売却する相手が決まっているため、仲介業者を介さないで売買を行いたいという趣旨の相談が増えてきましたので、この記事では、個人間の不動産売買について、記載してみようと思います。
仲介業者を介さないでする個人間売買について
結論から言うと、仲介手数料(売買価格の3%+6万円)がもったいないとお考えの方がこの記事をご覧になられているかと思いますが、当事者が親族でもない場合は、宅建事業者等に重要事項説明書作成、加えて、司法書士に契約書作成や登記申請代理を最低限、依頼すべきです。
「買主はちゃらんぽらんで、リスクを何もわかっていないようなので、契約書作成と登記申請だけ頼みたい」という趣旨のご相談もありますが、当事務所では、親子や兄弟などの親族間の売買の場合を除き、重要事項説明書も用意されていない売買の場合、基本的には、先に業者に依頼するようお願いしております。
専門家として取引に関与し、そのリスクを知りながら、その説明を丁寧に行わずに、契約書作成と登記申請だけを受任するというのは、当事務所の理念に反するためです。
個人間売買のメリット・デメリット
メリット
・仲介手数料を削減できる
デメリット
・原則、融資を利用できない
・売主が契約不適合責任を問われ、訴訟に発展するリスクが大きい
・売買価格の設定ミス、物件間違い、未登記建物の存在、担保権の存在、土壌汚染、再建築不可など数えきれないほどのリスクの見落としの可能性がある
・固定資産税の精算、契約書作成、登記申請、検査済証等の引き渡し等を、自分達で手配しなければならない。
・とにかく煩雑
リスクの見落とし
不動産売買の際には、宅建業者が以下の項目を確認してくれていますが、個人間売買の場合は、自分たちで調査する必要があります。
1.適正価格
2.市街化調整区域
3.用途制限
4.建築協定
5.防火地域・準防火地域
6.都市計画施設の予定地
7.周知の埋蔵文化財包蔵地の指定
8.地盤
9.土壌汚染
10.宅地造成等規制法の区域
11.地積測量図の有無
12.接道義務
13.違法建築・既存不適格物件
14.前面道路
15.住宅診断
詳しくは、以下の記事をご覧ください。最低限、売主が調査して説明 又は 買主が調査すべき事項をまとめたものです。
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不動産購入時の調査について①
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事では、不動産売買の仲介を不動産会社に依頼しない場合に、買主が最低限、確認すべき事項をまとめたものです。 仲介業者なしで売買は可能か? 不 ...
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不動産購入時の調査について②
司法書士 廣澤真太郎 こんにちは。司法書士の廣澤です。 この記事は、不動産売買の仲介を不動産会社に依頼しない場合に、買主が最低限、確認すべき事項をまとめたものです。 不動産について調査す ...
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何の調査も行わずに不動産売買を行ってしまうと、思いつくだけでも、次のようなリスクがあります。
・贈与税など、余計な納税義務の発生
・不動産を利用できない
・不動産を売却、担保設定ができない
・買主や近隣から訴訟提起される
・買ってすぐに手放さなければならない
・予定していた建物を建築できない
・買ってすぐに多額の出費
・対象物件の間違いにより、登記ができていない
上記の項目を全て役所で調査するのは、かなり大変ですので、可能な限り不動産の事前調査については、業者に依頼するようにしましょう。
売買の際に確認すべき税金
不動産の手続きは、税金に注意が必要です。
印紙税
売買契約書の売買代金に応じて、売買契約書原本に貼り付けして保管します。
登録免許税
登記申請をする際に、支払わなければならない税金です。国税庁:登録免許税の税額表
(例)
売主負担
抵当権抹消 不動産の数×1000円
住所氏名変更 不動産の数×1000円
買主負担
所有権移転登記 不動産の評価額 × 1000分の20(土地は15(措置法72条))
不動産取得税
土地や建物を取得した人が、支払わなければならない税金です。神奈川県:不動産取得税
(例)
建物(住宅)を取得した場合
(不動産の評価額-控除額) × 3%
※別荘は住宅ではありませんが、毎月1日以上居住する物件は住宅に該当します
※貸家住宅でも、新築であれば軽減が適用されますが(面積要件あり)、中古の場合は適用されません
譲渡所得税、住民税
土地や建物を売却した人が、必要な場合に確定申告で支払わなければならない税金です。国税庁:土地や建物を譲渡したとき
(例)
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 =課税譲渡所得金額
課税譲渡所得金額 × 課税短期譲渡所得30% (課税長期譲渡所得15%)
※課税長期譲渡所得は、譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える土地建物を、また、短期譲渡所得は譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の土地建物をそれぞれ譲渡したことによる所得をいいます。
居住用特例が利用できない場合に注意が必要です。
贈与税(法人は法人税)
売買価格が著しく時価よりも低い又は高い場合で、当事者の一方に利益があるとみなされた場合、贈与税(法人は法人税)が発生する場合があります。国税庁:財産をもらったとき
(例)
他人間で、時価5000万円の物件を2000万円で購入した場合で、暦年課税の場合
(3000万円-110万円) × 税率 − 控除額 = 税額
妥当な時価というのは、結局のところ、国が納得すればOKという考え方のため、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で売買価格を決めた場合でも、再取得価額から旧定率法により償却した後の未償却残高や実勢価格がかけ離れていれば、課税される可能性があります。
ただし、常に課税されるというものでもないので、いくつかの根拠資料をもとに、税務署に説明ができればよいという判断になるでしょう。
手続きのサポート
当事務所は司法書士事務所であるため、重要事項説明書の作成は行えませんが、公簿上の物件調査、売買契約書作成、登記申請書作成、各種添付書類の作成、登記申請の代理等を一式お任せいただけます。
ご依頼いただくことで、事前に行わなければならない登記や、物件漏れ、段取りについても、確認することが可能です。まずは一度、お気軽にお問い合わせください。
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