不動産の名義変更と固定資産税について

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは、司法書士の廣澤です。

固定資産税とは、不動産を所有する人に課税される税金です。例えば、土地を誰かに貸していたとしても、その持ち主に毎年課税されます。  

この記事は固定資産税について備忘録としてまとめたものです。詳しくは主税局や国税庁のHPをご覧ください。(令和2年時点)

 

 

 

どんな時に課税される?

不動産の所有者に課税されます。よって、不動産を取得した方は、毎年納税の義務があります。

 

毎年1月1日に不動産登記をしているならその人、未登記なら所有者として登録した方に課税されます。

 

平成30年1月1日にAさんが所有していて、2月1日にAさんがBさんに土地と家を売却したとしても、その年度の固定資産税はAさんが原則負担するということです。  

実務では、365日の日割計算によって売主と買主で固定資産税を清算するのが一般的です。 

 

 

固定資産税の計算式

「固定資産の価格」(課税標準額) x 税率1.4%

 

 

「固定資産の価格」とは?

原則は一物四価のうち、不動産の評価額で計算されます。

 

この 評価額は「評価替え」といって不動産の価格は3年に一度見直しがされます。

 

土地についてはそのままの価格で税額計算すると高額になるので、調整措置が採用されています。

 

 

納める時期と方法

  年4回に分けて納めます。 納税通知書が、第一期の納付月に送られてくるので、それに基づいて納める普通徴収の方式がとられています。

 

納税通知書には不動産の価格が書いてありますが、この価格は登記の登録免許税計算にも利用されます。

※自治体(23区や市区町村)によって具体的な納期は異なります。

 

軽減特例まとめ

固定資産税については、軽減措置が数多く用意されています。

 

1.住宅用地の特例

住宅用地に該当する場合、税が次のように軽減されます。※都市計画税にも適用されます。

区分
固定資産税
小規模住宅用地
住所用地」でかつ住宅一戸200㎡までの部分
価格×1/6
一般住宅用地
 
「小規模住宅用地」以外の住宅用地
価格×1/3

※「特定空き家等」の敷地については対象から除かれるとのこと。空き家のまま家を放置している敷地については、固定資産税の軽減が受けられなくなるということですね。「空き家を使いもしないのに残して、敷地の固定資産税を抑えようとするのはやめてくださいね」ということでしょうか。

 

計算式

固定資産の価格×1/6又1/3 × 税率1.4%

 

住宅用地?

「住宅用地」とは、毎年1月1日時点で、次のうち一つでも当てはまるものを言います。

1.専用住宅(人が居住する家屋)の敷地で、その家屋の床面積が土地の面積の10倍未満の土地のこと。

2.併用住宅(一部が店舗とかになっている住宅のうち、人が住居として使っている部分が1/4以上あるもの)の敷地で、下記計算式で計算した面積が土地の面積の10倍未満の土地。

 

[土地の面積(上限:家屋の床面積の10倍)×下記表の住宅地用地の率]

 

併用住宅の種類
居住部分の割合
住宅用地の率
下に掲げる家屋以外の家屋
1/4以上1/2未満
0.5
1/2以上
1.0
地上5階建て以上の耐火建築物である家屋(マンションはだいたい耐火建築物です)
1/4以上1/2未満
0.5
1/2以上3/4未満
0.75
3/4以上
1.0

 

 

2.宅地の負担調整

土地について、評価替えによって、急に価格が上昇して、それとあわせて税負担が急激に増えないように、負担を調整する措置が採用されています。

計算式はここでは割愛します。

 

 

3.新築住宅の減額 

新築住宅が、一定の床面積要件(下記表)に該当するときは、3年度分(マンションなどの耐火・準耐火建造住宅の場合は5年度分)に限って、住宅に対する固定資産税額が、2分の1減額されます。

※居住する部分で、一戸120㎡が上限 

※平成21年6月4日意向に認定された長期優良住宅については、5年~7年度分

 

 
 
