住宅ローンを払えない場合はどうなるのか?【住宅ローン破綻】

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士・行政書士の廣澤です。

住宅ローンを支払えない状態になることは、誰にでもあり得ることです。

 

たとえば、病気になり働けなくなったり、景気が悪くなって会社が倒産してしまった、再就職がなかなか行えない、家族間の金銭トラブルなどありとあらゆる原因が考えられます。

 

しかし、支払えないからといって滞納を続けると、ご自宅は最終的には裁判所で競売(オークション)にかけられ、市場価格よりも割安な価格で売却されてしまいます。

 

この記事では、住宅ローン滞納後に何が起こるのか、そして自宅が売却されるまでに行うべきことについて、いくつかの段階に分けて、確認していきましょう。

 

 

住宅ローンを払えない場合はどうなるのか? 段階別に確認していきましょう!

 

1.次の住宅ローン返済のめどがたたない…

当たり前ですが、このタイミングで何らかの通知が届くようなことはありません。

 

この段階で取りうる対策

1.支払えない事がわかったタイミングですぐに金融機関に行き、リスケジュール(返済の計画変更)をお願いしましょう。

2.返済のめどが立たない場合には、残念ですが不動産の売却活動を行って支払い原資とすることが考えられます。

3.不動産を売却してもローン残高に満たない場合には、任意売却が得意な不動産業者を探して売却活動の準備を行いましょう。
※任意売却は次に記載の「期限の利益が喪失」してから、金融機関の同意を得ておこなうこととなります。
※簡単には同意してもらえませんので、事前に専門の不動産業者などに相談し、交渉するタイミングなどの準備を入念に行いましょう。

4.住宅を失いたくない場合は、できる限り親族に立替払いをお願いしましょう。

 

🚫やってはいけない事 

消費者金融から借りたお金で返済を行うことは絶対にやめましょう。

すでに借りたお金で返済をしてしまい、多重債務となり返済不能に陥ってしまった方は、すみやかに弁護士等にご相談ください。

 

 

 

 

2.滞納から1~2か月

はがきや封書で金融機関から「通知書」「来店の依頼書」が届き、それも放っておくと「督促状」が届きます。

督促状になると、通知書などの『返済を忘れているようですので、至急払ってください』という優しい内容から、『〇年〇月〇日までの遅延損害金含む未払金〇〇円をお支払いください』といった厳しい文言になります。

このタイミングではまだ、信用情報機関への登録(いわゆるブラックリスト)はされていませんし、遅延損害金も数百円~数千円ですみます。

ぎりぎりまだ返済が間に合う段階です。

 

この段階で取りうる対策

1.期日までに支払い、滞納状態を解消しましょう。そうすることで、分割払いを再開することができます。

2.返済のめどが立たない場合には、引き続き不動産の売却活動を行うことになります。

3.不動産を売却してもローン残高に満たない場合には、任意売却が得意な不動産業者を探して売却活動の準備を行いましょう。
※任意売却は次に記載の「期限の利益が喪失」してから、金融機関の同意を得て行うこととなります。
※簡単には同意してもらえませんので、事前に専門の不動産業者などに相談し、交渉するタイミングなどの準備を入念に行いましょう。

4.場合により、滞納分全額でなくてもいいので一部を支払っておくことで、次に紹介する期限の利益喪失を引き延ばしすることも可能です。

 

 

 

競売? 任意売却?

ここまでで、競売と任意売却という言葉がでてきましたね。

競売とは債権者が裁判所を通じて不動産を強制的にオークションにかける手続きのことです。

そして、任意売却とは債務者が不動産を売っても住宅ローン残高に満たない場合に、金融機関の同意をもらって不動産を市場で売却することです。

 

この2つの手続きにはどちらもメリットとデメリットがありますので、どちらがいいとは一概には言い切れません。

比較表を作成しましたので、選択の際に参考にしてみてください。

 

競売 任意売却
手続概要 裁判所を通じて不動産をオークションにかける 金融機関の同意を経て、担保に供されている不動産を売る
※同意してもらえない場合もある
売却金額 市場価格の7~8割の金額で売却される
※売れなければ何度かやり直しされるが、その場合かなり低い金額(3割)になることもある
市場価格と同程度の金額で売却できる可能性が高い
通常の契約なので、交渉次第で引っ越し費用も買主に支払ってもらえる場合がある
債務者の行動の有無 債権者が手続きを行うので何もしなくてよい 債務者が売却活動をおこなう必要がある
期間 半年~1年以上かかる
売れるまで相当期間を要するので、家に長く住み続けられる
売れるまで
売れたら立ち退きしなければならないので、住み続けられる期間が短い場合も
遅延損害金 発生し続ける 発生し続ける
※金融機関に任意売却の同意をしてもらえた場合、半年ほど競売手続きを猶予されることがあるが、売れなかった場合には、いたずらに遅延損害金が増えてしまう事になる。
売却後に残債務が残った場合 売却後の残債務への対応が厳しいため、実質的には破産を考えざるをえない 売却後の残債務は分割払いに応じてもらいやすい
第三者への周知 近隣住民等の第三者に住宅ローンが支払えなかった事実が知られる恐れがある 通常の売却なので、住宅ローンが支払えなかった事実が知られる恐れはない
その他 債権者は競売申立費用がかかる(予納金や登録免許税など) 悪徳不動産業者に注意

 

金融機関の頭の中??

