株券の廃止手続き

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

この記事では、株券の廃止にあたっての手続きについて、記載していきます。

株券とは

株券とは、株券発行会社における株主としての地位を表した有価証券のことをいいます。

平成16年に株券の不発行が認められるようになり、平成21年以降は上場株券については、電子化され、発行されないことになりました。また、会社法施行以降は、株券不発行が原則とされています。

 

具体的には、次のような記載のある証券の事を指します。

 

株券記載事項

(株券の記載事項)
第二百十六条 株券には、次に掲げる事項及びその番号を記載し、株券発行会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
一 株券発行会社の商号
二 当該株券に係る株式の数
三 譲渡による当該株券に係る株式の取得について株式会社の承認を要することを定めたときは、その旨
四 種類株式発行会社にあっては、当該株券に係る株式の種類及びその内容

 

 

株式の譲渡

株券発行会社の場合、株券を譲渡人が譲受人に対して株券を渡さなければなりません。

つまり、株券発行会社の場合で、株券を交付したことがないという会社であれば、先に株券を発行してもらった後に、譲受人に対して株券を渡さなければならないということです。

株券の所持は第三者に対する対抗要件となります。また、会社に対しては、名簿書き換えの請求が対抗要件となります。

 

上場会社の場合は、振替制度によって行われていますので、このあたりは気にする必要がありません。

(株券発行会社の株式の譲渡)
第百二十八条 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

 

株券発行会社なのに、株券を株主に交付していないのは違法か?

会社の株式の全部について、譲渡制限に関する規定が設けられている会社の場合は、適法です。

(株券の発行)
第二百十五条 株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
2 株券発行会社は、株式の併合をしたときは、第百八十条第二項第二号の日以後遅滞なく、併合した株式に係る株券を発行しなければならない。
3 株券発行会社は、株式の分割をしたときは、第百八十三条第二項第二号の日以後遅滞なく、分割した株式に係る株券(既に発行されているものを除く。)を発行しなければならない。
4 前三項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、これらの規定の株券を発行しないことができる。

 

この他、株主の株券不所持の申し出がなされた場合や、単元未満株式については株券を発行しない旨の定めが定款にあれば、同様に株券の発行が不要です。

(単元未満株式についての権利の制限等)
第百八十九条 略
2 略
3 株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。

(株券不所持の申出)
第二百十七条 株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができる。
2 前項の規定による申出は、その申出に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。この場合において、当該株式に係る株券が発行されているときは、当該株主は、当該株券を株券発行会社に提出しなければならない。
3 第一項の規定による申出を受けた株券発行会社は、遅滞なく、前項前段の株式に係る株券を発行しない旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
4 株券発行会社は、前項の規定による記載又は記録をしたときは、第二項前段の株式に係る株券を発行することができない。
5 第二項後段の規定により提出された株券は、第三項の規定による記載又は記録をした時において、無効となる。
6 第一項の規定による申出をした株主は、いつでも、株券発行会社に対し、第二項前段の株式に係る株券を発行することを請求することができる。この場合において、第二項後段の規定により提出された株券があるときは、株券の発行に要する費用は、当該株主の負担とする。

 

株券廃止のすすめ

会社法施行日以降に設立された会社は、ほとんどが株券不発行の会社でしょう。

旧商法時代は、株券発行会社が原則だったので、歴史のある会社様の場合、株券を発行してはいないものの、そのままの会社の設計になっていることがあります。

 

しかし、株券を一度発行してしまうと、以下のようなデメリットがあります。

・管理コストが生じる(株券を不発行にする手続きが煩雑になり、名簿の管理費用など)

・株券を拾った人に、株式を善意取得されるリスクがある ※希望しない株主が現れる恐れ

 

よって、株券発行会社の株主が、株式を譲渡するというタイミングでも構いませんので、いずれは株券不発行会社に移行すべきです。

 

株券廃止の手続きの違い

株券を発行したことがない

株主総会決議で、定款変更を行い、株主に対しては、効力発生日の2週間前までに、個別の通知又は公告を行う

 

株券を発行したことがあるが、全て回収できている + 株主が協力的

株主総会決議で、定款変更を行い、株主に対しては、効力発生日の2週間前までに、個別の通知又は公告を行う

 

株券をすでに交付していて、全てを回収できない 又は 株主に協力してもらえない

株主総会決議で、定款変更を行い、株主に対しては、効力発生日の2週間前までに、個別の通知かつ公告を行う

 

株券廃止登記の費用

登録免許税 3万円 + 実費 (司法書士に依頼される場合は、別途報酬)

 

最後に

必要な登記を、期限内に行わなかった場合は、代表者個人に対して、過料の制裁があります。

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