不動産購入時の調査について②

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

この記事は、不動産売買の仲介を不動産会社に依頼しない場合に、買主が最低限、確認すべき事項をまとめたものです。

 

不動産について調査すべき事項

前回の記事の続きです。

不動産購入時の調査について①

司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、不動産売買の仲介を不動産会社に依頼しない場合に、買主が最低限、確認すべき事項をまとめたものです。 仲介業者なしで売買は可能か? 不 ...

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13.接道義務(再建築不可)

接道義務(土地上に建物を建てる場合には、幅員4m以上の建築基準法上の道路に、敷地が2m以上接していなければならない)を満たしていない場合は、原則として、土地上に建物を再建築することができません。

 

前面道路が建築基準法上の道路かどうかについては、道路課や建築指導課にて、確認することができます。

 

建築基準法上の道路

1.道路法による道路(国道等の公道)

2.2号道路(都市計画法などでできた開発道路)

3.既存道路(建築基準法施行時(昭和25年11月23日)に存在した道路)

4.位置指定道路(宅地造成で作られた私道で、特定行政庁から指定をうけた道路)

5.2項道路(建築基準法施行時にすでに建物が並んでいて、接道義務の要件を満たさないものの、特定行政庁から指定をうけた道路)

 

2項道路は、1.8m~4m以下の接道義務の要件を満たしていない道路ですが、敷地にセットバックを設けることで、再建築が可能になる敷地です。

ただし、セットバック部分は、建物を建築できないだけでなく、容積率や建ぺい率に影響するため、建物を建てるために土地を購入する場合、調査は慎重に行う必要があるでしょう。

 

横浜市:建築基準法の道路について

 

旗竿地

旗竿地は、その通路の間口が2m以上かつ、路地状部分の幅が2m以上(自治体ごとに、建築安全条例等で要件は厳しくなる。3m以上の自治体もある)になります。

 

通路の一部分が2m以下の場合でも、再建築不可となりますから、確認の際に注意が必要です。

 

側溝と水路

側溝は原則、道路の幅員に含まれます。ただし、自治体による取り扱いについては、道路課で確認が必要です。

 

水路は原則、道路の幅員に含まれません。ただし、占用許可のある架け橋があれば、道路の幅員に含まれることになります。

 

建築審査会の同意

すでに再建築不可物件を購入してしまった場合でも、建築審査会の同意を得ることで、再建築が可能になる場合もあります。

 

横浜市:建築審査会

(敷地等と道路との関係)
第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。
一 自動車のみの交通の用に供する道路
二 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第十二条の十一の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。)内の道路
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
一 その敷地が幅員四メートル以上の道(道路に該当するものを除き、避難及び通行の安全上必要な国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)に二メートル以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとしてその用途及び規模に関し国土交通省令で定める基準に適合するもので、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの
二 その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

 

 

 

14.違法建築・既存不適格物件の調査

土地上に建物が建っている場合は、適法に建てられた建物かどうかを確認します。

 

違法建築

法令違反の建物の事です。法令とは、建築基準法、都市計画法、条例、消防法などです。

建築確認台帳記載事項証明書や手元にある確認済証や検査済証の有無で、適法性を確認することができます。違法建築の場合、融資を利用しての物件購入が、困難になります。

 

既存不適格物件 

違法建築物件は、建築当初から法令に違反しており、完了検査を行っていないような物件のことですが、既存不適格物件は元々適法に建築した物件だったとしても、法令の変更により違法建築物件となった建物の事を指します。

こちらは、既に建てられている建物の情報を洗い出し、建築基準法に適合するかをチェックリストなどを利用して確認しましょう。

 

違法建築は行政処分(懲役、罰金、除去命令、是正措置命令)の対象になりますが、既存不適格物件はその存在が認められています(建築基準法3条2項・86条の7)。

 

 

15.前面の道路が私道の場合

前面の道路の持分を保有していない場合や、共同で土地を持ち合っている場合は、その土地所有者全員の「私道の通行・掘削承諾書」がなければ、通行やライフラインの引き込みをすることができません。

 

承諾書がない場合は、売買の前に承諾書をもらうか、承諾書をもらうことを条件とした契約をするのが一般的です。

 

ケースによっては、道路の一部購入の交渉も必要になるでしょう。

 

※道路の所有者の所在不明なケースなどに対応するため、自治体によっては、承諾書なしで掘削を行うことができる取り扱いがあることも。勝手に掘削を行うと不法行為に該当しますので、注意しましょう。

 

16.住宅診断(ホームインスペクション)

中古の建物に居住する予定の場合は、最低限、目視による住宅診断を依頼しましょう。

 

雨漏り、耐震性能、アスベスト、シロアリ被害などを確認してもらいます。

 

 

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