司法書士 廣澤真太郎
金融機関などに「登記事項証明書を提出してください」と突然言われ、何のことだかわからない方もいらっしゃるかと思いますので、解説ページを作りました。
[toc]
登記事項証明書とは?
日本の法務局(登記所)において発行される、「登記記録(登記簿)」に記録された事項の、内容を証明した書面の事です。
別の言い方をすれば「登記記録(登記簿)」というのが原本として法務局にデータや簿冊保管されていて、そのコピーに登記官の認証文を付したものです。
不動産の登記事項証明書は、全部を記載した「全部事項証明書」、一部のみ記載した「一部(共有者)事項証明書」、所有者の未記載した「所有者事項証明書」などに分類されています。
記載内容は、会社は会社法、不動産は不動産登記法において定められています。
謄本?登記事項証明書?全部事項証明書?履歴事項全部証明書?
人によって呼び方が違いますが、どれもほとんど同じものです。
謄本とは登記事項証明書の事を指し、全部事項証明書とは登記事項証明書の一態様です。
また、履歴事項全部証明書は謄本のうち会社の謄本の事を指します。
取得できるのは誰か?
法務局(登記所)への手数料を支払えば、誰でも取得することができます。
法務局(登記所)へ支払う手数料
令和3年1月19日 (平成25年4月1日~)
区 分 |
手数料額 |
登記事項証明書(謄抄本)(※1)
|
書面請求 |
600円 |
オンライン請求・送付 |
500円 |
オンライン請求・窓口交付 |
480円 |
登記事項要約書の交付(※1)・登記簿等の閲覧 |
450円 |
※1 1通の枚数が50枚を超える場合には,その超える枚数50枚までごとに登記事項証明書及び筆界特定書の写しは100円,登記事項要約書は50円が加算されます。
※2 手数料の単位については,地図等の証明書は「1筆の土地又は1個の建物」,土地所在図の証明書は「1事件」となります。
※3 オンライン申請により,交付の請求をした証明書を電磁的記録としてオンラインにより交付する場合を言います。
※4 手数料納付の単位については,支店所在地における登記申請1件となります。
引用:法務省
取得場所
原則として全国どの法務局(登記所)に請求しても取得可能です。
※古い閉鎖事項証明書など、コンピュータ管理をしていないものを取得する場合には、不動産所在地や会社の本店所在地の管轄の法務局(登記所)窓口に行くか郵送請求する必要があります。
窓口や郵送による場合には事前に法務局(登記所)に問い合わせしておくと安心です。
取得方法
登記・供託オンラインに登録してオンライン請求して郵送又窓口受領するか、申請書と印紙を同封して郵送又は窓口で申請書を提出して取得します。取得方法によって上記の通り費用が変動します。
登記所の窓口に証明書発行請求機が設置されている場合には,これを操作することにより,交付申請書を作成できます。その場合には,交付申請書を記載しなくて構いません。
不動産の登記事項証明書等交付申請書:法務局
→書き方
会社の登記事項証明書等交付申請書:法務局
→書き方
登記事項証明書の見本
不動産の全部事項証明の見本
:法務局
土地の所在地番、地目、地積や建物の構造、床面積、酒類、マンション名などが記載されているところを「表題部」と呼び、
所有権や抵当権などその不動産の権利に関する記載がある欄を「権利部」と呼びます。
表題部は土地家屋調査士が、権利部は司法書士がその専門家となります。
登記事項証明書と登記情報の違い
登記事項証明書をどこかに提出する目的ではなく、ただ情報を知りだけでしたら、登記情報提供サービスがお勧めです。
登記情報提供サービスとは、登記所が保有する登記情報をインターネットを使用してPDFでファイルを取得できるサービスです。
認証文や公印等は付加されませんが、代わりに「照会番号」の発行を一緒に行うことができます。
※登記事項証明書と異なり,証明文や公印等は付加されません。詳しくはこちら
知識ページ一覧
知識ページをご覧になりたい方はこちらから
外国籍の日本在住者が日本で起業する際に、気を付けなければならないこと
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 こちらの記事は、最近増えた日本在住の外国籍の方の起業に関する知識を、備忘録でまとめたものです。 HP:出入国在留管理庁 在留資格 在留資格とは、日本における滞在や、一定の活動を認める資格の事です。 大まかに、制限が少なく無制限に滞在することも認められる場合がある「居住資格」と、活動や滞在期間に制限を設けている「活動資格」に分類され、さらに細かく種類が分けられており、細かい決まりがあります。 一定の在留資格がなければ、日本で ...
