違法建築物件の売却【わかりやすく解説】

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

たまにご質問をいただく事があるので、違法建築物件についての基本を記載しておきます。

違法建築とは

法令違反の建物の事です。法令とは、建築基準法、都市計画法、条例、消防法などです。

建築基準法についてはこのページで解説していますが、土地に建てられる建物の床面積の上限や接道条件など細かく決められています。

不動産にかかわる法令について

司法書士 廣澤真太郎こんにちは。司法書士の廣澤です。 不動産をとりまく法令には様々なものがあり、パラパラ本を読むとなにがなんだかわからなくなります。 そこで、最低限これだけは知っておきたい不動産の法令 ...

続きを見る

建築当初から違反であったり、建築当初は適法であっても増築したことにより違法建築となることがあります。

 

既存不適格物件との違いは?

違法建築物件は建築当初から違反しており完了検査を行っていないといった物件ですが、

既存不適格物件は元々適法に建築した物件だったとしても、法令の変更により違法建築物件となった物件の事を指します。

住んでいた家が知らない間に違法建築物件になっていることがありえるわけです。

違法建築は行政処分(懲役、罰金、除去命令、是正措置命令)の対象になりますが、既存不適格物件はその存在が認められています(建築基準法3条2項・86条の7)。また、様々な規制の緩和などが行われています。既存不適格建築物の増築等について:国土交通省

ただし、存在を認められているとはいえ、不動産に関する法令は公共の利益のために考えられたものです。

例えば建築基準法は道路の幅、建物の面積などに決まりを設けることで、緊急時の避難経路を確保したりして住みやすい街づくりを目的としています。

そのため、既存不適格物件は近隣とトラブルになる可能性を秘めたリスクのある物件とも言えます。

 

なぜ違法建築物件が存在するのか

完了検査をしていない建物が存在するからです。

昔は現在ほど完了検査が徹底していませんでした。建築確認の申請はしたが、検査はしてないという物件がたくさんあるのです。

現在では約9割が建築確認、完了検査が行われています。ただ、それでも約1割は確認が行われていないようです。

引用:国土交通省参考資料集

 

違法建築物件は売っていいのか…?

買主に法令違反の物件である旨をキチンと説明したうえであれば売却することは可能です。

法令が変わって既存不適格物件になったからといって売主が都度リフォームして売却を考えるというのは現実的ではありませんよね。

法令違反の建物は買い手が見つかりにくいので、建物を解体(相場は坪/3~8万円)してから土地を売却するかどうかという話になるでしょう。

建物を解体したのであれば、単なる土地ですから売ることができるのは当然ですね。

 

違法建築物件を売る時に知っておくべきこと

買主が融資を使えない

金融機関は融資をする際、違法建築物件でないか調査します。そのため、現金で購入できる買主を探さなければならなくなり、買主探しが困難になります。

これは購入時だけでなくリフォームや増築時にも当てはまりますから、売りにくい物件という事になります。

売却額は安くなりがち

そもそもの話として、「違法建築です」と言われた物件を買いたがる人はいません。

買い手がつかない物件のため最終的には値下げする事になるのは最初からイメージができますね。

宅建業者探しも大変

買い手が付きづらいという事は、買付業者の活動が長期になる可能性が高いという事ですから、媒介するのを嫌がられるかもしれません。

しかし、違法建築物件でも売却実績がある事業者はいますので、地道に探してみましょう。

 

違法建築かどうかの確認方法

違法建築かどうかの調査は通常、売却時に宅建業者が判断しますので、積極的に調査する必要はありません。

また、その説明義務も宅建業者にあります。ただし、滅多にないとは思いますが、宅建業者が違法建築であることを見落としてしまったり秘して売却してしまった場合には訴訟トラブルに巻き込まれることもあるでしょうから、違法建築であることをご存じであればその旨を積極的に説明するよう努める必要性はあるでしょう。

もし違法建築かどうか知りたい場合は、地方自治体の専門部署(都市局建築指導部監察担当課など)にお尋ねください。

 

