遺贈と相続の違いをわかりやすく解説します。 

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

相続の記事を読むと必ず遺贈というワードが出てきます。そこで相続と遺贈の違いについてこの記事では解説しています。

 

遺贈とは

遺贈とは、遺言書で財産をあげる事です。文字通り、遺言で贈ると読むわけです。

遺贈(いぞう)とは、遺言により人(自然人法人を問わない)に遺言者の財産を無償(法律上の無償の意。一定の負担を要求できるが対価性があってはならない)で譲ることである。遺贈は単独行為である点で、契約である死因贈与と異なる。

遺贈 Wikipedia

遺贈と相続の違い

遺贈は遺言書で財産をあげることであり、相続は亡くなった方の預金などのプラス財産、借金などのマイナス財産をまとめて譲り受けることです。

相続(そうぞく)とは、自然人財産などの様々な権利義務を他の自然人が包括的に承継すること[1]

相続 Wikipedia

司法書士がとくに気にする遺贈と相続の違いは税金面と手続面です。

税金面の違い

例えば、不動産を相続人の一人である長男に譲りたいと考えている場合には、「相続」を選択します。

なぜなら、不動産の名義変更時に発生する登録免許税の税率が大きく異なるからです。

評価額3000万円の不動産の場合、相続なら12万円で済むところ、遺贈の場合には60万円となり、48万円も税金が変わってきます。

税金面では相続人に対して遺贈とするメリットはありません。相続させる遺言を作成すべきです。

手続面の違い

相続人が子供3名とするときに、遺言者が長男の今後の生活のことを考え、A銀行の預金と不動産を長男に残しておきたいと考えているとします。

「相続」とした場合 

長男一人でA銀行の預金解約も、不動産の名義変更も行うことができます。

「遺贈」とした場合

相続手続きに他の兄弟2名の協力が必要になります。他の兄弟が手続きに賛同していない場合には、実印押印を拒まれる可能性もあります。

遺言執行者を定めておけばこのような問題は防ぐことができますが、遺言執行者は責任のある役割ですので、ご自身で遺言執行者を選定される場合には誰に任せるべきかという点については慎重に考えることが大切です。

 

遺贈の種類

遺贈には2種類あります。

(包括遺贈及び特定遺贈)

第九百六十四条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

 

①包括遺贈

誤解を恐れずに言えば、受遺者を相続人の一人にすることです。

遺産分割協議に参加できますし、遺贈を放棄するためには家庭裁判所に申立が必要になります。

相続人とほとんど同じ地位になりますが、遺留分や特別受益といった制度は包括遺贈を受けた人には当てはまりません。

(包括受遺者の権利義務)

第九百九十条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する

 

包括遺贈が活用されるのは、第三者にその財産(プラスの財産やマイナスの財産含む)全てを託したいといった時でしょうか。

相続人であれば「遺贈」とせず「相続」とした方が費用面や手続面を考えるとよいですが、第三者は「相続」することができませんので、こういった方法をとります。

例)遺産の割合を示して一部だけ包括遺贈する方法もあります。

「私は相続分の3分の1を長男の法務太郎に包括して遺贈する」

 

➁特定遺贈

特定の財産を遺贈することです。例えば、不動産は甥に、預貯金債権は姪にあげたいといった場合に活用できます。

例)具体的な特定の財産を遺贈する方法

「私はA不動産(不動産の表示省略)を甥の法務太郎に遺贈する」

遺言に特別な記載がなければ借金などは承継しません。

 

注意点

多額の借金や事業の連帯保証人となっている遺言者が、財産を特定遺贈で相続人の一人に全て渡し、相続人は相続放棄を行うというスキームを組めば、プラス財産だけ相続人に渡して借金は避けられるように見えます。

しかし、法律を勉強してずるい事を考え、当事者のうち誰かに極端な不利益を伴うような手続きを行うと、民法には「信義則の原則・権利の濫用・公序良俗違反」という根本的な考え方がありますので、

債権者からの訴えで遺言に基づいて行った手続きの無効が争われる可能性があります。

お金を貸したのに回収ができない、なのに相続人は悠々自適に暮らしている…。債権者の立場からするとたまったものじゃないですよね。

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