存続期間が満了した用益物権と、除権決定による抹消について

最近、珍しい手続きとして公示催告手続きを行いましたので、備忘録としてまとめておきます。

以下の不動産登記法70条2項の手続きは、存続期間が経過していることが明らかで、権利が消滅しているにもかかわらず、地上権や賃借権、地役権などの用益物権に関する登記が残っているが、

登記名義人が行方不明であったり、既に死亡して相続関係が不明な場合などに適用されます。

不動産登記法70条2項 消したいのに消せない登記

法律に、除権決定が利用できることの根拠があれば、公示催告手続きにチャレンジすることができます。手続き期間は、半年~1年程度です。

(公示催告の申立て)
第九十九条 裁判上の公示催告で権利の届出を催告するためのもの(以下この編において「公示催告」という。)の申立ては、法令にその届出をしないときは当該権利につき失権の効力を生ずる旨の定めがある場合に限り、することができる。

用益物権の存続期間が経過している場合の、公示催告の根拠条文はこちら。

(除権決定による登記の抹消等)
第七十条 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が知れないためその者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第九十九条に規定する公示催告の申立てをすることができる。
2 前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。
3 前二項の場合において、非訟事件手続法第百六条第一項に規定する除権決定があったときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独で第一項の登記の抹消を申請することができる。
4 第一項に規定する場合において、登記権利者が先取特権、質権又は抵当権の被担保債権が消滅したことを証する情報として政令で定めるものを提供したときは、第六十条の規定にかかわらず、当該登記権利者は、単独でそれらの権利に関する登記の抹消を申請することができる。同項に規定する場合において、被担保債権の弁済期から二十年を経過し、かつ、その期間を経過した後に当該被担保債権、その利息及び債務不履行により生じた損害の全額に相当する金銭が供託されたときも、同様とする。

ポイント

・休眠担保権が抵当権である場合は、公示催告の利用は困難であるため、一般的には供託特例の利用や、抹消登記手続訴訟を提起を検討することになります。

・条文上、「登記された存続期間」とありますから、おそらく、地上権の法的な存続期間を根拠にする場合は、現地調査が必要になると思われます。

公示催告・除権決定の条件

(1)権利が消滅していること

(2)登記名義人が所在不明であること

よって、登記の共同申請が行えないとき、除権決定を経ることで、登記権利者は、単独で申請することができる。

上記、2点を裁判所に認めてもらう必要がありますが、存続期間が登記簿に記載されていれば、登記事項証明書がその確認資料になります。

また、所在不明については、70条2項で「所在不明とみなす」ものとされ、現地調査は省略することができます。その他、裁判所の求めに応じて陳述書などが必要になりえます。

 

もちろん、登記名義人や、その相続人が発見された場合は、その方の協力なくして、勝手に登記を抹消することはできません。

 

「法務省令で定める方法により調査」とは

こちらが、その具体的な調査方法になります。

個人の場合は、戸籍&住民票の調査を行ったが廃棄などされており、かつ、転送郵便で宛所尋ねあらず出戻ってくれば、不動産登記法70条第2項により、所在不明とみなされるということになります。

(法第七十条第二項の相当の調査)
第百五十二条の二 法第七十条第二項の法務省令で定める方法は、次の各号に掲げる措置をとる方法とする。
一 法第七十条第二項に規定する登記の抹消の登記義務者(以下この条において単に「登記義務者」という。)が自然人である場合
イ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の調査として次の(1)から(5)までに掲げる措置
(1) 登記義務者が記録されている住民基本台帳、除票簿、戸籍簿、除籍簿、戸籍の附票又は戸籍の附票の除票簿(以下この条において「住民基本台帳等」という。)を備えると思料される市町村の長に対する登記義務者の住民票の写し又は住民票記載事項証明書、除票の写し又は除票記載事項証明書、戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書並びに戸籍の附票の写し及び戸籍の附票の除票の写し(以下この条において「住民票の写し等」という。)の交付の請求
(2) (1)の措置により登記義務者の死亡が判明した場合には、登記義務者が記録されている戸籍簿又は除籍簿を備えると思料される市町村の長に対する登記義務者の出生時からの戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書の交付の請求
(3) (2)の措置により登記義務者の相続人が判明した場合には、当該相続人が記録されている戸籍簿又は除籍簿を備えると思料される市町村の長に対する当該相続人の戸籍及び除かれた戸籍の謄本又は全部事項証明書の交付の請求
(4) (3)の措置により登記義務者の相続人の死亡が判明した場合には、当該相続人についてとる(2)及び(3)に掲げる措置
(5) (1)から(4)までの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が判明した場合には、当該者が記録されている住民基本台帳又は戸籍の附票を備えると思料される市町村の長に対する当該者の住民票の写し又は住民票記載事項証明書及び戸籍の附票の写し((1)の措置により交付の請求をしたものを除く。)の交付の請求
ロ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の(1)及び(2)に掲げる措置
(1) 登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛ててする登記義務者に対する書面の送付(イの措置により登記義務者の死亡及び共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合を除く。)
(2) イの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該者に対する書面の送付
二 登記義務者が法人である場合
イ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の調査として次の(1)及び(2)に掲げる措置
(1) 登記義務者の法人の登記簿を備えると思料される登記所の登記官に対する登記義務者の登記事項証明書の交付の請求
(2) (1)の措置により登記義務者が合併により解散していることが判明した場合には、登記義務者の合併後存続し、又は合併により設立された法人についてとる(1)に掲げる措置
ロ イの措置により法人の登記簿に共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者(共同して登記の抹消の申請をすべき者が合併以外の事由により解散した法人である場合には、その清算人又は破産管財人。以下この号において同じ。)として登記されている者が判明した場合には、当該代表者の調査として当該代表者が記録されている住民基本台帳等を備えると思料される市町村の長に対する当該代表者の住民票の写し等の交付の請求
ハ 共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の(1)及び(2)に掲げる措置
(1) 登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛ててする登記義務者に対する書面の送付(イの措置により登記義務者が合併により解散していること及び共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合を除く。)
(2) イの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該者に対する書面の送付
ニ イ及びロの措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者が判明した場合には、当該代表者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の(1)及び(2)に掲げる措置
(1) 共同して登記の抹消の申請をすべき者の法人の登記簿上の代表者の住所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付
(2) イ及びロの措置により当該代表者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付

