遺言を作成すると決めたら、作成する遺言の種類を選択しましょう。

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

遺言書の作成方法にはいくつか種類があり、どの方法を選択すべきかわからないという方もいるのではないでしょうか。

そこで、遺言書の作成方法を選択するために必要な情報についてまとめておきます。

遺言を残しておくべきかどうかお悩みの方はこちら。

 

遺言の種類・作成方法にはどのようなものがあるのか

主な作成方法は次の3つです。

✅ 自筆証書遺言…自分で全文を自署する方法です。原本は自宅保管するか、法務局で手続きすれば保管してもらえます。

✅ 秘密証書遺言…全文自署は不要です。遺言者が遺言内容を秘密にしたまま遺言書を封じて、封じられたままでその封筒を公証人に認証してもらう方法。

✅ 公正証書遺言…全文自署は不要です。遺言者が証人2人と公証人の面前で遺言の趣旨を話し、公証人がこれを筆記し作成する方式の遺言です。原本は公証役場で保管してもらいます。

 

 

それぞれの作成方法のメリット・デメリット

自筆証書遺言を作成し、自宅保管する場合

メリット
  • 遺言書作成に費用がかからない
  • 一人で作成できる
  • 遺言書の内容や存在を知られることがない
デメリット
  • 検認が必要なため、遺言内容を実現するための執行が煩雑
  • 公正証書遺言に比べて要件が厳格で無効になる可能性が高い
  • 改ざんや隠匿の恐れがある
  • 方式不備や遺言内容に法律的疑義が生まれてトラブルになりやすい

従来の遺言書の作成方法である自筆証書遺言(自宅保管)は、遺言者の死後に家庭裁判所において「検認」と呼ばれる面倒な手続きが必要なうえ、内容が無効になる可能性が高く多くの問題を抱えていました。

 

自筆証書遺言を作成し、法務局で保管する場合

メリット
  • 検認が不要なため、遺言内容を実現するための執行がスムーズ
  • 一人で作成できる
  • 法務局(登記所)に保管されることにより改ざんや隠匿の恐れがない
  • 遺言書の要件具備を法務局が確認するため、要式不備の遺言書無効の恐れが少ない(内容については見てくれない)
  • 遺言者が亡くなった時に相続人中1名に通知があるため実現可能性が高まる
デメリット
  • 遺言書作成に法務局(登記所)への手数料3900円~少しだけ費用がかかる
  • 遺言内容について法律的疑義が生まれてトラブルになりやすい
  • 法務局(登記所)に遺言者本人が出頭する必要がある
  • 住所や氏名、本籍の変更届が煩雑で面倒。何度も法務局に予約するなど高齢者向きとは言えない
  • 変更届を忘れてしまう可能性が高く、結局遺言者が亡くなった時に通知人に通知が届かず気づかれないという可能性が高まる
  • 遺言書があるのに戸籍謄本一式を取得しなければ情報開示できないなど、相続時の手続きが煩雑

令和の民法の改正により設けられた法務局(登記所)における「自筆証書遺言書保管制度」を利用することにより、比較的安価に遺言書を公的機関にて保管できるようになりました。検認が不要で元々の自筆証書遺言を自宅保管しているよりはだいぶ便利になったと感じますが、制度として利用するにはまだ始まったばかりという事もあり様子見したほうが良いと思ってます。この制度を利用する場合は専門家に事前にご相談いただいてから行うようにしてください。これから様々な制度改善がなされる事でしょう。

秘密証書遺言を作成する場合

メリット
  • 内容の秘密は確保できる
  • 自書することができない人でも利用できる
  • 存在は明らかにできるので、遺言書が隠匿されたり破棄される恐れが抑えられる
デメリット
  • 検認が必要なため、遺言内容を実現するための執行が煩雑
  • 公証人の関与と証人2名の関与が必要で手続きが厳格
  • 存在の秘密は確保できない
  • 公証役場での手数料が1万1000円~と、公正証書遺言ほどではないが費用がかかる

