不動産の譲渡にかかわる所得税についてわかりやすく解説

 

 

不動産の譲渡にかかわる所得税とは

不動産を譲渡したことによる差益(キャピタルゲイン)に課税される税金です。

 

つまり譲渡した人にかかる税金ですね。

 

所得税のひとつですが、その他の所得とは分離して単独で課税されます。

 

この税金の説明だけで分厚い本になるほど奥深い税金のひとつです。

 

ポイント

特例を利用したとしても税金が発生するかどうか微妙なケースでは、税務署無料相談を利用したり、税理士に相談する等し、プロに計算を任せたほうが安心の税金です。取得費の判定など細かい部分の計算が難しいからです。

所得がマイナスで税金が発生しない場合には、確定申告は必要ありません。

 

いつどうやって払う?

個人の場合毎年2月15日~3月15日の確定申告時です。

 

この税金の厳しいところは、「自分で所得を計算し、譲渡所得税が発生するかどうかを判断し、特例を使いたいなら勝手に利用してね。特例は一発目の確定申告で利用しないとそれ以降使わせないよ」というスタイルである事でしょうか。

 

誰からもアドバイスを受けずに放っておくと、確定申告時期を過ぎてから突然「譲渡所得税のお尋ね」が自宅に届き、慌てて特例の事を知らずに申告するという事になりかねません。

 

そして、最初の確定申告で特例を利用しなければ後で利用できない(いわゆる当初申告要件)というリスクがあるのです。

 

税額の計算方法

① 譲渡価額 - (取得費+ 譲渡にかかった費用)- 各種控除 = 譲渡所得 

② 譲渡所得 × 税率(※下記の表参照) = 税額

 

簡単に考えてみましょう。

 

例えば、1000万円で買った土地を1500万円で売った場合、単純計算で500万円利益がありますね。

 

そこから購入時や売却時にかかった仲介手数料、登録免許税、司法書士報酬等のコストを控除したものを所得として確定申告する必要があるという事になります。

 

 

 

譲渡価額とは

不動産を売ったのなら、売買代金ですし、財産分与であれば譲渡時の時価です。(贈与の場合は譲渡所得税は発生しません。)

 

譲渡時の時価は土地総合情報システムにより検索するか、類似物件がない場合は宅建業者による査定などで算出します。

 

譲渡時の時価とはいうものの、譲渡時とはいつなのかというのは税率が大きく変わるので重要ですね、原則は引き渡しの日という扱いのようですが、国税庁のタックスアンサーによると売買契約日を選択することもできるようです。

 

贈与と比較すると、贈与は登記申請した日を譲渡時とするという通達がありますから、柔軟な扱いのようです。 

 

取得日・譲渡日の関係は重要ですが長くなってしまいますので、気になる方はこちらの書籍が参考になるので御覧ください➡不動産の売却にかかる譲渡所得の税金: 【事例でわかる】

 

 

取得費とは

購入~維持管理にかかった金額の合計金額の事で、物件購入代金、管理費、仲介手数料、登録免許税、司法書士報酬等、経費として申告できる費用です。

 

✅ 当初の売買契約書が見つからない場合などで実際の金額がわからない場合

譲渡価額の5%が取得費ということにして計算することもできます。しかし、大切なことなのでもう一度言いますが、譲渡価額の5%です。

取得費の一部として買ったときの金額が控除できなくなり、たったの譲渡価額の5%でしか取得費として計算できません。

これはつまり、当時の売買契約書を失くすと、税金が高くなるという事です。

ただし、税理士によればその他の書類で当時の売買代金を証明することができれば、その金額をもって申告することも許されてはいるようですので、このような場合はすぐに諦めずお近くの税理士に相談するのが賢明でしょう。

 

✅ 建物の取得費の注意点

また、建物の取得費には減価償却という考え方があり、買ったときの金額をそのまま譲渡価額から差し引きする事はできません。具体的には次のように計算します。 

 (買ったときの物件の金額や設備費、改良費など)  × 90%  × 償却率※1 × 1.5  ×  経過年数※2 = 建物の取得費

※1

   建物の構造により償却率は変わります。

※2 経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。

※3 建物の取得価額の95%を限度とします。

引用:国税庁 建物の取得費の計算

 

当初の売買契約書に建物と土地の金額が別々に記載されていない時は、税金から逆算して建物の購入金額を算出します。 

記載すると説明がややこしくなってしまいますので、簡単に解説する目的を考えて割愛します。【土地と建物を一括購入 取得費】とグーグル検索しましょう。

 

 

譲渡費用とは

譲渡のために直接必要だった仲介手数料や印紙代、立退料や取壊費用、登記費用など売却する際にかかったコスト全般のことです。

 

税率

不動産の所有期間によって税率が変わります。

  要件 税率  
長期譲渡所得 所有していた期間が5年を超える 所得税等15.315%、住民税5%  
短期譲渡所得 所有していた期間が5年以下 所得税等30.63%、住民税9% ※国や地方公共団体に対する譲渡の場合には1.

