自動車の相続についてわかりやすく解説

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。 

 

この記事は、相続財産に自動車が含まれる方向けの記事です。

相続財産に自動車が含まれる場合に、どうすればよいのか調べても、ごちゃごちゃしていて答えにたどりつかず、イライラされてませんか?

この記事をご覧いただければ、あなたが次に何をすべきかがわかります。

 

 

[toc]

 

車の相続手続きの流れとやることについて

 

大まかな全体の流れ

① 車の所有者を確認

② 相続人から名義人となる人を決める

③ 名義変更する 

④ 廃車・売却・引継ぎのうちどうするかを決める 

⑤ 手続きする

 

1.まずは所有者確認

 

故人が乗っていた自動車がそもそも、故人のものなのかどうかを確認しましょう。

具体的には、車検証を確認します。車検証は車の中に備え付けされているはずですから、車の中を探してみましょう。

 

 

所有者がディーラ―になっている場合はローン支払い中で故人の相続財産ではないという事を意味していますから、ディーラーに連絡してみて下さい。

通常はローンを相続財産から一括支払いするか、再度相続人の誰かがローンを組みなおして、その後に名義変更を行うということになると思います。

連絡した際にその後の流れを案内してもらえるはずです。

 

所有者が故人なら次の解説に進んでください。

 

2.相続人のうち誰が名義人となるかを決める

 

持ち主が亡くなると、車は相続人皆さんの持ち合い状態(共有)になりますが、誰が引き継ぐのかを自分達で決めることができます。

引き継ぐ人が決まっている場合はその方が次の手続きを行います。

 

 

廃車にしたい場合などで、価値のある車の場合や売却予定の場合を除いては、相続人のうち1名が引き継ぐことにしておくのが良いでしょう。

後で全員で陸運局での手続きが必要になるなど煩雑だからです。

 

3.手続きの必要物をある程度用意しておく

必要物の例

・車庫証明(管轄の警察で発行から1ヶ月以内のもの)

・車検証

・自賠責保険証明書又は損害賠償責任共済証明書

・自動車税納税証明書、自動車税申告書、リサイクル券など

その他

・遺産分割協議書(相続人全員で実印押印):国土交通省ひな形 ※軽自動車等の場合不要

・あれば遺言書 ※軽自動車等の場合不要

・相続を証する書面 (不動産の相続登記を当事務所にご依頼いただいている場合には、お返しした黒ファイルの書類一式。)

※軽自動車の場合行政区によって要否の取り扱いが異なるようですが、通常は不要

・手続きする方の住民票、印鑑証明書、実印

 

 

4.陸運局又自動車検査登録事務所(軽自動車は軽自動車検査協会)で名義変更をする

普通車など登録している自動車は、不動産と同じように、相続登記ならぬ相続登録をすることになります。

 

廃車(処分)するにも売却するにも、いずれにせよ事前に陸運局等での名義変更手続きが必要だということです。名義変更しないと手続きが先に進みません。

(軽自動車等登録してない車は、窓口が軽自動車検査協会になり、名義変更手続きが多少簡単になります。)

 

自動車の相続登録は放っておくと後で事故をしたときなどに相続人全員に責任があるなど、大変なので気づいた時点で手続きをすすめておくことをお勧めします。

 

具体的には必要物を用意して陸運局などに足を運び、案内のとおりに手続きをすれば完了です。

申請書の作成が難しければ周辺に行政書士事務所があるはずなので、数千円支払えば書類を作成してくれます。

 

必要物

例を挙げておきます。実際には陸運局などに問い合わせしてから準備するのが好ましいと思います。

その際、廃車を検討している場合は後の手続きについても案内してくれますから、その旨を伝えて判断を仰ぎましょう。

戸籍謄本等一式の準備、遺産分割協議書の準備は司法書士にお願いするという方法もあります

 

(例)普通自動車かつ相続人が複数いる場合で、1名を名義人(使用者)と定めた場合

・車検証

・車庫証明

・遺産分割協議書

・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、除住民票

・相続人全員の現在の戸籍謄本

・相続人の印鑑証明書

・名義変更する方の住民票

・手数料納付書 ※運輸局で取得

 

管轄の検索はこちら(軽自動車の管轄の検索はこちら)

国土交通省こちら

 

