この記事では、会社の株主名簿について、条文とともに解説していきます。ご自由にご覧ください。(令和4年4月時点)
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株主名簿とは?記載事項やその保管方法について
株主名簿とは?
株主の情報を記載しておく管理簿の事です。株式会社には、会社法上必ず作成しておく義務があります。
(株主名簿の備置き及び閲覧等)
第百二十五条 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
端的に、会社は自社の株式の所有者を常に把握しておきましょうということです。
株主名簿の記載事項とは?
次の5つです。記載事項が管理されていれば、エクセルで作成するので構いません。
1.株主の氏名又は名称
2.株主の住所
3.株主がそれぞれ有している数 (種類株がある場合はその種類ごとの数)
4.株主がそれぞれ株式を取得した日
5.株券発行会社である場合、株券の番号
(株主名簿)
第百二十一条 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所
二 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
三 第一号の株主が株式を取得した日
四 株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号
株主からの株主名簿記載事項を記載した書面の交付請求又は電磁的記録の請求
株主から請求があった場合、エクセルなどで株主名簿を作っている場合は、印刷した後、代表取締役が「上記は原本に相違ない」など記載し、署名又は記名押印して交付しなければならないということです。
データの場合は電子署名が必要ですから、通常は紙で発行する事になるでしょう。
(株主名簿記載事項を記載した書面の交付等)
第百二十二条 前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
2 前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
3 第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置(電子署名)をとらなければならない。
4 前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。
会社法施行規則
(電子署名)
第二百二十五条 次に掲げる規定に規定する法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置は、電子署名とする。
二 法第百二十二条第三項
株主名簿の備置きと閲覧について
株主及び債権者は、株式会社に対して、営業時間内はいつでも理由を明らかにすれば開示請求をすることでき、さらに株式会社はそれを拒むことができないと定められています。
しかし、いやがらせ目的や個人情報取得目的で請求されて開示するわけにはいきませんから、拒否できる場合も法定されています。次のような場合です。
1.請求を行う株主又は債権者が その権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
2.請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
3.請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
4.請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
拒否できる基準に該当するかどうかが争われた裁判例等がありますが、基本的に上記の場合を除いては拒否できないとお考えいただくのが良いかと思います。
(株主名簿の備置き及び閲覧等)
第百二十五条 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 株主名簿が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の株主名簿について第二項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
5 前項の親会社社員について第三項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
(株主に対する通知等)第百二十六条 株式会社が株主に対してする通知又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該株主の住所(当該株主が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
2 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、株式会社が株主に対してする通知又は催告を受領する者一人を定め、当該株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければならない。この場合においては、その者を株主とみなして、前二項の規定を適用する。
4 前項の規定による共有者の通知がない場合には、株式会社が株式の共有者に対してする通知又は催告は、そのうちの一人に対してすれば足りる。
5 前各項の規定は、第二百九十九条第一項(第三百二十五条において準用する場合を含む。)の通知に際して株主に書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供する場合について準用する。この場合において、第二項中「到達したもの」とあるのは、「当該書面の交付又は当該事項の電磁的方法による提供があったもの」と読み替えるものとする。
株主名簿と基準日について
会社は基準日を設定し、その権利の行使者を定めることができます。通常は事業年度末日を基準日とすることで、定時株主総会で権利行使できるものを決めておく運用がなされています。
基準日を定めた場合、2週間以内に公告をしなければならないとされていますが、定款に基準日を定めて省略している運用がほとんどでしょう。
基準日後に株式を譲渡による取得した場合は権利行使できないこととなりますが、124条4項の規定がありますから、募集株式の発行などで取得した人は権利行使することが可能です。
(基準日)
第百二十四条 株式会社は、一定の日(以下この章において「基準日」という。)を定めて、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(以下この条において「基準日株主」という。)をその権利を行使することができる者と定めることができる。
2 基準日を定める場合には、株式会社は、基準日株主が行使することができる権利(基準日から三箇月以内に行使するものに限る。)の内容を定めなければならない。
3 株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。
4 基準日株主が行使することができる権利が株主総会又は種類株主総会における議決権である場合には、株式会社は、当該基準日後に株式を取得した者の全部又は一部を当該権利を行使することができる者と定めることができる。ただし、当該株式の基準日株主の権利を害することができない。
5 第一項から第三項までの規定は、第百四十九条第一項に規定する登録株式質権者について準用する。
株主名簿管理人とは?
株主が多数いる場合、上記の記載事項を管理するのは煩雑でコストもかかるため、第三者に管理を依頼する事ができます。
上場する際に、証券取引所が株主名簿管理人の設置を義務付け、またその機関にも制限があり、上場会社は信託銀行などに委託しているのが通常です。
(株主名簿管理人)
第百二十三条 株式会社は、株主名簿管理人(株式会社に代わって株主名簿の作成及び備置きその他の株主名簿に関する事務を行う者をいう。以下同じ。)を置く旨を定款で定め、当該事務を行うことを委託することができる。
公開していない会社向けの記事なので説明は割愛しますが、委託した場合は登記事項ですので登記申請が必要になります。
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