あくまで予想ですが、立場的には次のような考えのはずです。

① 不動産売却により債権回収するのは手間も費用(予納金含め100万円程度)もかかるので、できるかぎり避けたい。売却しても足りない分はできる限り親族に頼るなどして支払ってほしい。

② 任意売却の場合、競売後に破産される可能性が高いので、貸し倒れが確定的になるということであり、本当は同意したくない。

③ それでも任意売却に同意するとすれば、債務者の支払能力の回復が期待できないことが明白でかつ競売するよりはマシだと思えたときだけ。

 

 

 

2.滞納から3~6か月

このあたりから状況が一変します。

「期限の利益喪失の通知書」「代位弁済予告書」「催告書」「最終通告書」などが送付され、ローンの一括返済を求められます。

期限の利益とは、期限まで支払いを待ってもらうことができる利益のことです。つまり、分割払いができなくなるわけですね。

 

この段階に突入すると、延滞分の支払いを行っても分割払いを再開することは難しいと考えてよいでしょう。

一括返済は事実上不可能な場合も多いので、ご自宅に担保設定している保証会社が一括で銀行に返済した後、不動産を売却する手続きに移行することになります。

 

 

大きな変化 

✅ 保証会社や債権回収会社が銀行へ一括返済を行って債権を引き継ぎ、債権回収業務や競売手続を開始します。

✅ 信用情報機関へ登録(いわゆるブラックリスト)されます。 ※新たにクレジットカードを作成したり、借入れが数年間困難になります。

✅ 遅延損害金が残元金全額に対して発生するため、高額な損害金が発生し始めます。 ※残元金2,000万円で損害金が14.6%と仮定すると、1日あたり8,000円の損害金が発生し続けます。

 

この段階で取りうる対策

1.債権者が銀行から保証会社や債権回収会社に変更になることが通常ですので、「任意売却」の交渉先もそれらの会社になります。住宅ローンの金額に売り出し価格が満たないが、競売を避けたいという場合には、保証会社等に「任意売却」の相談を行い、同意をもらえたら売却活動を行うという事になります。
※簡単には同意してもらえませんので、事前に専門の不動産業者などに相談し、交渉するタイミングなどの準備を入念に行いましょう。

 

「期限の利益喪失の通知書」が届く理由は条文にあり

民法458条の3 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。

 

 

 

3.滞納から6~9ヶ月

何もしないで放置していると、いずれ裁判所から「競売開始の通知」が届きます。

この通知が競売手続開始の合図です。競売手続きは債権者が進めますので、債務者側ですることはとくにありません。

 

競売開始の申し立てがされると、まずは不動産が差押されます。

それから、不動産の現況調査等が行われて売却価格が決定したらオークションが開札し、落札者が支払いを行ったら各債権者に対して配当がなされます。

債務者へは「配当期日呼出状」が届きますので、いくらで売れたのかなどはそこで確認できるでしょう。このように、競売開始から半年~1年、長いときで3年以上の時間をかけて手続きがおこなわれます。

 

売却金額がローンと遅延損害金の合計金額に満たなかった場合、債務者には残りの債務を一括で支払う義務が残り、

最終的には、落札者が不動産を買い受けた日から6ヶ月以内に立ち退きしなければならなくなります。

 

この段階で取りうる対策

1.競売が申し立てられた後でも、債権者は競売手続きを取り下げすることも可能ですので、引き続き「任意売却」相談を行うことは可能です。同意をもらえたら売却活動を行うという事になります。
※競売が開札されると、もう任意売却に切り替えることはできません。実際には申立前段階で交渉をすすめるケースが多いでしょう。

2.競売手続きは勝手に売却まで進みます。その間、住宅ローンの支払いは行いませんので、これまでローン支払いにあてていた分は、生活の建て直し資金として活用しましょう。
※例えば、住宅売却後の引越し費用などを貯めておいたり、ローンが残る場合に破産申立てを行ったとしても、租税公課は免責されませんので税金の支払いを行いましょう。

3.ローンの残額が残り、支払いが困難な場合には弁護士に依頼し、破産手続等を行うことになります。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

住宅ローンの滞納が開始すると、あっという間に売却手続きが現実化していきます。

とはいえ、住宅というのは個人の人生のアイデンティティにも関係するものですから、そう簡単に失いたくありませんよね。

 

そこで、実務では競売に親族にしてもらって自宅を購入してもらい、賃貸借契約を親族と締結して住み続けるというテクニカルな方法が取られることもあるようです。

このあたりは詳しい不動産業者に相談するのが良いと思いますね。

ただし、ご存知のように任意売却詐欺が横行しておりますので、業者選択の際には十分ご注意ください。

 

以上、住宅ローンについて知りたい方の参考になれば幸いです。

 

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代表司法書士・行政書士 廣澤真太郎

神奈川県横浜市瀬谷区でかけつけ無料相談を実施している司法書士兼行政書士です。 ご自宅等に無料で事前相談に伺いますので、お気軽にご利用ください。

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