ReadMore
不動産の共有状態の解消について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 こちらの記事は、様々な理由で、共有状態となっている不動産を、どのように解消するのかについて記載した記事です。 不動産の「共有」とは? 不動産を複数名で、所有している状態のことです。 ご夫婦で持分2分の1ずつ所有している場合は、「不動産を2名で共有している」と言いかえることができます。 不動産の共有の問題点 節税目的の場合や融資の受けやすさなどから、共有で不動産の取得を行う方も多くいらっしゃいますが、一般的に、共有状態はデメ ...
ReadMore
相続や遺言書の相談 税理士と弁護士と司法書士、どこに相談すればいい?
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。 この記事は、相続・遺言書の相談をどこにすればよいのか?騙されたりしないだろうかと、ご不安な方向けの記事です。 相続や遺言書の相談先 結論として、”最初”に、司法書士にご相談いただくことをおすすめします! 司法書士に相談すべき理由 まずは、各相談先の特徴からご確認ください。 相談先 税理士 相続税、不動産を売る場合は譲渡所得税の相談ができる 弁護士 揉めている場合に、味方になって交渉してくれる 司法書 ...
ReadMore
令和6年4月1日以降の不動産登記の取り扱い
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、令和6年4月1日以降の取り扱いについて、備忘録としてまとめたものです。 令和6年4月1日以降の手続きの取り扱い 1.外国に住所を有する外国人又は法人の住所証明情報の取扱い 法務省民二第1596号令和5年12月15日通達 日本に住所のない自然人、法人の住所証明情報が変更されます。 対象者 ・外国に住所を有する外国人 又は 外国に住所を有する法人 ・所有権の登記名義人となる者の住所証明情報 住所証明情報 1.外国人 ① 登記名 ...
ReadMore
令和6年4月1日~ 相続人申告登記の制度開始
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 相続人申告登記の通達(法務省民二第535号令和6年3月15日)がでましたので、記事にしてみました。ご自由にご覧ください。 相続人申告登記とは 民法等の一部を改正する法律による相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行)に伴い、創設された制度です。 基本的には、期限内に相続登記を行えば良いため、現状、次のようなケースで、相続登記が行えない場合などに、活用することが考えられます。 ・相続人に非協力的な方がいて、登記申請が行えな ...
ReadMore
一歩踏み込んだ終活!エンディングノート、死後事務、財産管理等、任意後見、遺言書
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、4人に1人が認知症とされる現代において、司法書士が終活に際して、お役に立てるサービスについて、ご紹介した記事です。 司法書士が終活に関してできること 司法書士は、生前対策だけでなく、その後の相続手続きについても日ごろから業務として行っている、法律事務のエキスパートです。 ・ライフプランノート(エンディングノート)の作成 ・各契約書や遺言書等の法的書類の組成、公正証書作成のサポート ・その後の、相続手続き・遺言執行業務をまとめて依頼 &n ...
ReadMore
外国在住者が所有者となる場合の住所証明情報
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、外国在住者が不動産を取得する場合の、住所証明情報について、備忘録として記載したものです。 通達 令和5年12月15日 外国在住者(個人)の住所証明情報 次のいずれかを住所証明情報とする。 1.本国等政府の作成に係る書面 + 訳文 登記名義人となる者の本国又は居住国(本国又は居住国の州その他の地域を含む。以下「本国等」という。)の政府(本国等の領事を含み、公証人を除く。以下「本国等政府」という。)の作成に係る住所を証明する書面 ...
ReadMore
株券の廃止手続き
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、株券の廃止にあたっての手続きについて、記載していきます。 株券とは 株券とは、株券発行会社における株主としての地位を表した有価証券のことをいいます。 平成16年に株券の不発行が認められるようになり、平成21年以降は上場株券については、電子化され、発行されないことになりました。また、会社法施行以降は、株券不発行が原則とされています。 具体的には、次のような記載のある証券の事を指します。 株券記載事項 (株券の記 ...
ReadMore
増資の登記について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です この記事では、増資の登記手続きについて解説していきます。 増資の登記 登記事項を変更した場合は、2週間以内に役員変更の登記申請を行う必要があり、これを怠ると、100万円以下の過料が代表者に課される可能性があります。 増資する日が決まっている場合は、速やかに登記手続を行いましょう。 増資の準備物 ご自身で進める場合 ・申請書 ・定款 ・就任承諾書 ・株主総会議事録、取締役会議事録、取締役の決定書 ・株主リスト ・資本金の計上 ...
ReadMore
役員変更登記(就任・退任)について
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です この記事では、役員の就任・退任の登記手続きについて解説していきます。 役員変更登記 会社の役員(取締役、監査役等)を変更した場合は、2週間以内に役員変更の登記申請を行う必要があり、これを怠ると、100万円以下の過料が代表者に課される可能性があります。 役員の任期が切れそうなとき(最長10年)や、役員を変更することが決まっている場合には、速やかに登記申請を行いましょう。 なお、会社役員と会社は委任関係にあり、従業員は雇用関係に ...
ReadMore
HOME