一戸建て
併用住宅(店舗がふくまれる住宅
共同住宅
(アパートなど)
共同住宅
(アパートなど)
区分所有住宅
(マンションなど)
区分所有住宅
 
 
床面積
居住部分の床面積
居住部分の床面積
+共用部分の一部
(階段や廊下など)
居住部分の床面積
+共用部分の一部
(階段や廊下など)
居住部分の床面積
+共用部分の一部
(階段や廊下など)
居住部分の床面積
+共用部分の一部
(階段や廊下など)
新築年月日
貸家の場合
貸家の場合
平成17年1月2日~令和2年3月31日
50~280㎡
50~280㎡
50~280㎡
40~280㎡
50~280㎡
40~280㎡

 

4.その他の軽減措置

 

住宅等の回収工事に伴う減額 

耐震基準に適合させるように、一定の耐震改修工事をした場合の軽減措置。

 

耐震化のための建て替え又は改修をした住宅に対する税の減免 

こちらは古い家屋を建て替えするなどした倍の一定の要件に該当する場合の軽減。 

 

非課税

固定資産の価格が土地30万円未満、建物20万円未満の場合のように、固定資産の価格が極端に低い場合は課税されません。

その他、一定の要件に該当する道路の場合にも課税されません。

 

 

以上、記載してきたものに限られず、各自治体によって固定資産税については軽減措置がたくさんあり、自治体のHPにも記載されております。

(例)東京23区内

・商業地等における負担水準上限引き下げ条例減額

・税額が前年度の1.1倍を超える土地に対する税の条例減額

・小規模非住宅用地に対する税の減免

・不燃化特区内において、不燃化のための建て替えを行った住宅に対する税の減免

・道路の非課税

 

知識ページ一覧

知識ページをご覧になりたい方はこちらから

不動産登記と印鑑証明書の関係?

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、登記申請の際の印鑑証明書について、整理したものです。     目次1 不動産登記における印鑑証明書の添付根拠2 省略に関する規定2.1 省略について深堀り3 ご質問・見積もりはこちら 不動産登記における印鑑証明書の添付根拠 根拠は、不動産登記令16条です。   (申請情報を記載した書面への記名押印等) 第十六条 申請人又はその代表者若しくは代理人は、法務省令で定める場合を除き、申請情報を記載した書面に記名押印 ...

ReadMore

社団法人、公益社団法人、NPO法人の違いとは?

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。 社団法人について、聞かれることがあるので、備忘録としてまとめたものを、記事にしてみました。ご自由にご覧ください。   目次1 一般社団法人とは?1.1 法人とは?1.2 非営利とは?2 株式会社と一般社団法人の違いは?2.1 細かい違い3 公益社団法人と一般社団法人の違いは?3.1 細かい違い4 社団法人とNPO法人の違いは?4.1 細かい違い5 法人格による税制上の優遇措置対象一覧表6 会社設立・法人設立登記のご相談6.1 知識 ...

ReadMore

資産課税の見直し

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 専門ではないですが、勉強はしておかなければなりませんから、令和6年1月1日以降の贈与に関する税制改正について、 備忘録としてまとめておきます。ご自由にご覧下さい。     目次1 資産課税の見直し1.1 相続時精算課税制度について1.2 暦年課税について1.3 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について1.4 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について2 現行制度との比較表3 背景4 まとめ4.1 知識ペー ...

ReadMore

債権法の改正関連まとめ その2

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、民法改正のうち、債権法に関する部分で忘れやすいところを、備忘録としてまとめています。ご自由にご覧下さい。       目次1 意思能力制度の明文化2 錯誤についての改正3 代理人の行為能力4 解除の効力5 瑕疵担保責任6 債権者代位・詐害行為取消権6.1 債権者代位権について明文化されたもの6.2 詐害行為取消権について明文化されたもの7 連帯債務8 弁済について9 危険負担10 消費貸借11 賃貸借11. ...

