相続の基本を司法書士がやさしく解説|相続の流れ・登記・トラブル回避まで徹底網羅
こちらの記事では、相続の基本について、解説していきます。
はじめに|相続は「誰にでも起こる身近な問題」
「相続」と聞くと、どこか他人事のように感じる方も多いのではないでしょうか。
けれども実際は、人が亡くなると必ず発生する法的な問題であり、決して特別な家庭だけの話ではありません。相続手続きは時間制限があり、知らずに放置するとトラブルや損失につながることも多いです。
しかも、専門的な知識を要する項目が多く、対応を間違えると思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。
この記事では、司法書士の立場から、相続の基本的な知識、流れ、必要な書類、よくあるトラブル、そして専門家に依頼するメリットまでをわかりやすくご紹介します。
初めて相続を経験する方や、将来に備えて知識を持っておきたい方にとって、保存版となる内容を目指します。
1.そもそも「相続」とは何か?
相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産を、その人の家族や親族などの相続人が引き継ぐことを指します。この財産には、現金や預貯金、不動産、株式といった「プラスの財産」だけでなく、借金や未払い金などの「マイナスの財産」も含まれます。
また、相続は民法という法律によってルールが明確に定められており、誰がどの程度の割合で財産を受け継ぐのかが、ある程度決まっています。ただし、遺言書が存在する場合には、その内容が優先されます。
2.法定相続人と相続分の基本
法定相続人とは?
被相続人が亡くなった時点で、法律によって相続人になれる立場の人が「法定相続人」です。民法では以下のように順位が定められています。
■ 配偶者は常に相続人
配偶者(婚姻関係にある人)は、常に相続人となります。内縁関係や事実婚の配偶者は法定相続人にはなりません。
■ 血族相続人の順位
第1順位:子(子が死亡していれば孫)
第2順位:父母(または祖父母)
第3順位:兄弟姉妹(またはその子=甥・姪)
上位の順位に該当する相続人がいれば、下位の順位の人は相続人になりません。

引用:あなたの暮らしをわかりやすく 政府広報オンライン
法定相続分とは?
法定相続分とは、相続人同士が法的に受け取るとされている割合です。以下は代表的なパターンです。
この「持分どおり相続するのが当然である!」という誤解が広まっているようですが、実際は「相続人同士の話し合い」で取得する財産は決定しますから、話し合いの際の基準程度に考えておくと、誤解のせいでもめることはないでしょう。
ここは、非常に大切な知識ですが、「法定相続分どおりに、相続する必要はない」というのがポイントです。
| 相続人の構成 | 配偶者の相続分 | その他の相続人の相続分 |
| 配偶者+子 | 1/2 | 子ども全体で1/2を均等に |
| 配偶者+父母(直系尊属) | 2/3 | 父母全体で1/3を均等に |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹全体で1/4を均等に |
| 子のみ(配偶者なし) | 子全体で100% | |
| 父母のみ(配偶者・子なし) | 父母全体で100% |
代襲相続とは?
相続人となることができる人が、相続の開始時点で、先に亡くなっていた場合は、その人の子供が相続人になります。
第一順位の場合は、子が死亡している場合は、その子供です。
第三順位の場合は、兄弟が死亡している場合は、その子供です。
3.遺言書がある場合の優先順位と注意点
遺言書が優先される
相続には、法律による「法定相続」と、被相続人が自分の意思で相続内容を決める「遺言による相続」があります。原則として、遺言が法定相続よりも優先されます。
遺言書には以下の種類があります:
- 自筆証書遺言(家庭裁判所での検認が必要)
- 公正証書遺言(検認不要)
- 秘密証書遺言(あまり使われていない)
特に、公正証書遺言は法的トラブルが起きにくいため、近年増えています。
遺留分とは?