5.具体的な処分方法を選択する

ひとまず名義変更が終わったら、次にその車をどうするのかを検討します。

一般的なパターンとしては、次の3つから選択します。

✅ 売る

✅ 引き続き乗る

✅ 廃車(処分)

 

売りたい場合

中古車販売ディーラー等に連絡し、案内された必要物を渡せばあとは案内してくれるはずです。

不動産売買で不動産仲介を探すのと同じですね。

 

引き続き乗りたい

引き続き乗る場合は、任意保険、自賠責保険の手続きを忘れずに行います。

 

廃車(処分)したい場合

売却もできない車で価値もないのなら、最終的には廃車を選択することになると思います。

次の選択肢から手続きを選択することになるでしょう。

✅ 廃車専門業者に依頼する

✅ 廃車買取業者に依頼する 

✅ 自分で廃車手続きを行う(一時抹消とするか、永久抹消とするかを選択する)

 

用語解説

一時抹消…いつか車に再度乗るかもしれない場合の手続き。一時抹消すると公道が走ることができなくなるが、再度登録しなおせば再使用できるようになる。

永久抹消…車を解体してから、登録を抹消する手続き。つまり解体して処分するならこの手続き。業者に車を引き取ってもらい、後日運輸局で抹消の手続きを行う。

 

自分で廃車手続きする場合の流れ

 

永久抹消のおおまかな流れ

① 解体業者に解体依頼

② 必要物を持参し運輸局等で永久抹消登録手続・ナンバーの返却(軽自動車は軽自動車検査協会で解体返納手続)

③ 税金の還付手続(自動車税・自動車取得税申告書の提出) ※不要な場合あり

※解体業者からもらう書類は要保管

手続きで必要な解体通知や移動保管番号(車検証と一緒に保管しているはず)を紛失した方は、こちらのページから検索して探します。

 

一時抹消のおおまかな流れ

① 必要物を持参し運輸局等で一時抹消登録手続・ナンバーの返却(軽自動車は軽自動車検査協会で解体返納手続)

② 税金の還付手続(自動車税・自動車取得税申告書の提出)※不要な場合あり

③ 登録識別情報通知がもらえるので大切に保管する

 

抹消登録の必要物

必要物は永久抹消と一時抹消の場合で異なりますから、事前に問い合わせておくか、運輸局ホームページで確認しておくことをおすすめします。

管轄の検索はこちら(軽自動車の管轄の検索はこちら)

国土交通省こちら

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

不動産と同じように、車もまずは相続人に名義変更をしてからその後の手続きをする点で同じですね。

 

車の名義を変更をせずに故人の車に乗り続けてしまうと、事故をしたときに相続人全員で責任を負うことになってしまいますし、

後々処分時に手続きが大変ということになってしまいますから、気づいた時点で名義変更手続きは行っておくことをおすすめします。

以上、車の相続手続きでお悩みの方の参考になれば幸いです。

 

相続・遺言のご相談

相続に関連する業務内容一覧

  相続(不動産・預金・株式等) ↑↑ 戸籍謄本等の書類収集、遺産分割協議書などの書類作成、登記申請・預金解約などの相続手続き、財産調査や借金調査などをまとめてご相談になりたい方はこちら & ...

続きを見る

 

知識ページ一覧

知識ページをご覧になりたい方はこちらから

旧法借地権と新法借地権についてまとめ

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 このこの記事では、借地借家法のうち、とくに旧法と新法の借地権の違いを分かりやすく整理し、その背景や実務上の留意点についても解説します。 借地権とは 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権の事です。 賃借権ではありますが、譲渡・賃貸することができ、所有権には劣るものの、財産的な価値があります。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 ...

ReadMore

【知らないと損する】相続登記義務化をあらためて、ポイント解説

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されることになりました。   これにより、相続人は相続が発生した日から一定の期間内に登記を行わなければならなくなります。 この義務化の背景や、相続登記を怠った場合の罰則、そして今後の不動産相続における影響について、この記事では、細かい論点は割愛して、ポイントだけを解説します。 相続登記義務化の背景 不動産の相続登記が長期間行われないケースが多く、その結果として、土地や建物の所有者が不明のままと ...