ReadMore

債権法の改正関連まとめ その1

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、民法改正のうち、債権法に関する部分で忘れやすいところを、備忘録としてまとめています。ご自由にご覧下さい。 目次1 消滅時効1.1 職業別の短期消滅時効が廃止1.2 生命・身体の侵害による損害賠償請求権の特則2 時効の中断2.1 ①承認2.2 ②裁判上の請求2.3 ③催告2.4 ④その他の完成猶予3 法定利率4 保証4.1 根保証4.2 事業用融資の保証4.3 情報提供義務5 債権譲渡6 約款6.1 提携約款が契約内容となるための要件6. ...

ReadMore

遺言の書き方とひな形、要点や注意点を解説

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、自分で書く遺言書(自筆証書遺言)について、書き方やひな形を記載しています。ご自由にご覧ください。   目次1 自筆証書遺言とは?1.1 メリット1.2 デメリット2 自筆証書遺言の要件と書き方、ひな形2.1 作成までの流れ3 遺言作成は必要なのか?不要なのか?4 遺言作成を司法書士、弁護士にサポートしてもらうメリット?5 まとめ6 遺言作成のご相談   自筆証書遺言とは?   とりあえず、民法の根拠条文をま ...

ReadMore

会社設立後の助成金、補助金、支援先について

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 会社設立後の助成金や支援先について聞かれた場合に、答えられないことがあったので、検索用にまとめておきました。ご自由にご覧下さい。 目次1 補助金、助成金とは?1.1 補助金の特徴1.2 助成金の特徴1.3 補助金の検索1.4 助成金の検索2 中小企業、小規模事業者に役立つ情報2.1 経営全般の相談窓口2.2 会社経営に役立つパンフレット   補助金、助成金とは? 主に国が国策を促進するために支援する制度で、助成金のほうが、補助金よりももらえ ...

ReadMore

相続に関する不動産登記の細かい取り扱い

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、不動産登記に関するちょっとした知識を記載したものです。ご自由にご覧下さい。 目次1 相続に関する不動産登記についての知識1.1 再度の遺産分割協議の可否1.2 遺言書の内容と異なる遺産分割協議の可否1.3 成年後見人とその被後見人が相続人である場合の遺産分割1.4 養子縁組と代襲相続権1.5 知識ページ一覧1.6 相続のご質問・見積もりはこちら   相続に関する不動産登記についての知識   再度の遺産分割協議の可否 Q ...

ReadMore

会社登記の更正・抹消の登記

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です 会社の登記を行った際、名前の漢字や住所を間違えてしまった場合などに、更正の登記をすることができます。 この記事は、そんなマイナーな登記について記載したものです。 目次1 会社登記の更正・抹消登記1.1 登記の更正1.2 登記の抹消2 登記申請のご相談2.1 知識ページ一覧   会社登記の更正・抹消登記 まずは根拠条文の確認から。   (更正) 第百三十二条 登記に錯誤又は遺漏があるときは、当事者は、その登記の更正を申請することができ ...

ReadMore

土地を国に帰属させる制度の新設(令和5年4月施行)

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 所有者のわからない土地の発生を予防する政策の一環として、令和5年4月から相続した土地を国に帰属させる制度が創設されますが、 現時点で公開されている情報の要点をまとめておきます。※後日、取り扱いが変更する可能性があります。 目次1 国庫帰属制度の概要1.1 申請できる人1.2 要件1.3 審査の流れ1.4 負担金1.5 その他1.6 知識ページ一覧   国庫帰属制度の概要 申請をして審査がとおれば、 相続又は相続人が受遺者の遺贈で取得した土地 ...

ReadMore

 

ご依頼はこちらから

財産分与(贈与)による不動産の名義変更のご依頼

  不動産の譲渡は司法書士にお任せください!          メールで見積り LINEでらくらく相談 【個人】自動見積フォーム 【会社】自動見積フォーム   ...

続きを見る

 

HOME

この記事をかいた人

-コラム, 不動産登記・税金, 記事一覧