 

除権決定までの流れ

除権決定を申し立てるための手続きは、裁判所に対する公示催告から始まります。

公示催告は、登記名義人の所在地が不明である場合に、官報や日刊新聞に公告を行い、異議がないかを一定期間にわたって募集する手続きです。

おおよそ5~10万円程度の予納金が必要になります。

 

1) 公示催告の申立て

除権決定を受けるためには、まず管轄裁判所に公示催告を申し立てます。申立人は、原則として不動産の所有者や利害関係者が該当します。公示催告の申し立てにおいては、用益物権が消滅している旨を証明するために必要な証拠書類を添付する必要があります。

2) 公示催告期間

公示催告の期間は、原則として2か月以上です。この期間中に異議を申し立てる者がいなければ、除権決定が出されます。公示催告の期間中に異議を申し立てる者が現れた場合、裁判所はその主張を審理し、最終的な判断を下します。

3) 除権決定

公示催告期間が終了し、異議がない場合、裁判所は除権決定を下します。この除権決定が確定すると、登記簿上に残っていた用益物権の権利が抹消されたことになります。

裁判所の除権決定は、強制力を持つため、登記名義人が異議を唱えられない状況においては、原則としてその効果が現れます。

 

(審理終結日)
第百五条 裁判所は、権利の届出の終期の経過後においても、必要があると認めるときは、公示催告の申立てについての審理をすることができる。この場合において、裁判所は、審理を終結する日(以下この章において「審理終結日」という。)を定めなければならない。
2 権利の届出の終期までに申立人が申立ての理由として主張した権利を争う旨の申述(以下この編において「権利を争う旨の申述」という。)があったときは、裁判所は、申立人及びその権利を争う旨の申述をした者の双方が立ち会うことができる審問期日を指定するとともに、審理終結日を定めなければならない。
3 前二項の規定により審理終結日が定められたときは、権利の届出の終期の経過後においても、権利の届出又は権利を争う旨の申述は、その審理終結日まですることができる。
4 権利を争う旨の申述をするには、自らが権利者であることその他の申立人が申立ての理由として主張した権利を争う理由を明らかにしなければならない。
(除権決定等)
第百六条 権利の届出の終期(前条第一項又は第二項の規定により審理終結日が定められた場合にあっては、審理終結日。以下この条において同じ。)までに適法な権利の届出又は権利を争う旨の申述がないときは、裁判所は、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利につき失権の効力を生ずる旨の裁判(以下この編において「除権決定」という。)をしなければならない。
2 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出があった場合であって、適法な権利を争う旨の申述がないときは、第百四条第一項の場合を除き、当該公示催告の申立てに係る権利のうち適法な権利の届出があったものについては失権の効力を生じない旨の定め(以下この章において「制限決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。
3 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利を争う旨の申述があった場合であって、適法な権利の届出がないときは、第百四条第一項の場合を除き、申立人とその適法な権利を争う旨の申述をした者との間の当該権利についての訴訟の判決が確定するまで公示催告手続を中止し、又は除権決定は、その適法な権利を争う旨の申述をした者に対してはその効力を有せず、かつ、申立人が当該訴訟において敗訴したときはその効力を失う旨の定め(以下この章において「留保決定」という。)をして、除権決定をしなければならない。ただし、その権利を争う旨の申述に理由がないことが明らかであると認めるときは、留保決定をしないで、除権決定をしなければならない。
4 裁判所は、権利の届出の終期までに適法な権利の届出及び権利を争う旨の申述があったときは、第百四条第一項の場合を除き、制限決定及び留保決定をして、除権決定をしなければならない。
5 除権決定に対しては、第百八条の規定による場合のほか、不服を申し立てることができない。
6 制限決定又は留保決定に対しては、即時抗告をすることができる。
7 前項の即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
(除権決定等の公告)
第百七条 除権決定、制限決定及び留保決定は、官報に掲載して公告しなければならない。

 

 

重要・ 司法書士・弁護士との連携

除権決定の申立ては専門的な知識が求められるため、司法書士や弁護士に相談することが望ましいです。

特に、用益物権の消滅を証明するために必要な証拠書類の準備や、裁判所への手続きの進め方について助言を受けることができます。

予納金や登記手続きを考えると、トータルで20~40万円程度になることが予測されます。

 

まとめ

不動産登記法70条2項の除権決定は、用益物権が消滅しているにもかかわらず、登記が残っている場合に、その登記を抹消するための重要な手続きです。

登記名義人が行方不明であったり、死亡して相続関係が不明な場合でも、除権決定を得ることで登記簿上の権利関係を整理し、不動産の取引や利用を円滑に進めることができます。

この制度は、不動産登記における重要な手段であり、適切に理解し活用することで、登記簿の正確性と透明性が確保され、取引の安全性を高めることができます。

 

 

 

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