こちらの記事は、最近増えた日本在住の外国籍の方の起業に関する知識を、備忘録でまとめたものです。
在留資格
在留資格とは、日本における滞在や、一定の活動を認める資格の事です。
大まかに、制限が少なく無制限に滞在することも認められる場合がある「居住資格」と、活動や滞在期間に制限を設けている「活動資格」に分類され、さらに細かく種類が分けられており、細かい決まりがあります。
一定の在留資格がなければ、日本で起業することはできませんので、注意が必要です。
入管法別表第一の上欄の在留資格(活動資格)
一の表(就労資格)
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
---|---|---|---|---|
外交 | 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員,条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 | 外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族 | 外交活動の期間 | |
公用 | 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項に掲げる活動を除く。) | 外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 | 5年,3年,1年,3月,30日又は15日 | |
教授 | 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究,研究の指導又は教育をする活動 | 大学教授等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
芸術 | 収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動(二の表の興行の項に掲げる活動を除く。) | 作曲家,画家,著述家等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
宗教 | 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
報道 | 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 | 外国の報道機関の記者,カメラマン | 5年,3年,1年又は3月 |
二の表(就労資格,上陸許可基準の適用あり)
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
---|---|---|---|---|
高度専門職 | 1号 高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって,我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの |
イ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導若しくは教育をする活動 | ポイント制による高度人材 | 5年 |
ロ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 | ||||
ハ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動 | ||||
2号 1号に掲げる活動を行った者であって,その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動 |
イ 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究,研究の指導又は教育をする活動 | 無期限 | ||
ロ 本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動 | ||||
ハ 本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動 | ||||
ニ 2号イからハまでのいずれかの活動と併せて行う一の表の教授,芸術,宗教,報道の項に掲げる活動又はこの表の法律・会計業務,医療,教育,技術・人文知識・国際業務,介護,興行,技能,特定技能2号の項に掲げる活動(2号イからハまでのいずれかに該当する活動を除く。) | ||||
経営・管理 | 本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。) | 企業等の経営者・管理者 | 5年,3年,1年,6月,4月又は3月 | |
法律・会計業務 | 外国法事務弁護士,外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 | 弁護士,公認会計士等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
医療 | 医師,歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 | 医師,歯科医師,看護師 | 5年,3年,1年又は3月 | |
研究 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(一の表の教授の項に掲げる活動を除く。) | 政府関係機関や私企業等の研究者 | 5年,3年,1年又は3月 | |
教育 | 本邦の小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動 | 中学校・高等学校等の語学教師等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
技術・人文知識・国際業務 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授,芸術,報道の項に掲げる活動,この表の経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,企業内転勤,介護,興行の項に掲げる活動を除く。) | 機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師,マーケティング業務従事者等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
企業内転勤 | 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動 | 外国の事業所からの転勤者 | 5年,3年,1年又は3月 | |
介護 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動 | 介護福祉士 | 5年,3年,1年又は3月 | |
興行 | 演劇,演芸,演奏,スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項に掲げる活動を除く。) | 俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等 | 3年,1年,6月,3月又は30日 | |
技能 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 | 外国料理の調理師,スポーツ指導者,航空機の操縦者,貴金属等の加工職人等 | 5年,3年,1年又は3月 | |
特定技能 | 1号 | 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(入管法第2条の5第1項から第4項までの規定に適合するものに限る。次号において同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動 | 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人 | 法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
2号 | 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動 | 特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人 | 3年,1年又は6月 | |
技能実習 | 1号 | イ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動 | 技能実習生 | 法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
ロ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第一号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて,講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動 | ||||
