不動産にかかわる法令について

司法書士 廣澤真太郎
こんにちは。司法書士の廣澤です。

不動産をとりまく法令には様々なものがあり、パラパラ本を読むとなにがなんだかわからなくなります。

そこで、最低限これだけは知っておきたい不動産の法令上の制限について記載しておきたいと思います。

 

 

都市計画法

日本全体の住みやすい街づくりを目的とする法律です。

例えば、一部の地域にのみ高層ビルを建設できるように制限して、住宅地域とは分けるなどし、住宅地、商業、工業などの調和を図ろうという目的があります。
具体的にどのように制限していくかですが、次のような流れで制限を決めています。

1.都市計画区域を決定(どこに何をつくるのかを決める)
2.区域ごとに具体的に計画を決定
3.区域ごとに制限を設ける

 

日本の空から地上を見たときに、都市計画区域というのは次のように配置されています。

都市計画区域

国が街づくりを積極的に行う区域のことです。

都市計画区域を一体の都市として、自然を保護したり、商工業を発展させる街づくりの計画を練り、様々な制限を加えていくなどして土地利用の整序をします。

市街化区域

都市計画区域内で、既に市街地である土地や、これから市街化を進めていく予定の区域のことです。

市街化調整区域

市街化をすすめる予定ではない区域のことです。
農地の利用も制限されるため、市街化調整区域内の農地の売買を行う場合には、農地法の届出では足りず、より厳格な許可が必要になるため注意が必要です。

準都市計画区域

既に一定数の建物が建っている地域で、土地利用についてそのまま放置すれば、将来における都市としての整備、開発、保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域のことです。
将来発展するかもしれないと予想される区域のことで、高速道路の出口付近の区域などが指定されていたりします。

用途地域

市街化区域のうち、行政が「こんな用途で使ってくださいね。」と指定した地域のことです。とくに商業、工業、住宅地に分けて用途の制限を設けています。例えば、住宅用途の地域に、大規模な映画館や飲食店を置くことはできません。どのような地域なのかは、都市計画図をWEB上で確認するだけで把握することができます。

(目的)第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。

 

 

建築基準法

建物を建築するにあたっての土地や建物の基準を定めて、住みやすい街にすることを目的とした法律です。

建築基準法の基準を満たさない場合には、建物を建築することができません。

さきほどの都市計画区域と、準都市計画区域はその他の地域よりも満たさなければいけない基準が多いのが特徴です。
これらの区域は住みよい街づくりを進めている区域なので、建物の構造や面積だけでなく、道路の幅などに基準を設けて街全体のバランスについても調整しています。

 

建築基準法上の道路

道路が狭く建物があまりにも密集していると、避難が大変だったり、火事による延焼が止められない恐れがあります。

このような理由から、都市計画区域や準都市計画区域では、幅が4メートル以上の道路で、敷地がその道路に2メートル以上接していなければ、建物をそもそも建築できないという決まりがあります。

そして、その道路にはいろいろな種類があります。

 

✅ 国道、区道、都道・法施行時に基準を満たしていた道路・都市計画で新たにつくった道路

公道ですね。

 

✅ みなし道路(2項道路、セットバック)

法施行時に基準を満たしていなかった道路に対して講じられた措置により、道路とみなされることとなった敷地のことです。
建築基準法が施行されたのは昭和25年であり、すでに建物が立ち並んでいる地域で道路の幅が4メートル未満の土地はすでにありました。
そこで、特定行政庁が指定した一定の土地については、道路の中心線から2メートル後退した位置までを宅地でも道路とみなし、その上に建物は建築できないという決まりを設けることで、
道路の幅を確保することとしました。マイホームの敷地が2つに分かれており、一方には建物が建っていて、一方は小さい土地で道路に面しているという場合はこれにあたります。
その道路に面している、建築基準法では道路とみなされる土地のことをみなし道路、2項道路、セットバック等と呼びます。

 

