遺言を作成する場合の費用感や、相談先ごとの報酬目安、相談先の選び方もご紹介しますので業者選びの際に参考になさってください。
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遺言書を作成するにはどれくらいの費用がかかるのか?
まずは結論から。遺言書作成費用には、専門家や業者への報酬と法務局や公証役場への手数料が発生します。
自筆証書遺言
✅ 自分で作成するので無料
法務局保管制度を利用する場合
✅ 専門家への報酬 7万円~
✅ 法務局保管手数料 3900円
公正証書遺言
✅ 専門家への報酬 10~300万円
✅ 公正証書作成手数料 3~11万円
※ 遺言書作成は公正証書によるのが最も安心です。その他の方法で作成する事により、予想だにしないトラブルに発展する事があります。
相談先別の費用の目安※ネット調べ
弁護士
相場は20万~300万円
引用:(旧)弁護士連合会報酬等基準
遺言作成は長らく弁護士が遺言者のサポートをしておりましたが、需要の高まりにより、司法書士、税理士等もその作成をサポートさせていただいております。
元々弁護士が利用していた報酬基準を参考にして計算してみましょう。
◆長男に3500万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合
基本(通常報酬)
20~23万円 + 実費
非定型(内容が複雑)
48万5000円 + 実費
◆長男に2000万円、二男に6000万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合の計算
基本(通常報酬)
20~23万円 + 実費
非定型(内容が複雑)
62万円 + 実費
司法書士・税理士・行政書士・他士業
相場は10~30万円
税理士や行政書士も同じくらいの相場感のようです。当事務所でも同じくらいです。
信託銀行
相場は100万円~300万円
別記事でもご紹介しましたが、こちらは遺言信託というサービスが当てはまります。信託銀行の遺言作成サポートは最低100万円スタートというのが相場のようです。
しかもこの場合、遺言執行を士業などに依頼するには、解約金がかかるという契約内容となっていることが多いです。
費用についてのまとめ
金融機関に依頼すると損をしますね。弁護士は少し割高になりがちで、他士業についてはどれも同じくらいの相場という感じですね。
相談先の選び方
弁護士
将来に紛争可能性がある場合には、弁護士に依頼しましょう。仲が悪い相続人がいたり、相続人ではない第三者に全財産を渡そうとするなどトラブルが予想される遺言作成をご希望の場合などが典型例です。
税理士
相続税が発生する可能性がある場合、相続財産の分配方法により節税効果が大きく異なりますから、節税のために遺言を残されるのであれば、税理士に相談しましょう。
ただし、遺言を作成される目的は多くの場合、節税の為ではないと思いますので、そのような方は弁護士や司法書士にご相談ください。
司法書士・行政書士
基本的な遺言作成は司法書士や行政書士にご依頼になるのがお勧めです。費用としてもリーズナブルですし、民法に深く精通しているからです。
ただし、相続手続きには不動産が含まれる場合も多いですし、遺言執行者として就任し、遺言の執行も行う場合などそのような財産管理業務を行う事が法律で定められているのは、
弁護士・司法書士だけですから、この両者でお悩みの場合は司法書士に迷わずご相談ください。
信託銀行
大会社などを経営なさっていて、資産の運用についても一生にご相談されたいといった場合は付き合いのある信託銀行にご依頼になるのがスムーズで安心かもしれませんね。
遺言書の他に方法はないのか…?
