593条~594条)
代表社員は誰がなるのか?
原則、業務執行社員が各自代表しますが、株式会社と同様に、一部の人を定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって代表者とすることも可能です。
代表者が職務を行うについて第三者に加えた損害については、持分会社もその責任を負うことになります。
ポイント
「代表取締役」は株式会社の代表者の肩書なので、外部には「代表社員」と表示する事になります。
(持分会社の代表)
第五百九十九条 業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の業務を執行する社員が二人以上ある場合には、業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。
3 持分会社は、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる。
4 持分会社を代表する社員は、持分会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
(持分会社を代表する社員等の行為についての損害賠償責任)
第六百条 持分会社は、持分会社を代表する社員その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
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