従来の自筆証書遺言と同じように、「検認」が必要なことは最大のデメリットですが、例えば自書することができないが、公正証書遺言によるほど費用をかけたくはないという方のニーズにはマッチするかもしれません。

 

公正証書遺言を作成する場合

実際には例えば司法書士と遺言者が打合せをした文案を公証人と事前にすりあわせし、作成当日、遺言者に公証人が遺言書内容を読み聞かせ、遺言者がその趣旨を理解しているか確認するという流れになります。

メリット
  • 公証人を介するので自筆証書遺言に比べて有効性が担保されやすい。
  • 検認が不要なため、遺言内容を実現するための執行がスムーズ
  • 失くした場合や焼失した場合なども原本は公証役場に保管されているため、手数料を支払えば再生することができる
  • 公証役場に保管されることにより改ざんや隠匿の恐れがない
  • 本人作成が担保される(遺言があることによる争いを防ぐことができる
  • 自書することができない人でも利用できる
デメリット
  • 費用がかかる(公正証書作成手数料が2万円~10万円程、公証人への日当や証人手配手数料がかかる場合も)
  • 公証人の関与と証人2名の関与が必要で手続きが厳格
  • 内容や存在の秘密は確保できない

公証人を介するので遺言書が無効になる事がほとんどなくなりますし、「検認」も不要です。
また手続きも厳格なので、遺言者の遺言能力が疑われる可能性があるときや、遺言書の内容が複雑なときなど後々のトラブルを防止という観点からは公正証書遺言によるほうが安心といえるでしょう。
遺言を作成するのであれば、公正証書遺言での作成を強く推奨します

 

特殊なケースで選択すべき作成方法

 

死亡危急時遺言

(死亡の危急に迫った者の遺言)

第九百七十六条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人三人以上の立会いをもって、その一人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。

2 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。

3 第一項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。

4 前三項の規定によりした遺言は、遺言の日から二十日以内に、証人の一人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。

5 家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。

 

特徴として、遺言書が自書する必要が一切ないということと、証人が3人必要ということでしょう。実際には、事前に遺言者より証人の一人が聞きとった内容の文案を作成し、作成当日、証人他2名と遺言者に読み聞かせ承認が署名押印するという方法をとることとなります。この遺言を残す場合にもビデオ撮影をしておく事などはケースによっては必要でしょう。

 

成年後見人の遺言

(成年被後見人の遺言)

第九百七十三条 成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。

2 遺言に立ち会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押さなければならない。ただし、秘密証書による遺言にあっては、その封紙にその旨の記載をし、署名し、印を押さなければならない。

 

遺言者に遺言を作成する能力があるかどうかという判断はとても大切です。

遺言書の内容に納得のいかない相続人から「無理やり遺言書を書かせたんじゃないか?」といった疑いをもたれ紛争に発展する事があります。
そのようなことを防止するために、遺言者が成年被後見人でないとしても遺言者の遺言能力に疑いがあるような場合には診断書を用意しビデオ撮影をしつつ医師2人に立会をお願いするなどの方法を用いるということも考えられます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。最後に簡単に遺言書選択に役立ちそうな事を記載しておきたいと思います。

費用面で考えると…

自筆証書遺言(自宅保管) > 自筆証書遺言(法務局保管) > 秘密証書遺言 > 公正証書遺言

このような並びになりそうです。

 

遺言を残す趣旨から考えると…

公正証書遺言 > 自筆証書遺言(法務局保管) > 秘密証書遺言 ≒ 自筆証書遺言(自宅保管)

このような並びになりそうです。将来の紛争予防や、遺言執行場面での利便性、破棄や隠匿の防止といったポイントのほうが費用面よりも重要ではないでしょうか。

当事務所では公正証書遺言の作成を強く推奨します。
遺言がもとになってトラブルが発生することもあり、遺言を残す趣旨から考えるとそれでは本末転倒だからです。

 

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