「遺言で寄付を」という趣旨のチラシをよく見かけますので、寄付について調べてみました。
寄付(寄附)とは?
公のことや事業のため、金銭や品物を贈ること。
辞書から引用
寄付という言葉は、物品等を含みますが、区別する意味で、物品等を寄付する場合は、寄贈と表現することもあるようです。
寄付市場は拡大中
2010年の個人寄付総額は約4800億円ですが、2020年の個人寄付総額は、1兆2,162億円です。
投げ銭や、クラウドファンディング、協賛型の会社等のシステムも注目されていますが、このような仕組みも広義では寄付にあたるでしょう。
なぜ、遺言書での寄付なのか?
全財産を寄付するとなると、直近の生活のこともありますから、生前に全財産の寄付を行うのは難しいですよね。
しかし、相続人がいなかった場合等で遺言書が残されていなければ、その全額が宙に浮いたままになるか、最終的に国に回収されてしまいます。
-
相続人が誰もいない場合
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、相続人が誰もいない場合の手続きについて記載したものです。 ご自由にご覧ください。 相続人が誰もいない場合に、財産はどうなる? わかり ...
続きを見る
それならばと、自分の死後に、自分で選んだ慈善団体に寄付しようという考えを持つ人が増えているというのは、自然な流れでしょう。
どこに寄付するのか?
信頼できるところを探すという手間が、現在のハードルになっていますよね。
実際、日本では寄付を集める慈善団体に対する不信感が極めて高く、7割以上の日本人が、寄付したお金がきちんと使われるか不安に感じているという論文もあるようです。
人間のすることですし、大きな組織には、必ず不正がありますから、裏どりするのも大変ですよね。
しかし、やはり自分の応援したい活動を選択するところなので、いろいろ調べてみることをおすすめします。
寄付先について
個人の寄付の対象先として考えられるのは、次のような団体ですが、一般的には非営利団体が対象になります。
1.非営利団体(認定NPO法人、公益社団法人等)
2.病院や施設
3.仲介事業者(ふるさと納税・クラウドファンディングサイト等)
4.自治体等
寄付先として選択されており、信頼度が高いと考えられているもの(ネット検索)
以下の組織は、どこを探してもでてきますね。
・日本ユニセフ協会
・日本赤十字社(名誉総裁が皇后陛下)
・中央共同募金会(赤い羽根募金)
・フローレンス
・国連WFP協会
・国境なき医師団
・国連UNHCR協会
寄付と税金について
遺言書で遺贈する際もそうですが、寄付は基本的に、財産を換金して、現金で行います。遺言書には遺言執行者が換金して、その後に遺贈するといった文言を記載します。
例えば、不動産を遺贈した場合などは、譲渡所得税と登録免許税の確認が必要になりますし、不動産の引継ぎ自体を団体が拒むこともあるためです。
注意点として、事前に団体が寄付を受付しているのかどうかの確認も必要です。
法人が寄付を受け取った場合
法人税・法人事業税・住民税の課税対象になります。遺言書による寄付(遺贈)の場合も同様です。
ただし、公益社団法人等の場合は非課税になります。反対に、寄付した個人は、地方公共団体や特定の法人に寄付した場合には、寄附金控除を利用することができます。
個人が、個人に対して寄付した場合
受贈ですから、贈与税の課税対象になります。遺言書による寄付(遺贈)の場合は、相続税の課税対象になります。
法人が、個人に対して寄付した場合
所得税の課税対象になります。反対に、寄付した法人は、一定の範囲内が損金に算入できます。
まとめ
個人的には、寄付をお考えの場合は、生前に、少しずつでも寄付するのが良いのではないかと思いました。
寄付は幸福度に関係するという研究もあるようですし、様々な応援したい団体の、寄付した後の活動も見ることができますしね。
まず一番手軽なのは、親族へのお年玉、ふるさと納税、コンビニの募金箱への寄付でしょうか。これは皆さん既に行っていますよね。
次に、手軽なものとして、共感して応援している美術館等の施設、アーティスト、法人等への寄付でしょうか。
最近だと投げ銭もありますし、クラウドファンディングや、価値交換ではない協賛型で成り立っている法人もあり、クリックと入力だけで寄付できるサイト(例)もあります。
ハチドリのひとしずくのようですが、自身がその活動に参加しているような感覚も得られるのではないでしょうか。ファンクラブに加入したり、有料で提供されているサービスを、飽きても応援目的で使い続けるというのも、広義の寄付だと思います。
このように、実際にこまめに寄付を行ったり、寄付に近い行いをしていると、公益的な活動をしているNPO法人や職業団体、自治体への寄付に興味を持つことがあるかもしれません。
寄付先を調べるのは大変なので、そのようなタイミングで公益的活動に対する寄付については考えるのが良いのではないかなと思いました。現在では、光熱費の一部を慈善団体への寄付にあてる仕組みもありますし、気軽に寄付することが可能になっています。
遺言で、全財産を一点集中でどこかに寄付するよりは、いろいろな団体に寄付されることをお勧めしたいと思います。
以上、参考になれば幸いです。