違法建築物件の売買トラブルの実際

判例は読みづらいのであくまで参考として私なりに訳して記載しております。

明らかに違う部分があったら訂正しますのでご指摘ください。

 

宅建業者に違法建築の説明義務があるとしつつ、損害賠償は認めなかった判例

登場人物:買主A、売主B、仲介業者C
事例:物件購入時に違法建築である説明がなかったとしてトラブルに発展した事例

買主Aの言い分:「①違法建築によりAが行政処分を受ける可能性がある事、②金融機関が融資しないので転売が困難である事の説明義務違反により、仲介業者Cは損害を賠償すべき。」
仲介Cの言い分:「買主Aは長期間保有する目的で違法建築である事実を知りながら買ったのだし、質問をしなかったのだから本件リスクの説明義務はない」

裁判所の結論:「仲介Cには違法建築であることを説明する義務があり、不法行為責任がある。しかし、①については買主Aに現時点で行政処分による不利益は現実化していない。②については、そもそも論として買った物件を高く売れるかどうかは、広告宣伝、営業活動によるところが小さくないので買主A自身の行為や判断による(高く買う人を見つけられるかどうかはAの問題でしょ…という事)。そのため、売却までに何らかの不利益が現実化していない今回のケースでは損害と仲介業者の説明義務違反の間に相当因果関係がない。さらに、このケースにおいては建物の建築から相当年数経っており評価も無価値だと考えられ、実際に売れた金額と売れたであろう金額との差額も認められない。よって、買主の請求は棄却する。」

まとめ
仲介業者Cは説明義務があるし不法行為責任があるとしているところと、転売の困難さを主張した損害賠償請求は認められないというのがポイントでしょう。行政処分が現実化していれば損害賠償請求が認められた可能性は残りますね。
損害賠償請求には故意や過失、相当因果関係が必要とされているところ、相当因果関係が認められなかったという事例です。

 

同様の判例

登場人物:買主A、売主B、買主側仲介C、売主側仲介D
事例:売主B、買主側仲介C、売主側仲介Dが買主Aに対して違法建築物件であることの説明を怠っていたとしてトラブルに発展した事例

買主Aの言い分:「①契約を錯誤無効又詐欺取消する。BCDらは共同不法行為として損害を賠償すべき。」、予備的請求として「②契約の無効、取消が認められないとしても、損害は賠償すべき」
BCDらの言い分「①錯誤無効又詐欺取消は認められない。②違法建築物件の説明義務はない」

裁判所の結論:
(1)錯誤について…認められない。違法建築部分は転売で不利でも契約を無効とする程重大じゃない。買ったものの性状が当初の認識と違うときの話。
(2)詐欺について…証拠がない。
(3)不法行為について…買主側仲介Cのみ不法行為責任がある。売主Bは仲介2名が立ち会って重要事項説明をしているのだから責任はない。売主側仲介Dも買主側仲介Cに違法建築の疑いがあることを告知しているし、その重要事項の説明を買主側仲介Cが代わりに買主Aに対して行ったのであるから、売主側仲介Dに責任はない。
(4)損害賠償について…認められない。ただし、精神的打撃に対する慰謝料は認める。

まとめ

この判例でも宅建業者の説明義務は認めつつも、損害に相当因果関係がないとして慰謝料だけ認めて棄却されたようですが、実際にはBCDの3者が買主Aに合計160万円を支払うことで和解したようです。ポイントは、転売差損、違法建築物除去費用、買主側仲介業者に支払った仲介手数料については相当因果関係がないとして損害賠償請求が認められないという事でしょう。

HOME

  • この記事を書いた人

司法書士 廣澤真太郎

ご来訪有り難うございます。主な対応地域は横浜市瀬谷区・旭区ですが、東京都・神奈川県内であればどの地域でも出張相談対応しております。事前にお電話、メールで事前に必ず見積りをご提案させていただだきますので、まずは一度お問合せください。

Copyright© オアシス司法書士事務所 , 2021 All Rights Reserved.