たとえ遺言書があっても、一定の相続人には「遺留分(いりゅうぶん)」という最低限の取り分が保障されています。
| 遺留分の対象者 | 遺留分の割合(法定相続分に対して) |
| 子、配偶者、父母 | 法定相続分の1/2 |
| 兄弟姉妹 | 遺留分なし |
たとえば、「全財産を内縁の妻に相続させる」と遺言があっても、子どもには遺留分請求権があるため、トラブルの種になることがあります。
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4.相続方法の選択肢とその違い
相続人は、相続が発生したからといって必ず相続を受けなければならないわけではありません。以下の3つの選択肢があります。
単純承認
すべての財産と負債を無条件に引き継ぐ。通常は何もしないことで「単純承認」とみなされる。
負債があった場合でも全ての責任を負うことになる。
限定承認
プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産(借金)も引き継ぐ。
相続人全員の合意が必要。家庭裁判所への申立が必要。※大変なので利用者は少ない(相続放棄の年間の利用者数は28万件を超えるのに対し、限定承認は600~800件)
相続放棄
一切の相続権を放棄する。家庭裁判所に3ヶ月以内に申述する必要がある。
相続放棄をすると、最初から相続人でなかった扱いになる。
5.実際の相続手続きの流れと必要書類
以下の手続きは、まとめて司法書士がサポート可能です。
ステップ1:死亡届の提出(7日以内)
死亡診断書を添えて、市区町村役場に提出。
ステップ2:相続人の調査
戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を遡って集める。
→ 司法書士が全て代わりに収集します。
ステップ3:相続財産の調査
銀行口座、不動産、証券、借金などをリストアップ。固定資産税納税通知書、登記事項証明書、通帳、残高証明書などが必要。
→ 司法書士が代わりに調査します。
ステップ4:遺産分割協議
相続人全員による協議。合意が得られたら、遺産分割協議書を作成。署名・実印・印鑑証明書が必要。
→ 司法書士が作成します。
ステップ5:財産の名義変更・相続登記
→ 司法書士が代理で手続します
- 不動産登記(法務局)
- 銀行口座解約・名義変更(各金融機関)
- 証券会社への名義変更
- 自動車、保険、年金などの変更手続き
以上のとおり、当事務所にご依頼いただいた場合、相続人の皆様にご負担いただくのは、印鑑証明書のご準備と当事務所からのご連絡をお待ちいただくだけです。
6.相続でよくあるトラブル事例と対策
ケース1:相続人同士の話し合いが決裂
遺産分割協議がまとまらないと、家庭裁判所の調停・審判に移行することがあります。
→【対策】中立的な第三者(司法書士・弁護士)を交えて話し合いを進める
ケース2:借金の存在を知らず相続
気づかず単純承認してしまい、借金まで引き継ぐことに。
→【対策】必ず財産調査を行い、3ヶ月以内に判断
ケース3:遺言の内容に不満
遺留分侵害額請求を巡って争いが起きる。
→【対策】遺言書は公正証書で作成し、家族への説明も行うとトラブル防止に
7.司法書士に依頼するメリットとは?
司法書士は、特に以下の場面で大きな力を発揮します。
複雑な戸籍の取得・調査
遺産分割協議書の作成
不動産の相続登記手続き
相続放棄や限定承認の申立支援
相続トラブルの未然防止
相続は感情が絡むケースが多く、専門家が間に入ることで円滑に進むことが少なくありません。
特に不動産が関係する場合は、登記の専門家である司法書士の出番です。
配偶者居住権とは
新しい権利でよくインターネットで解説がなされていますが、現状、実務にフィットしにくい(使う場面がほとんどない)ので、説明は省略します。
使う場面は次のようなケースです。
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財産がほぼ自宅のみで、配偶者に不動産の所有権を渡すと他の相続人が納得しない事情がある(子供が生活保護者や被後見人であるなど)
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節税ニーズが明確(相続税対策)
そもそも、遺産分割協議や遺言が必須の権利ですから、非常に使いづらいです。
法務局での遺言保管について
こちらも、政府関係のWEBでは推奨されていますが、現状使いづらいので、公正証書遺言の作成か、通常通り、遺言検認鉄手続きを経るのが現状でしょう。
不動産の相続登記の申請は義務化されています
令和6年(2024年)4月1日から、不動産を相続(取得)したことを知った日(遺産分割が成立した場合には、その成立の日)から3年以内に、相続登記の申請をすることが法律上の義務になりました。
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相続登記の義務化、相続人申告登記について
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終わりに|相続は「亡くなった後の話」ではなく「今からの準備」
相続という言葉は、「人が亡くなった後に起こること」と思われがちですが、実際には「生前の準備」でほぼすべてが決まります。
生前の対話、遺言書の作成、財産の整理など、今から始めることでトラブルを未然に防ぐことができるのです。
司法書士としても、「困ったときに相談する相手」から、「困らないように準備を支援するパートナー」へと役割が広がっています。
大切なご家族のためにも、早めに相続について考え、行動を始めましょう。
まとめ
財産分与は離婚後の生活を左右する重要な課題です。
この記事で紹介した情報が、皆様の離婚準備の一助となれば幸いです。
個別の状況に応じた最適な解決策を見つけるためにも、お困りの際はぜひ専門家にご相談ください。当事務所でも丁寧なサポートをお約束いたします。
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質問例
・不動産の名義変更がしたいが、依頼した際の費用感と必要書類を教えてほしい
・親が他界したので、なにをすればいいのか教えてほしい
・〇〇を理由として遺言書を作りたいが、自分で作れるのか、専門家に頼むべきか状況判断をしてほしい
・認知症対策をしたいが、何から手を付けるべきか相談したい
・親族と話し合いをするが、法的観点のアドバイスのため、同席してほしい
・終活に関するセミナーで講演してほしい
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