 

この所有していた期間が5年を超えるこえないという点において、取得日が重要になります。 

過去の日付を譲渡日とする場合、特例利用ができるかどうかも重要になるでしょう。

 

 

マイホームの長期譲渡所得税の軽減税率

課税長期譲渡所得
税率
6000万円以下の部分
所得税等10.21%  住民税4%
6000万円超の部分
所得税等15.315%  住民税5% (通常どおり)
6000万円を超える部分は軽減されないということですね。

適用要件など詳しくはこちら  

 

 

居住用財産の譲渡所得にかかわる課税の特例

 

特例による控除について

所得が控除未満なら「特例を利用します」とキチンと一度目の確定申告で申告すれば税金が発生しないという事です。

 

これらの控除には条件がいくつかあり、利用ができるかどうか等の確答が欲しい方は、お近くの税務署の無料相談を利用するのが便利です

詳しくはこちらのページから 国税庁:譲渡所得

種類
控除額
収容対象事業のために土地や建物を譲渡した
5000万円
自分が住んでいる家や敷地を譲渡した(これがいわゆる3000万円控除
3000万円
亡くなった方が住んでた家(空き家)や敷地を譲渡した
3000万円
土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した
2000万円
住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した
1500万円
農地保有合理化等のために農地等を譲渡した
800万円
※短期・長期譲渡所得かを問わない控除

※その年度全体を通じて上限5000万円 ※平成21年1月1日~平成22年12月31日までの2年間までの間に取得した土地等かつ長期譲渡所得である場合には、 別途控除あり。各自治体で聞いてください。

 

 

その他の特例

1.特定のマイホームを買い替えた時の特例

マイホームを売却後、新たに住宅を購入した場合の特例です。

特定のマイホーム(居住用財産)を、代わりのマイホームに買い換えたときは一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません。)

詳しくはこちら

 

2.マイホームの買い替えで譲渡損失があったときの特例

マイホームを売却後、新たに住宅を購入した場合の特例です。

この特例の要件に当てはまるときは、その損失を一般的な所得と通算し、さらにマイホームを譲渡した年の翌年度以後3年度間の各年分の総所得金額等から控除することができる特例になります。

詳しくはこちら

 

3.住宅ローンが残っているマイホームの譲渡損失の特例

住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失が発生した場合の特例です。

この特例の要件に当てはまるときは、その損失を一般的な所得と通算し、さらにマイホームを譲渡した年の翌年度以後3年度間の各年分の総所得金額等から控除することができます。

詳しくはこちら    

 

4.譲渡損失が発生した場合の取り扱いについて 

譲渡損失を損益通算できる場合があります。

マイホームを買い替えた場合に損失が生じたとき:国税庁

住宅ローンが残っているマイホームを売却して損失が生じたとき:国税庁

 

 

所得税の住宅ローン控除について

「住宅ローン」を利用して「住宅を新築、取得又は改築」した場合に、一定の要件に該当していると、一定期間分の所得税を控除できる特例です。

 

ただし、控除するためには、確定申告書を税務署に提出するなどして申出が必要です。

 

控除される額
年末残高の約1%

※ かなり大雑把なので、詳しくはこちらをご覧ください。  

 

 

住民税の住宅ローン控除

所得税の住宅ローン控除を受けている方で、所得税から控除しきれなかった住宅ローン控除がある人は、翌年度の住民税から控除されます。  

 

 

特例は併用できるのか早見表

 

特例組み合わせA 特例組み合わせB 可否
買い替え特例 長期譲渡所得の軽減税率 併用できない ×
買い替え特例 3000万円控除等その他の特例 併用できない ×
3000万円控除等その他の特例
長期譲渡所得の軽減税率
併用できる  〇
3000万円控除等その他の特例・買い替え特例
住宅ローン控除
併用できない ×

 

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参考文献:

 不動産の売却にかかる譲渡所得の税金

 

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代表司法書士・行政書士 廣澤真太郎

神奈川県横浜市瀬谷区でかけつけ無料相談を実施している司法書士兼行政書士です。 ご自宅等に無料で事前相談に伺いますので、お気軽にご利用ください。

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