✅ 位置指定道路

数区画の分譲地で、施工業者が新たに道路(私道)を作った場合、その道路は特定行政庁の位置指定をうけなければ、建築基準法上の道路としては扱われません。
4メートルの幅の道路を新たに作り、敷地が2メートル以上接していても。その道路について位置指定をしてもらっていないと、建物が建築できないわけです。
よって、通常は業者が工事着手前や完了後に役所に申請をしています。位置指定がされた道路は私道なのに公道扱いということになり、誰でも通って良い道路になります。

 

完成後の道路は次のような扱いになります。

①分譲業者が私道を持ち続ける
②私道を分譲地の敷地所有者全員の共有にする
③道路を細かく分筆して敷地と一緒に販売する
④分筆して私道部分を市区町村に寄付する

 

 

建築確認

こちらの法律の基準に沿っているかどうかは、建物を建築・増築する際、「建築確認」という手続きを行い確認しています。
たまに聞く『違法建築』した建物とは、「建築確認」を受けてない建造物のこととも言えます。

「建築確認」を行うのは一定の場合に限られますが、通常は都市計画区域や、準都市計画区域に建物を建築することになるでしょうから、その場合にはすべての建物について「建築確認」を行う必要があります。

具体的には工事を始める前に建築主が役所に対して確認申請をし、役所が審査をして基準を満たしていると判断したら「確認済証」を建築主に発行します。
その後工事の途中で再度中間検査申請をし「中間検査合格証」を、さらに工事完了後に完了検査を行い、役所が審査をして基準を満たしていると判断したら「検査済証」を建築主に発行します。
このように3回検査(又は中間検査なしで2回)を得てようやく手にする「検査済証」の交付後でなければ、原則として建物を使用することができません。

建物が建築されたら、1か月以内に表題部登記を申請する必要があります。表題部登記は土地家屋調査士が担当し、その後所有権保存登記は司法書士が担当して登記申請するという流れになります。
登記申請の際に登録免許税の軽減措置を享受するためには、先の確認済証が必要になります。

(目的)第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

※この法律が作られる前の建築物や、重要文化財などには適用されません。

 

農地法

農地の保護や、権利関係をどうするかといったことを定めた農地の基本的なことを決めている法律です。

不動産取引の場では、特に3,4,5条の許可が重要になります。農地は許可がなければ売ったり譲渡したりすることができないという決まりがあるためです。
市街化区域外の場合には許可申請を、市街化区域の場合には、農地法の届出を事前事後に行う必要があります。

市街化区域は基本的に市街化を促進しようとする区域なので、農地から宅地にするのに「許可」という厳しい手続きを経ることなく、書類を農業委員会に提出するだけで農地を転用し売却することができます。

3条の許可 4条の許可(市街化区域は届出) 5条の許可(市街化区域は届出)
内容 農地のまま、権利を移転したり設定する

例:畑を売る

農地を農地以外にする場合

例:畑を宅地にする

農地を農地以外にして、かつ権利を移転、設定する

例:畑を宅地にしてから売却する

許可権者 農業委員会 都道府県知事又は農林水産大臣(4ha超)↔ 市街化区域は農業委員会に届出
無許可の行為 契約が無効になる 元に戻す必要がある 契約が無効になりかつ元に戻す必要がある

 

(目的)第一条 この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。

 

 

土地区画整理法

都市計画区域内の土地における、公共施設の整備や改善、その他宅地の利用改善を図るため、公共施設の新設や変更に関する事業や、区画形質の変更の事業について定めた法律です。

公共施設や区画形質変更にかかわる事業のことを「土地区画整理事業」といいます。

(区画整理する前の土地→区画整理した後の土地)

整理事業の対象になった土地に住んでいる方は仮換地と呼ばれる宅地を一時的に使用することとなり、事業が終わったらきれいに整えられた後の土地が従前の土地とみなされて所有権を取得します。

(この法律の目的)第一条 この法律は、土地区画整理事業に関し、その施行者、施行方法、費用の負担等必要な事項を規定することにより、健全な市街地の造成を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

 

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代表司法書士・行政書士 廣澤真太郎

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