司法書士 廣澤真太郎
相続人申告登記の通達(法務省民二第535号令和6年3月15日)がでましたので、記事にしてみました。ご自由にご覧ください。
相続人申告登記とは
民法等の一部を改正する法律による相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行)に伴い、創設された制度です。
基本的には、期限内に相続登記を行えば良いため、現状、次のようなケースで、相続登記が行えない場合などに、活用することが考えられます。
・相続人に非協力的な方がいて、登記申請が行えない場合
・相続人に行方不明者がおり、かつ、何らかの事情で管理人制度は利用できない場合
・遺産分割協議に時間がかかるが、持分を売却されると困る等の理由で、法定相続登記を行いたくない場合
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相続人申告登記の特徴
相続人申告登記を行うことで、法定相続登記の申請義務を免れることができます。
ただし、その後の遺産分割協議が調った後、3年以内の申請義務を免れることはできず、また、将来的に不動産を処分(売却・担保設定)する場合は、別途、相続登記を行う必要があります。
よって、前述のような事情がない場合は、二度手間となるだけなので、原則として、相続登記を行うべきです。
過去記事
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相続人申告登記・相続登記の期限
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提出書類
法定相続登記をする場合と、ほとんど同じです。
・申出書
・(相続関係説明図)
・登記名義人の同一性を証する情報
・関係性を証する戸籍謄本等 ※法定相続情報一覧図の右上の番号を記載することで省略可能
・(申出人の住所証明情報) ※日本に住民票がある方であれば、①生年月日 ②氏名のフリガナ(外国籍の方はローマ字氏名)を記載すれば、省略可能
・委任状
添付書面の原本還付申請、補正等の取り扱いについて
不動産登記の場合とほとんど同じ扱い
手続きのポイント
備忘録としての記載です。権利義務を公示するものではなく、過料を免れる以外の効果はないため、法定相続登記よりも簡易的な扱いになっています。
・オンライン申請可能 ※申出書に電子署名、押印不要(添付書類には必要・資格者代理人は必要)
・他の相続人の分も含め、代理での手続可能
・法定相続分の確定不要
・非課税
・申出後、住所氏名の変更、相続放棄した相続人がいる場合などには、再度、申出手続きが必要
申出の目的の例
・相続人申告
・何番付記何号名義人氏名変更
・何番付記何号名義人住所変更
・何番付記何号名義人氏名更正
・何番付記何号名義人住所更正
・何番付記何号相続人申告事項更正
・何番付記何号名義人抹消
・何番付記何号名義人一部抹消
申出原因の例
・年月日相続人申出
・年月日氏名変更
・年月日住所移転
・錯誤
一括申請
(1)①申出人の氏名及び住所② 代理人によって申出をするときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名③ 申出の目的が、同一であるときで、同一の登記所の管轄区域内にある一又は二以上の不動産の申し出をおこなうとき
(2)同一の登記所の管轄区域内にある一又は二以上の不動産について、同一の相続人申告名義人の氏名又は住所についての変更又は更正の申出をするとき。
(3)同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について、抹消の理由並びに抹消すべき次に掲げる事項が同一【(エ) 所有権の登記名義人(申出人が所有権の登記名義人の相続人の地位を相続により承継した者であるときは、中間相続人)について相続が開始した年月日 又は 中間相続人があるときは、次に掲げる事項(当該事項が既に所有権の登記に付記されているときを除く )。a 中間相続人の氏名及び最後の住所b 中間相続人が所有権の登記名義人の相続人である旨c 所有権の登記名義人について相続が開始した年月日】である相続人申告登記の抹消の申出をするとき。
費用等
非課税のため、送料や登記簿調査費用などの実費。
司法書士に依頼する場合は、別途報酬。
まとめ
いかがでしたしょうか。内容としては、ほとんど法定相続登記を場合と同様であり、例えば、父が亡くなり、続いて母、そして子と次々に相続が発生しているような場合には、相続登記同様に、一般の方が手続きを行うのは困難になるものと思われます。
また、原則として、相続登記を行えばよいのであり、相続人申告登記を行うのは、特別な事情がある場合に限られるので、まずは、一度、お近くの司法書士に、ご自身の状況はどういった状況なのかや、どのような手続きを選択すべきなのかについて、ご相談いただくことを推奨いたします。
当事務所では、上記の手続きを、戸籍収集から申請まで、ひとまとまりで受任することも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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