ご存知の方も多いと思いますが、遺言の作成数は増加傾向にあります。
この記事では、とくに遺言書を残しておくべき典型例をご紹介してますので、判断材料としてご参考になさってください。
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遺言書とは?
遺言書は、生前世話になった人に相続の際に御礼がしたい、あるいはお孫さんに財産を渡したい、というように、被相続人(故人)が法律の定めと異なる相続の配分を生前に希望するときに作成するものです。
遺言書を生前に残しておくと、エンディングノート等のメモ書きとはちがい、本人が亡くなった後に強力な法的効力を発生させることができます。
遺言の作成件数
公正証書遺言
平成22年 約8万件
令和1年 約10万件
自筆証書遺言の検認件数
平成15年 約1万件
令和1年 約1万8000件
遺言書のメリット・デメリット
デメリット
①作成に費用や手間がかかる
②自書で作成した場合、無効になることがある
③遺言書が無効になった場合、相続人の負担を増やすだけになる
④内容によっては、トラブルの火種になる
メリット
①生前のうちに遺産の取得者等を決めておける
②相続人ではない人に財産を渡すこともできる
③相続人同士のトラブルを事前に防止できる
④相続手続きに必要な書類が少なくて済む
⑤相続手続きの負担を軽減できる
⑥相続人同士で話し合うことなく手続きを開始できる
後日、相続人同士でトラブルにならないためにも、遺言書は必ず公正証書で作成しましょう。
また、その内容について判断が難しいとお考えの場合には、文案作成ついては司法書士にお任せください。
遺言書の記載事項
遺言に記載できるものは民法に定められています。15歳に達した人であれば、誰でも自由に遺言書を作成することが可能です。
・遺贈、寄付行為など遺言者の相続財産の処分
・推定相続人の廃除又は廃除の取消し
・法定相続分と異なる遺産分けの時、相続分の指定又は指定の委託
・遺産分割方法の指定
・遺産分割の禁止(最長死後5年間)
・相続人相互の担保責任の指定
・遺言執行者の指定
・子の認知
・未成年後見人の指定
遺言書を残しておいたほうがいいケース
遺言書を残しておくと有益なのは、次のようなケースです。
1.子供がいない夫婦
夫婦の一方が亡くなった場合、その相続人は残された配偶者と直系尊属(父母、祖父母)、直系尊属がいなければ個人の兄弟姉妹が相続人になります。
そして相続時の遺産分割協議という話し合いは、必ず相続人全員で行わなければなりませんから、このケースで残された配偶者は、義兄弟や義父母に自ら連絡し、その財産の事で話し合わなければならない立場になります。
ご兄弟が疎遠で居場所がわからないという事も、認知症の方がいる可能性もありますし、これがいかに大変かというのは想像に難くないはずです。
このようなケースでは、公正証書遺言等によりあらかじめ相続分を指定し配偶者を遺言執行者にしておくという方法があります。
こうすることで、相続人同士で話し合いを行うことなく遺言書に従い相続手続きをすすめればよくなるので、残された配偶者の負担を軽減することができます。
この場合、ご夫婦それぞれで遺言書を作成されることをおすすめします。
2.再婚し、前妻(夫)の子と後妻(夫)の子がいる場合
違うパートナーとの子供がいるという方は、必ず遺言書を残しておくべきですね。
あなたがお亡くなりになった場合、あなたの子供たちは一堂に会し、遺産分割協議という話し合いを行う事となります。
子供たちが疎遠であれば、知りもしない兄妹とやりとりをすることになりますし、知らない人と財産のことで話し合いをするというのは大変です。
例えば、元妻が再婚等をして子ABが幸せに暮らしているのであれば、子Cに財産を残してやりたいという意思があるような事情があるのであれば、そのような遺言を残しておくことが大切です。
ただし、子には遺留分という権利がありますので、遺言の内容については作成時に司法書士に聞きながら進めるのが良いでしょう。
3.内縁の夫婦
近年事実婚は増加傾向にあります。フランス婚、PACS、ユニオン・リーブルというのを最近耳にするようになりましたね。
いわゆる内縁というもので、結婚しているような状態でありつつも婚姻届は提出していない人達のことです。住民票にも「妻(未届)」というように記載することが認められています。
日本では婚外子が約0.1割と少ないですが、諸外国では増加傾向でありフランスでは6割を超えるようで、結婚にメリットがほとんどなくなった現在では、これからもその傾向は変わらないでしょう。
法律上の地位としては、内縁の妻には実質ほとんど配偶者と変わらない権利がありますが、最大の違いは相続権がない事です。
例えば内縁の夫が亡くなった場合、その相続権はまずは認知した子供、次に直系尊属、その次に兄弟姉妹となり妻には相続分が一切ありません。
このような事態は、配偶者に対する遺言書を残しておくことで対策が可能です。有効な遺言書を残しておくことで、結婚しているのとほとんど同じ権利を有することになります。
4.相続人がいない場合
相続人が誰もいない場合には、相続財産は法人となります。
そして、利害関係人から請求があった場合、相続財産管理人という法人の代理人が選任され、その処分や管理を行い、最終的には国が財産を取得することになります。
普段から税金を納めている国にさらに相続財産を持っていかれるくらいなら、例えば、愛犬保護団体に寄付したいとお考えになる方もいるのではないでしょうか。
このような場合には、寄付先を定めて、事前に財産を現金化しておき、遺贈する旨の遺言を残しておくのもよいでしょう。
5・相続人ごとに承継する財産を決めておきたい場合
長男は近くに住んでいて、賃貸不動産の管理については勉強しているので不動産Aは長男に、不動産Bは長女と一緒に住んでいるので長女にといった具合に、相続分をあらかじめ指定したい場合などにも遺言は役に立ちます。
6.推定相続人の中に、認知症の方などがいる場合
精神疾患をお持ちの方は署名押印について理解することができないため、遺産分割協議を行うことができません。
よって、相続人の中に認知症の方等がいる場合、その方のために成年後見人の選任申立てを行う必要があります。
しかし、成年後見制度は包括的な代理権を後見人にたいして与えるもので、スポットで依頼をするものではないため、申立てを躊躇してしまうご家族も多いと思います。
この場合、その方がお亡くなりになるまでの間、遺産が宙に浮いたまま動かせなくなります。
お亡くなりになるまで待つという結論になりうるということです。
有効な遺言書があればこのような事態を防止することができます。
まとめ
上記に当てはまらない場合でも、遺言を残されていた方が、相続人の方々の手続きが楽になるなどメリットは多くあります。
遺言を作成しておくべきか、またその内容についてお悩みの方は、お問合せフォームから気軽にご質問ください。
以上、参考になれば幸いです。
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