「遺言信託」という言葉を耳にする機会が増えましたね。「遺言信託」とは、公正証書遺言を信託銀行が預かってくれるサービスのことです。
この記事では、この「遺言信託」について専門家の視点から解説していきます。
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遺言信託とは
信託銀行が遺言作成の相談から、遺言書の保管、その遺言執行までを相続人の代わりに引き受けてくれるというサービスです。
もうお気づきかと思いますが、「遺言信託」はもともと、司法書士や弁護士業務の一部です。
金融機関がその集客や営業を積極的に行い始めたことにより、このサービス名が浸透したのでしょう。
実際の利用者数
信託銀行の遺言書保管件数は、一般社団法人信託協会・信託統計便覧が公表している統計によると、平成12年から毎年6~7000件のペースで増加しています。(令和3年時点で約17万件)同時に、遺言の執行業務や遺産整理業務も増加しています。
これらのことからも、遺言作成や遺言信託が身近なものになっていきているということがわかります。
信託銀行が行う事
「遺言信託」において信託銀行が行うことは次のとおりです。
1.遺言書の作成サポート
2.遺言書の保管
3.遺言執行者への就任
遺言信託(公正証書遺言書の作成)のメリット・デメリット
メリット
・遺言書を作成しておくことで、内容によっては相続トラブルを未然に防止することができます。
・自筆証書遺言は無効になることも多く、手続きも煩雑です。公正証書遺言を作成することでご家族の負担を軽減する事ができます。
・証人2名と公証人の立会のうえ作成されますから、遺言書が無効になるのを防止できます。
・関係が疎遠な者、認知症、行方不明の相続人がいるといったケースでは、遺言書を作成しておくことで、手続きが困難になることを防止できます。
デメリット
・公正証書手数料や、信託銀行、専門家への報酬など費用が発生します。
信託銀行に依頼するメリット・デメリット
メリット
・地域の専門家ではなく、ブランド力や資本力のある金融機関に依頼をすることで「安心感」を買えます。
・資産の有効活用に関するアドバイスを聞く事ができます。
・財産規模が大きく、金融資産も分散しすぎていて整理が大変な場合は、一連の手続きを依頼することで負担を軽減できます。
・税理士がいる信託銀行の場合は、相続税を考慮した遺言書文案を作成してもらえるでしょう。
デメリット
・費用が著しく高額です。信託銀行は手続きを提携の司法書士、弁護士に手続きを任せるのでほとんど何もしませんが、一般的に司法書士に依頼した場合の2~10倍の手数料に加え、別途司法書士、弁護士、税理士報酬も発生します。
・公正証書遺言書の謄本と正本を金融機関に保管してもらう意味はありません。公正証書遺言書は公証役場に原本が保管されるからです。※公証役場の保管料は無料です。
・金融機関は「株式会社」です。一般事業者に資産を全て公開したり、法律に関する相談を行うことは相応のリスクを伴います。
・遺言執行時に費用を支払うのは相続人です。遺言者が生前に契約してしまった高額な執行費用を回避するため、金融機関に遺言執行者を辞退してもらう際の手間やトラブルが今後、多発することが予想されます。
まとめ
数億円から数百億円規模の資産活用のアドバイスが必要なケースでなく、また、金融機関に依頼することによる「安心感」に高額な費用を支払いたくないという方は、はじめから司法書士、弁護士に遺言信託(公正証書遺言書の作成)をご依頼になられたほうが、費用、手間、ご家族の負担、後日の契約トラブルもすべて防止する事ができます。
当事務所では多額の資産の活用について等はご相談いただけませんが、死後の手続きや財産の行方について事前に考えておきたいという一般的なお悩みをお持ちの方であれば、納得の費用感で遺言信託同様のサービスをご提案させていただきます。初回相談は無料ですから、お気軽に問い合わせフォームからご相談ください。
以上、参考になれば幸いです。
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