例えば、遺言書を作成しておくべき場合の典型例である、「夫婦に子供がいない場合」で考えてみましょう。
夫婦の一方が先に亡くなった場合、その配偶者は亡くなった方のご兄弟やご両親と財産のことで話合いをしなければならなくなります。
こういった場合は通常、ご夫婦でそれぞれ公正証書遺言を作成し、配偶者に全財産を相続させる遺言を作成しておきます。
相談会などでもよくあるお話で、遺言を残していないと本当に大変なこともあり同情してしまうケースです…
遺留分の問題は残るものの、公正証書遺言を利用して不動産や預貯金の手続きをまとめて配偶者が一人で行う事ができるというメリットがあります。
では、この状態を他の方法で実現できないのか?考えてみましょう。
生前に財産を贈与する
贈与税が発生しないの?と考えてしまうところですが、暦年贈与で1年間110万円未満の贈与であれば贈与税は発生しませんから、亡くなる前に財産をあげたい人に少しずつ贈与するという方法が考えられます。(ただし、この110万円の控除については廃止が検討されています。令和3年5月16日現在)
また、20年以上連れ添ったご夫婦であれば、不動産の贈与を行ったとしても2000万円までの財産に贈与税が発生しないという配偶者控除特例がありますから、それを利用するという方法や、相続税が発生しないのであれば、相続時精算課税制度を利用してまとめて2500万円までの財産を贈与するという方法もあります。
ただし、これらはテクニカルな方法で、他の税金などとの絡みで結果的に損をすることもありますので、あらかじめ税務署、税理士など専門家への相談が必要になるでしょう。
当事務所でも、税務署への事前相談をお勧めしたり、ご希望の場合知り合いの税理士をご紹介し手続きを進めてもよいかの判断を税の専門家にお聞きになるようアドバイスしています。
公正証書作成手数料3~11万円の具体的な計算について
※遺言に記載する財産額が1億円未満の場合には、遺言加算として1万1000円、1億円を超える場合には5000万円ごとに徐々に手数料が高額になります。
財産の価額
手数料
100万円まで
5000円
100万円超200万円まで
7000円
200万円超500万円まで
1万1000円
500万円超1000万円まで
1万7000円
1000万円超3000万円まで
2万3000円
3000万円超5000万円まで
2万9000円
5000万年円超1億円まで
4万3000円
1億円超3億円まで
5000万円ごとに1万1000円加算
3億円超10億円まで
5000万円ごとに1万3000円加算
10億円超
5000万円ごとに8000円加算
公正証書作成手数料の計算例
公正証書遺言の作成手数料は、財産を取得する人ごとに考えます。
公証役場で遺言作成する場合
もらう人の財産額に対する手数料の合計額 + 遺言加算1万1000円 + その他用紙手数料が数千円
◆長男に3500万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合の計算
2万9000円 + 1万1000円 + 用紙手数料数千円 = 4万円~5万円
◆長男に2000万円、二男に6000万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合の計算
(2万3000円+4万3000円) + 1万1000円 + 用紙手数料数千円 = 7万7000円~8万7000円
※遺言で祭祀承継者を指定するなど、計算不能な意思表示を遺言に記載した場合、その意思表示ごとに1万1000円の加算があります。
公証人を病院・施設・自宅に呼んで遺言作成する場合
もらう人の財産額に対する手数料の合計額 × 1.5 + 日当1万円(4時間超える場合2万円) + 遺言加算1万1000円 + その他手数料数千円
◆長男に3500万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合の計算
2万9000円 × 1.5 + 1万円 + 1万1000円 + 用紙手数料数千円 = 6万4500円~7万4500円
◆長男に2000万円、二男に6000万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合の計算
(2万3000円 + 4万3000円) × 1.5 + 1万円 + 1万1000円 + 用紙手数料数千円 = 12万円~13万円
証人手配
1名 1万円
当事務所にご依頼いただいた場合は証人1名は司法書士で対応し、2人目の手配は6000円(出張対応8000円・休日対応9000円)です。
当事務所にご依頼の場合の報酬目安
当事務所報酬は承継する財産の総額で計算します。
承継対象財産の価額 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
---|---|---|
3,000万円 未満 | 60,000円 | 40,000円 |
3,000万円 以上 5,000万円 未満 | 80,000円 | 60,000円 |
5000万円 以上 1億円未満 | 150,000円 | 120,000円 |
1億円 以上 | 250,000円 | 200,000円 |
◆長男に3500万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合
基本
8万円 + 交通費などの実費
非定型(内容が複雑)
13~18万円
◆長男に2000万円、二男に6000万円の預貯金を相続させるという内容の遺言を作成したとする場合の計算
基本
15万円+ 交通費などの実費
非定型(内容が複雑)
20万円~25万円
その他特殊な案件の場合には加算がございます。
まとめ
遺言作成の費用感はお分かりになりましたでしょうか。記載のとおり、相場はバラバラで特に決まっていないというのが現状のようです。
費用感でいえば司法書士、行政書士が割安ですが、依頼した後で後悔しないためには、信頼できる専門家かどうかなどの基準で判断するのも大切だと思います。
遺言作成はご自分でとお考えの方もいらっしゃると思いますが、遺言内容を一工夫することで遺言が原因のトラブルを未然に防ぐことが可能ですし、
無効な遺言を避けることもできますので、遺言作成でお悩みの方はできる限り専門家にご相談ください。
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