2号 | イ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | 法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲) | ||
ロ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第二号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | ||||
3号 | イ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 | 法務大臣が個々に指定する期間(2年を超えない範囲) | ||
ロ 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画(第三号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動 |
三の表(非就労資格)
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
---|---|---|---|---|
文化活動 | 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(四の表の留学,研修の項に掲げる活動を除く。) | 日本文化の研究者等 | 3年,1年,6月又は3月 | |
短期滞在 | 本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポーツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 | 観光客,会議参加者等 | 90日若しくは30日又は15日以内の日を単位とする期間 |
四の表(非就労資格,上陸許可基準の適用あり)
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
---|---|---|---|---|
留学 | 本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動 | 大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒 | 法務大臣が個々に指定する期間(4年3月を超えない範囲) | |
研修 | 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(二の表の技能実習1号,この表の留学の項に掲げる活動を除く。) | 研修生 | 1年,6月又は3月 | |
家族滞在 | 一の表の教授,芸術,宗教,報道,二の表の高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 | 在留外国人が扶養する配偶者・子 | 法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
五の表
在留資格 | 本邦において行うことができる活動 | 該当例 | 在留期間 | |
---|---|---|---|---|
特定活動 | 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動 | 外交官等の家事使用人,ワーキング・ホリデー,経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等 | 5年,3年,1年,6月,3月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
入管法別表第二の上欄の在留資格(居住資格)
在留資格 | 本邦において有する身分または地位 | 該当例 | 在留期間 | |
---|---|---|---|---|
永住者 | 法務大臣が永住を認める者 | 法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く。) | 無期限 | |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者 | 日本人の配偶者・子・特別養子 | 5年,3年,1年又は6月 | |
永住者の配偶者等 | 永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 | 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 | 5年,3年,1年又は6月 | |
定住者 | 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 | 第三国定住難民,日系3世,中国残留邦人等 | 5年,3年,1年,6月又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
【高度専門職の優遇措置】
① 永住許可要件の緩和
② 親の帯同の許容
③ 家事使用人の帯同の許容
④ 在留期間「5年」の付与
⑤ 配偶者の就労
⑥ 複合的な在留活動の許容
⑦ 入国・在留手続の優先処理
就労・起業できる資格、できない資格
取得している資格の内容を確認し、日本国内で働けるのかを確認しましょう。
居住資格
就労制限がありません。
非就労資格
資格外活動の許可がなければ、働けません。
就労資格
一定の制限の範囲内で働くことができます。
期限切れの資格
在留資格を更新していない場合、不法滞在となりますので、就労できません。
日本で起業するために必要な資格
上記の表から抜粋すると、起業するために必要な資格は次のいずれかであることがわかります。
必要な資格
① 居住資格
② 活動資格のうち、経営・管理
③ 活動資格のうち、高度専門職1号(副業)
④ 活動資格のうち、高度専門職2号(本業)
まず、①は制限が設けられておらず、④もあくまで就労資格なので細かい制限はあるものの、就労に関する資格で認められるほぼすべての活動が認められているので割愛します。
問題となるのは、①④の資格を持っていない場合の、②と③の資格取得者の会社設立についてです。
経営管理ビザでの会社設立の要件
1.申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。【自宅以外の事業所の存在】
2.申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
3. 申請人が事業の管理に従事しようとする場合は,事業の経営又は管理について三年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し,かつ,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
簡単にまとめると、会社経営が初めてではなく、一定の実務経験があり、最初から多めの報酬を支払える見込み・計画、資本金500万円、自宅以外の事業所及びそれらを証明する資料の準備があらかじめ必要ということになります。
高度専門職1号について
高度専門職資格であっても、1号の場合、主に副業目的(1号は転職ができない)での起業が該当し、一定のポイント以上であることや、年収要件、本業以上に稼がない、同種の事業などの制約があります。
よって、本業として日本で経営・管理を行いたい場合は、次の選択肢が考えられます。
① 永住申請する
② 経営・管理ビザを取得する
③ 高度専門職2号を取得する
今の会社で働いて数年経過している場合、①や③を検討して、要件を満たさない場合は、②の申請を検討するという流れになりそうです。
①③の資格が取得できた場合は、自宅の一室での開業や、少額の資本での起業も可能になりますし、①の場合は引退しても日本で生活することができます。
その他のお困りごと
出資者又は経営者が、日本以外にお住いの外国人である場合、会社設立を行えたとしても、日本の銀行口座を作れない可能性があります。
よって、出資者や代表者となる方は、日本在住の方にするのが好ましいでしょう。
外国籍・日本在住の方が起業する場合の一般的な流れ
居住資格保持者の場合
1.会社設立登記を司法書士に相談・依頼
その他の資格で起業する場合
1.必要に応じてビザ専門の行政書士等に相談・依頼をし、在留資格と、その制限や要件を確認する
2.条件をクリアできる場合は、在留資格申請の段取り・計画書などの準備や、会社の事業目的や資本金額、出資者や役員となる者を決定 ※事業目的や資本金の要件に注意
3.会社設立登記を司法書士に相談・依頼
司法書士には、次のような業務を”まるごと”相談できます
業務一覧
✅ 不動産の名義変更、相続人申告登記
✅ 預貯金、証券会社等の解約
✅ 借金、財産の調査
✅ 戸籍謄本、法定相続情報一覧図の取得
✅ 遺言書、エンディングノートの作成
✅ 遺言検認、遺言執行業務
✅ 会社の登記
✅ 相続放棄
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