ReadMore

大切な人の「もしも」に備える。認知症対策の第一歩と専門家のサポート

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、認知症対策として、有益と思われる法的サービスをご紹介しております。 大切な人の「もしも」に備える。認知症対策の第一歩と専門家のサポート   「最近、母の物忘れがひどくなってきた気がする…」「父の財産管理がだんだん難しくなってきた…」   もしあなたが今、大切なご家族のことで、そんな不安を感じているなら、決して一人で悩まないでください。認知症は誰にでも起こりうる可能性があり、早期の備えが、ご本人にとっても、ご家族にとっ ...

ReadMore

不動産の名義変更は、当事務所にまずはご相談ください

どんなときに依頼するのがおすすめですか? 例えば、こんなとき! ✅ 不動産の名義を、妻・子供・孫に変更したい ✅ 不動産の名義変更にかかる費用や税金について知りたい  ✅ 不動産の売却、管理について相談したい ✅ これまで一度も司法書士に相談したことがなく、気軽に相談できる司法書士がいないとき   司法書士 廣澤真太郎 こんなときは、ぜひ、当事務所にお声がけください!   どんなことを司法書士に依頼できるのですか? 次のような業務 ...

ReadMore

社団法人・NPO法人の解散、清算結了登記の流れ

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 当事務所に法人の解散・清算結了登記をご依頼いただいた場合の手続の全体像について記載した記事です。       会社の解散・清算・清算結了   前提として会社の解散について簡単に説明します。 まずは、次の図をご覧ください。(図は株式会社のものですが、NPO法人、社団法人でも同様です) このように、法人は解散するだけでは消滅しません。 法人の解散後、清算会社となり、清算手続きを経てから法人格が消滅します。 &nbs ...

ReadMore

親が認知症になったら不動産売買はできない?

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 こちらの記事は、よくある老後の不動産に関する不安とその対策について、記載したものです。   認知症の人は、不動産を売ることができない なぜ、認知症(その他精神疾患)を抱える方は、不動産を売ることができないのか? 認知症が進行すると、判断能力が低下し、自分の意思で物事を決めることが難しくなります。   不動産の売却は、大きな財産に関わる重要な決断です。   そのため、判断能力が十分でない人が、安易に契約を結ぶと、後でトラブ ...

ReadMore

任意後見契約とは

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、認知症対策に活用されている任意後見契約について、解説しています。 任意後見契約とは? 任意後見制度とは? 任意後見制度は、成年後見制度の一種です。成年後見制度には、①法定後見制度と②任意後見制度の2種類があります。   ②任意後見制度は、将来、認知症などにより判断能力が不十分になった場合に備え、あらかじめ自分の信頼できる人に、自分の生活や財産の管理に関する事務を行ってもらうように依頼しておくことができる制度です。 動画 厚生労 ...

ReadMore

高齢者のひとり暮らし・生活お役立ち情報

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です この記事は、お隣の大和市のパンフレットを読んでみて、わかりやすく、かつ、知らない制度もあったので、備忘録として記事にまとめたものです。     参考資料 生活お役立ちガイド これ一冊あればひとり暮らしもひと安心!第3版 生活お役立ちガイド 大和市   別サイトの記事 大和市が行う「おひとり様などの終活支援事業」が高齢者を幸せにしている理由     お悩み別 急病が心配。準備できることは? 高齢者見守りシ ...

ReadMore

登録商標の調査について

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、会社の設立時等の類似商号の調査について備忘録で記載したものです。なお、商標登録は、弁理士の独占業務です。 商標とは? 商標とは、事業者が、自身・自社の取り扱う商品やサービスを、他人のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。 文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音など、さまざまな商標が存在し、類似している商標の、同じようなサービスを見つけたときは、差し止めを請求をすることが可能です。 基本知識はこちらをご ...

ReadMore

オンライン登記申請時のデータ入力方法

この記事は、法務局からの協力依頼事項を、PDFから書き出しして、備忘録で記事にしたものです。(主に同業者向けの記事です) オンライン登記申請時の入力方法 ※令和4年7月1日現在 ※□は空白スペース   項 目 入力方法 入力方法の説明 適正な入力 誤った入力(法務局で修正が必要)               氏名等   法務太郎   亡法務太郎 「亡」は入力しない。 ただし、相続人不存在の場合の「亡何某相続 ...

ReadMore

 

HOME

 

 

この記事をかいた人

-相続・相続放棄, 記事一覧