この記事では筆者の備忘録として、民法等の一部を改正する法律に関し、備忘録として気になるところを抜粋します。
まず、一番わかりやすいのは、国のパンフレットですね。こちらを読み込めば、おおよその制度設計が理解できます。
「民法等の一部を改正する法律」(成年後見及び遺言の制度の見直し)について
成年後見制度の大幅な改正
補助人に一元化
成年後見人、保佐人、補助人の規定が、補助人に一元化されます。
つまり、重要な財産行為を除いては、意思能力がしっかりしていることを前提として扱われます。
後見相当で、事理弁識能力を欠く常況にある者は、「特定の重要な財産行為の取消権、保存行為、意思受領の権限」を設ける、特定補助人という仕組みを選択することができるようになります。
逆に言えば、保存行為や意思受領については、あくまで本人が行うという建付けとなるということですね。
特定補助人の選任にあたっては、医師2名以上の意見聴取がない場合は、鑑定が必要になりうるようです。
意思表示の受領の特別代理人という制度
意思表示の相手方が精神上の理由により事理を弁識する能力を欠く常況にある者である場合において、その者のためにその意思表示を受ける者がないときは、家庭裁判所は、表意者の請求により、特別代理人を選任することができることとなります。
訴訟提起する場面でなくとも、意思表示を受ける者として特別代理人を選任してもらえるということですね。
辞任が比較的スムーズに可能に
後見、保佐の制度は、本人の事理弁識能力が回復するなどでなければ、
原則として辞任できませんでしたが、この度の改正によって、必要な手続きの終了後は、辞任することができるようになります。
任意後見契約の、監督人が必須ではなくなる
家庭裁判所が明らかに任意後見監督人による監督の必要がないと認めるときは、任意後見監督人を選任せず、家庭裁判所が直接監督することが可能に。
報酬の二重払いの問題が軽減されるようです。
継続中の案件についても、取り消しの申し立てが可能に
「やめることができない」というデメリットは、継続中の案件についてももう適用されないということのようです。
遺言書の認印が、施行日以降は任意に
自筆証書遺言、秘密証書遺言、特別の方式の遺言における遺言者及び証人等の押印要件を廃止し、押印を任意になります。
重要条文の抜粋
第10条(特定補助人を付する旨の審判等)
家庭裁判所は、次に掲げる場合において、補助開始の審判を受けた者(補助開始の審判を受ける者となるべき者を含む。次条第1項において同じ。)が精神上の理由により事理を弁識する能力を欠く常況にある者であり、かつ、必要があると認めるときは、その者のため第5項に規定する権限を有する補助人として、特定補助人を付する旨の審判をすることができる。
一 補助開始の審判をする場合において、第7条第1項に規定する者から請求があったとき。
二 補助開始の審判があった後、第7条第1項に規定する者又は補助人若しくは補助監督人から請求があったとき。
2前項の規定による審判があったときは、同項の規定による審判を受けた者がした前条第2項各号に掲げる行為(日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く。)は、取り消すことができる。
3家庭裁判所は、必要があると認めるときは、第7条第1項に規定する者又は特定補助人若しくは補助監督人の請求により、前条第2項各号に掲げる行為以外の特定の行為について、第1項の規定による審判を受けた者がした行為を取り消すことができるものとする旨の審判をすることができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
4第1項の規定による審判をする場合において、前条第1項の規定による審判があるときは、家庭裁判所は、当該審判を取り消さなければならない。
5特定補助人は、次に掲げる行為をする権限を有する。
一 第2項の規定により、又は第3項の規定による審判により取り消すことができる行為についての取消権の行使
二 第1項の規定による審判を受けた者に対する意思表示の受領
三 第1項の規定による審判を受けた者の財産に関する保存行為
第12条(補助開始の審判等の取消し)
1 第7条第1項に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、同項に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、補助開始の審判を取り消さなければならない。
2 家庭裁判所は、必要がなくなったと認めるときは、第7条第1項に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、第9条第1項の規定による審判の全部又は一部を取り消すことができる。
3 第10条第1項に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、第7条第1項に規定する者又は特定補助人若しくは補助監督人の請求により、第10条第1項の規定による審判を取り消さなければならない。
4 家庭裁判所は、必要がなくなったと認めるときは、第7条第1項に規定する者又は特定補助人若しくは補助監督人の請求により、第10条第1項の規定による審判又は同条第3項の規定による審判の全部若しくは一部を取り消すことができる。
5 家庭裁判所は、必要がなくなったと認めるときは、第7条第1項に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、前条第1項の規定による審判の全部又は一部を取り消すことができる。
6 第9条第1項、第10条第1項及び前条第1項の規定による審判を全て取り消す場合には、家庭裁判所は、補助開始の審判を取り消さなければならない。
全体像
特に重要なのは、
「本人の判断能力が低下したから、すべてを後見人に任せる」
という考え方から、
「本人の意思・能力に応じて、必要な範囲で支援する」という考え方へ、制度そのものが大きく変わっていく点です。
そのため、今後は相続や認知症対策を考える際にも、
・成年後見制度を利用するのか
・任意後見契約を準備しておくのか
・元気なうちに遺言を作成しておくのか
といった選択肢を、本人の状況に合わせて検討していくことが、より重要になってきます。
「認知症になってから考える」のではなく、
「判断能力が十分にあるうちに、どこまで準備しておくか」
これが、これからの相続対策・終活を考えるうえで、非常に重要なポイントになりそうです。
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