会社設立後の法人口座開設について

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

この記事は、会社設立時にご質問をいただくことの多い法人口座開設について、記載しています。

 

 

法人口座とは?開設は必須?

名前の通り、法人名義の預金口座のことです。

 

法人口座開設は、任意とされているものの、会社は一般的に、信用性向上のために設立するものですから、開設していない法人はほとんどないと思います。

会社と取引をしているのに、個人名の口座に振り込むよう指示された場合、「怪しい会社だな」と思ってしまいますよね。

 

 

法人口座開設のタイミング?

法人設立登記申請後、約1週間後の登記完了後に、口座開設予定の金融機関で、口座開設の審査が可能になります。

 

法人口座開設は、早くても2週間審査に時間がかかるといわれていますが、1~2か月の審査期間を要したケースも見聞きしたことがありますので、事業開始のスケジュールには、注意が必要です。

 

 

法人口座開設の審査は厳しい?

年々、審査が厳しくなっているようです。原因としては様々な要因があるようです。

 

・警察庁より、利殖勧誘犯の多くが法人口座であることから、審査厳格化の要請

・国際的な、マネーロンダリング等の金融犯罪対策の要請

・税務当局からの、脱税、租税回避対策の要請

・犯収法の改正等

内閣官房日本経済再生総合事務局:法人の銀行口座開設について

 

 

法人口座をスムーズに開設するために、対策しておくべきこと

結局のところ、審査するのは各金融機関の基準になるので、片手間で犯罪のために作った会社っぽさを避ける、というのが事前にできる有効な対策になります。

 

 

1.資本金の額を少額にしない

資本金は1円でも、株式会社設立は可能です。また、資本金の額が100万円未満であれば、定款認証費用も安く済みますから、会社設立費用を節約できるというメリットもあります。

 

しかし、少なすぎる資本金では、法人口座開設時に、金融機関に口座開設を断られるかもしれません。

なぜなら、審査する側からすると、これから法人を設立して事業を始ようという会社が、後で使用しても構わない資本金を準備できないというのは、事業資金が全くないのか、やる気がないのか、犯罪目的ではないのかと勘繰ってしまうからですね。

 

急ぎで口座開設が必要なケースでは、資本金の額を多めにしておいたほうが無難です。

 

2.事業所等の設置をする

居宅でも構わないので、存在する事業所を本店所在地にしましょう。

 

本店所在地は、取締役や取締役会の決議で決定した場所に設定できます。

 

つまり、住民票上の住所などで証明した場所というわけではありませんから、存在しない場所や、実体がないバーチャルオフィスのようなところを本店所在地にすると、怪しい会社だと思われてしまいます。

 

3.わかりやすい事業内容

横文字の事業目的や、何をしたいのかよくわからない事業目的は極力避け、無難なものにしましょう。

 

 

4.法人口座開設がスムーズである金融機関を下調べしておく

急ぎで口座開設が必要であることが予想される場合は、事前に下調べしておきましょう。

 

金融機関によって、基準は異なりますから、可能な限り会社設立段階で、口座開設が断られたという情報収集をしておくことをお勧めします。

 

一般的に、ネット銀行や信用金庫は法人口座開設が容易なようです。

 

 

5.その他、事業の実態を示す資料を用意しておく

怪しいと思われないための資料があれば、なんでも有効だと思います。

・賃貸契約書

・許認可関係の資料

・設立届出書

・会社HPのURL

・事業計画書

・固定電話の番号

・名刺

・事業所写真

・設立前の個人としての計算書類

・写真付きの身分証明書

 

 

 

もし、開設できなかったら?

他の銀行で再度、口座開設手続きを行うという流れになります。

1回1回時間を要しますから、やはり、下調べをきちんと行っておくことが重要になりそうですね。

 

 

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